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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんの黒歴史
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早速アニメを見ましょう

 次の日。


 昼飯を食べ終わると、おれは白鳥に頼み込んだ。


「なあ、もうホラーはやめようぜ~。このままだと、おれの心臓がもたないからさ~」


 我ながら、すごく情けない声。


「全く、情けないわね。……本当に無理なの?」


「ああ。今日はもう、ホラーは絶対にイヤだ!」


 白鳥は少し考え込んだ様子でどこかに行ってしまった。


 何しに行ったんだろう。


  


 数分後、白鳥は新たなDVDを持って戻ってきた。


「もう、ホラーはイヤだからな」


「これが、ホラーに見える?」


 白鳥の持ったDVDを見ると、アニメのようだった。


 そのジャケットには、かなりのイケメンが描かれていた。


「何、それ?」


「知らないの⁉」


「知らないよ」


 最近、アニメをあまり見てないからか、そのジャンルには、かなり疎かった。


「知らないのなら、教えてあげるわ! これは『フェニックス・ナイツ』というアニメで、今年の三月まで放送されていたわ。でも、原作の小説はまだ続いていて、再アニメ化も期待されているわ! ファンの間では、『フェニナイ』と呼ばれていて……私の一番好きなキャラクターが、このエドワード様で……この場面が……ここが……ここの作画が神で……それから……」


 こんな調子でかなり熱く語っていた。


 もしかして、こいつ、オタク?


「では、早速アニメを見ましょう」


 たっぷり話し終えた白鳥は、DVDを再生した。


 華やかなオープニングが始まると、白鳥のテンションはかなり上がってしまい、アニメを見ている時も隣りでずっと解説をしていた。


 DVDを二巻まで見たところで、白鳥が疲れたらしく、一旦、終わりとなった。


 あれだけ、一人で話していたのだから、疲れるのは当たり前だろう。


 でも、話せて嬉しかったのか、満足気な顔をしていた。




「高村君にも、『フェニナイ』の魅力をもっと知ってもらうために、このDVDを貸してあげるわ」


 そう言って、白鳥は半ば強引にDVDをおれに押し付けた。


「やっと、布教用を使うことができたわ」


「布教用?」


「そうよ。使用用と保存用と布教用の三つ買っているのよ」


 一つでいいんじゃないの?


 こいつ、親の遺産をこういう物に使ってんのか。


 こんなこと言ったら、怒られるから、絶対に言わないけど……。

白鳥さんはアニオタです。

「フェニナイ」は作者オリジナルのアニメですが、白鳥さんは「コードギアス」「テニプリ」「うたプリ」とかも好きです。

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