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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
167/237

まるで、私達のようだと思わんかね?

   ◆




 僕の話もこれくらいで終わろう。


 彼らのエピソードを話し始めると、きりがない。


 そもそも何故、僕が彼らの話を持ち出したのか。


 それは、ただなんとなくである。明確な理由にはなっていないけど、本当にただなんとなく、なのだ。


 星空を見て、ふっと彼らのことを思い出した。


 確か、あの時も……。




「君達、空を見上げてはくれまいか?」


 夏頃だったか。恒例の徹夜で心霊スポット調査に行った時のことだ。


「いきなり何ですか」


 まあ、言われた通りに空を見上げてみる。


 高台にある墓地からは、僕達の住んでいる町が一望でき、その頭上には星空が輝いていた。


「ただの星空じゃない。UFOでも見えたのかと思ったわよ」


「気付かんかね。……ほら、あの星座だよ。それに、あれとこれも……」


 先輩が三つの星座を指差す。それらは三角形を描いていた。


「ああ、夏の大三角ですね。琴座のベガと、鷲座のアルタイル、白鳥座のデネブ」


 昔、父と一緒によく行っていたプラネタリウムで見慣れた景色。


「その通りだ、橘後輩。宇宙という名前は飾りではなかったようだな」


「……それはどうも」


 というか、これくらい有名だから誰でも分かると思う。


「それがどうかしたの?」


「鷲座、琴座、白鳥座。……まるで、私達のようだと思わんかね?」


 確かに……。鷲羽真琴の鷲と琴、白鳥美和子の白鳥。


「でも、僕が入ってないじゃないですか」


 僕だけ三角形に入れていない。


「君の名前の由来は何だ、橘後輩」


「……宇宙の様に広い心と、人々を包み込む愛情を持った子に育って欲しい」


 これも父がよく言っていて、もう覚えてしまった。


「橘後輩は、もう入っておるだろう。宇宙は星座を包み込んでいるではないか」


「……そうですけど」


「君の御両親は、全く大層な名前を付けたものだな。宇宙は果てしなく広いぞ。一体、どれ程の広い心なのか、私には検討が付かん」


「まあ、本人はそれに全然伴っていないけれどね」


「悪かったね、心の狭い人間で」


 ちっぽけな僕らを余所に、星は変わらず輝いていた。




 あの時は、先輩が妙にロマンチックなことを言った。


「……自分達を星に喩えるなんてね」


 普段は理屈っぽくて、哲学理論を語っていたくせに。


「……本当、よく分からない」


 僕は、星を見ながら苦笑した。




 もし、僕が先輩のようにロマンチックなことを言うとしたら……。


 星が巡るように、僕達もまた会える。

夏の大三角と宇宙は彼らの名付けの由来です。

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