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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんの黒歴史
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頼んでやってもいいわよ

 約一時間後。


「おい、終わったぞ。……さっさと昼飯にしようぜ」


「そうね。じゃあ、これでコンビニに行って何か買ってきなさい」


 そう言って、二千円を渡してくる白鳥。


「コンビニに買いに行かなくても、お前ん家にある食材で作ればいいじゃん。ほら、コンビニばっかじゃ健康に悪いだろ」


「……私、料理はしないのよ」


 そういえば、学校でもいつもコンビニ食だった。


「じゃあ、おれが何か作ってやるよ。こう見えても料理は得意だぜ?」


 小四から料理はしているから、それなりの自信はあった。


「ほら、食べたいもの、言ってみ」


 白鳥は少し考えてから、言った。


「……ハンバーグ」


 意外と子どもっぽいものが好きなんだな。


「OK。任せとけ」





 白鳥の家の冷蔵庫にハンバーグの材料が無かったので買いに行き、慣れた手つきでサッサと作り終えた。


 それから、カメラの見張りをしている白鳥の所に出来立てホヤホヤのハンバーグを持っていった。


「へい、お待ち」


「ここは、寿司屋じゃないわよ」


 そう言って、ハンバーグを小さく切って、口に入れる。


「!!」


 途端、白鳥の顔がほころぶ。


 とても美味しかったらしい。


「ま、まあまあね。……思っていたより美味しいわ」


 これは、多分、照れ隠し。


「よかったら、お前の分の弁当も毎日作ってやるけど? コンビニ食よりは、健康にいいだろ」


 朝、作るのを一人分増やすくらいどうってことない。


「まあ、頼んでやってもいいわよ」


「じゃあ、早速、次の月曜から作ってやるから、楽しみにしとけよ」





 そして、今日も何も進展はなく、終わってしまった。


 おれは、白鳥が後で食べるように夕食も作っておいた。


 朝御飯用に米も炊いておいた。


 おれは、白鳥の使い魔兼料理係になっていた。


「明日も来なさいよ」


「ああ、分かってる」


 休みはないらしい。

高村君に胃袋を掴まれた白鳥さんです。

もう一生、料理係です。

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