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《神》の古具使い  作者: 桃姫
魔法編 SIDE.GOD
232/385

232話:もう1つのプロローグ

SIDE.D


 今日は、桜子の家に零桜華を迎えに行くことになっているなる休み初日。母さんたちに説明するのは面倒だから連れてきてから説得するわ。行く場所がないって言えば絶対に追い出すなんてことはしないもの。部屋は余っているしね。それと仕事をさせる手続きとかもしなきゃいけないんだけど、そっちは桜子の今の実家がやってくれるそうだから、任せるとして、まずは、適当に夏休みを過ごさせなきゃね。


 そう思って、進んでいると、目の前に、超ぺったん胸の女となぜか知らんけどウェディングドレスを着ている幼女に出会ったわ。謎の組み合わせ過ぎるけど出会ったのよ。何、こいつら?


「あの、お尋ねしますが、青葉紳司さんのご家族の方ですよね?えと、わたくし、神楽野宮(かぐらのみや)旭璃(こくり)と申しますが、紳司さんがどこへ行かれたかご存じではありませんか?

 スマートフォンの方に連絡をしてもお出になりませんし、気配もこの世界には内容なのですが」


 何、紳司の知り合いなの?ふーん、何者かは知らんけど、結構できる奴らみたいだし。それに神楽野宮家っつったわよね。長野の山奥にある名家のあの、神楽野宮だとしたら結構こっち側の人間よ。まあ、人間関係は最悪らしいけど。何せ兄弟姉妹結婚とか前妻の死後すぐに後妻が結婚するんだけど、その前妻が姉で後妻が妹、なんてこともあるらしいわね。


「紳司がスマホに出ない?あー、そうね。……【力場】が感じられないし、また厄介ごとに巻き込まれたのかしら?」


 あたしの言葉に、2人が困った顔をしていたわ。もう、何なのよ。そんなに紳司が必要なのかしら。


「う~ん、どうしましょうか。わたくしとしては、このまま昏音姉様と一緒に行っても構わないのですが」


 てか、この2人、姉妹なの?それもぺったんとはいえ背が高い方が妹なのね。てか、姉のほうは、どこか不思議な気配がするわね。それも、どことなく嫌な……。これは、魔法少女ね。得体がしれないから嫌いなんだけど。


「あたしが一緒に行ってあげましょうか。これから用事あるからすぐ済むならだけどね。てか何しに、どこに行くのよ?」


 まさか、化け物退治とかそういう面倒な系統のやつじゃないでしょうね。いえ、退治事体は面倒じゃないけど、数がいたり、探すのが面倒だったりいろいろあるのよ。あたしの言葉に、幼女が「うふふ」と笑って答えるわ。


「大丈夫、【霊王の眼】を取り返しに行くだけだよ。ううん、取り返しに行くってのは物騒だよね。本来の持ち主である旭璃に渡すように頼みに行くだけだよ」


 それなら、あたしや紳司はいらないんじゃないのかしら。だって頼み事でしょ?そんな物騒な事態にならないと思うんだけど。


「これだけなら、誰かに付き添いを頼んだりしないんだけどね。だって、持っているのは知り合いだもん。イシュタルちゃんに会うだけなら警戒しなくてもいいんだけど、残念ながら、今、魔法少女独立保守機構は戦闘中。戦地じゃ何が起こるか分からないからね。特に、あいつらが相手だから」


 そういって、ウェディングドレスをなびかせる幼女。魔法少女独立保守機構、ね。父さんの知り合いが今、CEOなのよね。


――魔法少女独立保守機構、か。魔法少女を集め、魔法少女のために戦う魔法少女の結社と言われているな。その先駆けに所属していたのがマナカ・I・シューティスターだ。さきがけの組織、魔法少女独立連盟。世界の端で、悪鬼(ジャバウォック)と呼ばれる魔物と戦うためだけに決起した連名で、その世界中の魔法少女が集まり、それがいつしか、世界を渡るようになり、主軸のメンバーを失い、マナカ・I・シューティスターが魔法少女独立保守機構を立ち上げたとされている。

 かつての主軸、【チャンカン使いのヴェルフ】、【ホウテイ使いの舞魚(まう)】、【チートイの烈】、【チンイツの清子(きよこ)】の4人の強さは半端なかったらしいな。マナカ・I・シューティスターは、その4人よりもかなり劣っていたそうだ。


 グラムがいつものように説明してくれるけど、4人とも麻雀(まーじゃん)かい。槍槓(ちゃんかん)河底撈魚(ホーテイラオユイ)七対子(チートイツ)清一色(ちんいつ)の名前から来てんじゃないの?魔法少女が麻雀すんなってのよ。


「で、誰と戦闘中なのよ」


 魔法少女独立保守機構は、それなりに大きな組織よね。そこと争っているってことは敵さんも十分に大きな組織ってことかしらね。それとも、組織ではなく、魔物討伐とか?いえ、あいつらって言ってるからそれはないわね。


「【最古の術師】って言われている組織らしいです。えと、ジョン・ディー、エドワード・ケリー、ネテスハイム、フルカネルリ、クリスチャン・ローゼンクロイツなどが所属しているとされています」


 エノク文字のジョン・ディーとエドワード・ケリーに、ネテスハイム……ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパね、それから「賢者の住居」のフルカネルリ、そして薔薇十字団のクリスチャン・ローゼンクロイツねぇ。その感じだと、フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムとか【カリオストロ伯爵】で有名なアレッサンドロ・ディ・カリオストロなんかもいそうよね。

