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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんの黒歴史
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助けてあげるしかないじゃない

「もしかしてだけど、お前が寝惚けてて無意識に書いたってことは?」


 寝惚けてるときって、字が乱雑になるもんだよな。


 白鳥に、あれだけ霊についての説明をされても、おれはまだ心霊現象ではないと思いたかった。


「それはないわね。私を夢遊病者みたいに言わないでほしいわ」


 結局、ユーレイの仕業になっちゃうのか。


「それに、私と霊の字では筆圧も字形も全然違うでしょう」


「ああ、わかった、わかったよ。……それで、そのユーレイはそこに何て書いてんの?」


「ああ、そうね。まず、一番初めは、エイプリルフールの日ね。……えっと『助けて』」


「ありがちなメッセージだな」


「そうね。次は……、その二日後『お願い、誰か』……また二日後『寂しい』」


「つらそうだな。……次は?」


「また二日後ね。入学式の日よ『彼なら、私を』」


「『彼』って?」


「きっと、この霊が大切に思っていた人でしょうね。……それから、これが最後のメッセージね。昨日書かれていたわ。『彼は私にとっての希望』」


「で、ええっと……、つまり、どういう意味?」


 おれは文をまとめるのが苦手だ。


「多分こうじゃないかしら。……きっとこの霊は何かの事件に巻き込まれて、どこかに閉じ込められていた」


「いたってことは過去形……、つまり、その人はもう……」


 ユーレイだから、そうなのだろうけど。


「ええ、もう多分亡くなっている可能性が高いわ。……でも生霊ってことも有り得るかもしれないわね。可能性は低いけど。それで、『彼』の助けを今もずっと待っている」


 生霊ってことは、まだ生きてるかもしれないってことか。そうであってほしいけど……。


「あっ、でも何でその霊は『彼』じゃなくて、お前にそのメッセージを伝えたんだよ?」


『彼』に伝えれば、一発じゃないか。


「それは多分、私とこの霊の波長が合ってしまったからだと思うわ」


「でも、波長が合ったからって、白鳥がその霊がどこの誰かなんて分からないだろ」


「それはそうだけれど、この霊は私たちを頼ってきたのよ」


 たちって、おれも含まれるの?


「だったら、助けてあげるしかないじゃない」


 かなりカッコイイ。……でも、黒魔導師ではなく、正義の味方が言う言葉なのでは……。

幽霊を助けてあげるしかないと言う白鳥さん。

正義感が強い子です。

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