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いい家住んでんな
十分程で、白鳥の家に着いた。
「うわっ、いい家住んでんな、お前」
白鳥の家は、ただの家というよりは、お屋敷といった方が正しかった。
それに、明らかに周りの家から孤立していた。そこだけ、ヨーロッパの風景が切り取られたようだった。
前にテレビで見た、超セレブの豪邸とまでは行かなくとも、プチセレブぐらいにはなるだろう。
「あまり、人の家をジロジロと見ないで頂戴」
「ああ、ごめん、ごめん」
つい、見とれてしまっていた。
「ああ、そういえば、あなた、携帯電話は持ってるかしら?」
「ケータイ? ああ、持ってるけど」
おれは、バッグから濃い青色をしたケータイを取り出した。
「これから何かあった時に、お互いの連絡先が分かっていると便利でしょう」
そう言って、白鳥は黒色のケータイを取り出した。
「ああ、そうだな」
お互いのアドレスが交換される。
白鳥美和子のアドレスをゲットした。
この物語の時間は現代よりも少し前、スマホとガラケーの過渡期となっております。
筆者の学生時代に書いた物語です。