 今までの歴史的な錬金術師が勢ぞろいで驚きよ。でも術師ってことは、それだけじゃなくて、魔術師や魔女なんかもいるのかもしれないわね。


「錬金術師ってのも厄介よね。しかも、歴史に名前を残すくらいには有名な錬金術師ともなると、さぞ強いんでしょうね」


 そうそう、あとは、サンジェルマン伯なんかも候補じゃないの。不老不死に近いやつらがほいほいいるってことは、それだけ凄い技術を持ってるんでしょうから強いんでしょうね。


「じゃあ、護衛みたいなもんでしょ?そのくらいだったら請け負うわよ」


 護衛任務なら前世で何度か受けたことがあったしね。どっちの前世でも、よ。紫雨零士の方でも、八斗神闇音の方でも、ってこと。ただし、八斗神闇音の方は、暗殺をするために、護衛任務を受けて、無事に要人を送り、安心させたところを殺すってやつだけどね。王族だけに単身暗殺が難しいってんで仕方なくその手を使ったのよ。


「助かるよ。じゃあ、行こっか」


 幼女がそういうわ。そうして、目の前に、不思議な穴が出現する。これってワープホール的なやつなのかしら。


「そだ、わたしは昏音。神楽野宮昏音だよ。別名、ウェスト・W・ウェディング。魔法少女としての名前は魔法少女くるくる♀けーき。んじゃ、レッツゴー……はできないみたいだね」


 ええ、そうみたい。この気配、何者かしら。あたしが【力場】の方に目をやると、そこには黒いローブを着た若い女が立っていた。この女、中々できるわね。


「あのおじいさん、何者でしょうか、姉様」


「さあ、でも、ヨボヨボだからって侮らない方がよさそうだね」


 おじいさん、ヨボヨボ……、見えているものに相違が出るのね。あたしも見た全裸マントの魔法童女、紳司曰く【力場】でそう見せてるから感知能力が高い人間には元の姿で見えるって言う、あれと一緒かしら。てことは、あたしか神楽野宮姉妹のどっちが正しいものを見ているか、って話よね。まあ、当然ながら、おそらくあたしが見ているものが正しいんでしょうけどね。


「ふむ、旭日(あさひ)のところへ戻らねばならんのだがな……。旧き友に誘われてここに来たのだが、失敗だったかな。

(ふぅ、旭日のとこに戻んなきゃいけないんだけど……。あいつらに誘われてここに来たのは失敗だったかしら)」


 あたしには言葉が年寄りのそれと普通のそれに二重に聞こえるわ。いや、徐々に、女の声だけ聞こえるようになってきたけど、それは意識の問題かしら?


「まあ、いいわ。相手になってあげましょう。どうせ、旭日も暇でしょうし、戦いもないから呼ばれることもないでしょうしね。あいつらには悪いけど、遠き日の邂逅(キャメロット)で呼ばれたら即帰るけど。そうでもない限りはのんびりできるしね」


 キャメロット……。キャメロットっていえば、アーサー王の王国があった場所のことよね。つまり、この女は、アーサー王伝説関係の魔法使いってこと。そんでもって、有名なのっていえば……、こりゃマズいかもしれないわね。


「あんた、まさかとは思うけど、マーリンじゃないでしょうね」


 マーリンは、アーサー王伝説に登場する魔法使いで、母親が高貴な女で、父親が夢魔だったことから、生まれた際に邪悪な力を宿していて、それを教会で払ったことで、魔法の力だけが残ったとされているわ。なんでもできる万能な魔法使いだったけど、最後は、愛した女に騙されて幽閉されて死んだとされてるわね。


「へぇ、どうやら、そっちにも鋭いとか言うレベルじゃない化け物がいるみたいね。参考までにどこで分かったか聞いていいかしら?」


 そっちにも、ってことは向こうにも鋭いやつがいるってことかしら。まあ、魔術師や錬金術師は学者なんかにも関係があるやつバッカだしね。


「キャメロットで浮かぶ魔術師はあんたくらいのもんよ、マーリンちゃん(・・・)


 あたしの言葉に、マーリンは、眉根を寄せた。なるほど、やっぱり、あたしが見ていたのが本当の姿のようね。


「まさか、見えているなんて……。驚きね。ただの人間ではないと思っていたけど、魔術師の類でもなさそうね。どちらかと言うと剣士とか騎士とか……いえ、それほど正しい道を望んでいない、しかし邪ともいえない、つまり、正義の暗殺者とでも言うのかしら」


 あら、魔術師の力であたしを見透かしたのかしら。あまりいい気分はしないんだけれど。まあ、いいわ。マーリンが相手なら不足はないわよ。


「で、そっちの魔法少女は、イシュタルって子の知り合いでいいのかしら。魔法少女をイシュタルに近づけないように、ってのが【最古の術師】たちの最初の目的らしいから、まあ、力を貸す以上、それだけはやらせてもらうわよ」


 なるほどね、イシュタル、さっき昏音も言ってたってことは、その【霊王の眼】か、それ以外の何かか、向こうさんもイシュタルを狙う理由があるってことね。


「じゃあ、あたしが相手になってあげるわよ」


 そうして、あたしはいつもの黒衣に身を包む。

 え~、遅くなって大変申し訳ありませんでした。そして、昨日のうちに投稿するつもりが、ちょうど天辺回りました。

 中間テストと課題とレポートで時間がろくに取れませんでしたから。マジで週1ペースになりそうで怖いです。頑張って次話は早めに投稿したいと思います。

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