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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
烏丸君の家族
215/237

僕に似ている。



 その日の夜。




 今日は白鳥さんの家に泊まることになった。逢坂君と白鳥さんは自分の部屋に戻り、僕と弟と高村君は同じ部屋で寝ることになった。いつもの客室ではなく、洋風建設なのに何故かある和室で、しかも川の字で寝ることになった。高村君と川の字とか、本当勘弁して欲しかったが、白鳥さんには白鳥さんなりのこだわりがあるらしく、譲ってはくれなかった。




「家族、か……」




 隣で眠っている弟の寝顔を見て、呟く。




 時々、寝返りを打ったり寝言を言ったりする高村君とは対照的に、弟は静かだ。まるで、死んだように眠っている。縁起でもないけど。




 そういえば、僕も死んだように眠るらしい。昔、祖母が教えてくれた。




 そして、逢坂君が言っていた言葉が重なる。僕に似ている。……そんなことを言われると、不安になる。弟はずっと無表情だ。頷くくらいの意思表示はするが、言葉を発さない。三歳にもなれば、普通は何らかの言葉を話すはずだ。言語障害かとも思ったが、何となく違う気がする。……もしかしたら、僕と同じかもしれない。




 人の気持ちが分からなくて、何も感じない自分のことも分からなくて、もう何もかも訳が分からない。嘘の吐き方も、猫被りの仕方も分からないから、どうすることも出来なくて、だから無表情でいるしかない。




 弟の寝顔をもう一度見て、僕は目を閉じた。

白鳥邸に和室があるのは白鳥さんのお父さんの発案です。

日本っぽい部屋が欲しかったみたいです。

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