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漂流ロックバンドの異世界ライブ!  作者: 桜餅爆ぜる
第三章『ロックバンド、砂漠の国を往く』

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十八曲目『作戦会議」

 ライブが成功し、結構な収益を得られた俺たち。

 これからもライブを続けて、ずっとこのまま……とはいかないんだよな。

 俺たちは今、マーゼナル王国から追われてる上に懸賞金までかけられてる。このヤークト商業国は王国の隣だから、居場所がバレればここも安全じゃなくなるだろう。

 どうしたらいいのか、俺たちはユニオンに来てアレヴィさんに相談することにした。


「やっぱり砂嵐の被害が多くなっているねぇ。頻度も多いし、どうしたもんか……」


 アレヴィさんはユニオンの職員と何か話していた。

 重要そうな話だし、話が終わるまで待っていようとすると、気付いたアレヴィさんが一度話をやめて俺たちに声をかけてくる。


「どうしたんだい?」

「ちょっと相談したいことがあって……お邪魔でしたか?」

「いいや、構わないよ。ちょっと待ってな……とりあえず、一番砂嵐が多い場所に偵察部隊を派遣しな。あと、商人たちに警告を出して、ついでに住人たちが避難出来る場所も一応手配しておいてくれ」

「分かりました」


 アレヴィさんのテキパキとした指示に、職員は足早に動き出した。


「さて、相談か……なら、執務室で話そうじゃないか。どうやら深刻そうな話みたいだからねぇ」


 俺たちの顔を見て察したアレヴィさんは、執務室に入れてくれた。

 椅子に腰掛けたアレヴィさんは、早速と言わんばかりに話を促してくる。


「で、どんな相談なんだい?」

「実は……」


 俺が王国の追っ手をどうするか、これからどうしたらいいのかを相談すると、アレヴィさんは顎に手を当てて悩み始めた。


「そうさねぇ。ま、この国にいるのは構わないけど、ここはマーゼナル王国の隣国だ。居場所がバレれば追っ手は山ほど来るだろうし、王国からの要請があればヤークトとしても動かざる終えないだろう。私たちユニオンが守るって言っても、やっぱり限度があるからねぇ」

「やっぱりそうですよね……」


 予想通りの答えに思、わずため息を吐く。

 すると、アレヴィさんは困ったように頭をガシガシと掻いた。


「私としては、あんたたちにこの国に残ってて欲しいんだけどねぇ。らいぶの噂は国中に広まってるし、あんたたちがユニオンメンバーだと知ってらいぶをしてくれって依頼も結構来てる。かなりの収益も見込めるし、商人たちもあんたたちがここに残るのを望んでるだろう」


 続けて、アレヴィさんは小声で「実を言うとこの国の王も、らいぶのこと知ってるらしくてね。城でらいぶをしてくれないか、って打診もあるんだよ」と話してくれた。

 この国の王様まで俺たちを評価してくれて素直に嬉しい。だけど、俺たちには目的がある。


「俺たちは、元の世界に帰りたいんです。魔族を倒さないと帰れないらしいんですけど……それも半信半疑。だから、確実に帰れる方法を探さないと」

「あたしもこの国好きだし、残りたいけど……やっぱり、帰りたいよ」

「ハッハッハ! オレもそうしたいところだが、元の世界にはオレのファンたちが待ってるからな!」

「ボクたちの、ね」

「……ぼくは、ライブが出来たら、どっちでもいい」

「きゅー」


 俺たちの考えを話すと、アレヴィさんはため息を吐いて執務室に置いてあるテーブルの引き出しを開ける。

 そして、そこから一枚の紙を取り出した。


「まぁ、そう言うと思ってたよ。残念だけど、こればっかりは止められないからね。この国から出るって言っても宛がないだろう? 私の知り合いで、同じユニオンマスターの奴に手紙を出してやるよ」

「本当ですか!?」

「あぁ。あんたたちはロイドの弟子だったんだろう? そのことを話せば、あいつなら二つ返事で了承するだろうさ。手紙が届くまで時間がかかるから、それまではこの国でらいぶでもして待ってるんだね」


 アレヴィさんの計らいで次の目的地が大体決まったな。

 で、だ。アレヴィさんはライブでもして待ってろって言ったけど……俺たちにはまだこの国でやり残してることがある。

 __黒豹団の捕縛依頼。そして誘拐されたガンドさんの娘さん、シェラを助けることだ。

 それに……。


「黒豹団のリーダー、アスワド・ナミルとの決着つけないとな」


 アスワドにやられた右腕を軽くさする。もう痛みはないけど、どうにも気になってしまう。

 やられたら倍で返してやる。ボコボコにして捕まえて、娘さんを取り戻してガンドさんのところに送り返す。

 それをしないことには、俺は次の国に行くことなんて出来ない。

 そう話すとアレヴィさんはニヤリと笑みを浮かべた。


「そうかい。なら、黒豹団についてはあんたたちに一任するよ。好きにやりな。協力が必要ならいくらでもいってくれて構わないよ」


 アレヴィさんの頼もしい言葉に、俺たちは笑って頷く。

 さて、改めて黒豹団を捕まえる作戦を練らないとな。

 何度か話し合って考えてはみたものの、いい作戦は今のところ思いつかないでいる。

 そもそも、黒豹団をおびき出さなきゃいけないんだよな。御者になりすます作戦は一度失敗しているし、あれから黒豹団に御者が襲われていないことから多分あいつらも警戒してるんだろう。

 どうしたものかこの場で考えつかないまま、俺たちは一度宿に戻って作戦会議の続きを始める。


「はーい、もう何回目になるか分かんないけど、『黒豹団絶対にぶっ飛ばす作戦』の会議を始めるぞー。誰かいい案ないかー?」


 机にグダッと突っ伏しながら言うと、みんなが頭を悩ませながら閉口していた。

 出せる案はほとんど出し切ってるし、こっからいい案が出るか微妙だ。

 いつもならいい作戦を思いつく真紅郎も、今回ばかりはお手上げ状態みたいだな。


「戦うのは確定だとしても、相手の戦力は不明。人数も不明。居場所も不明。そもそも、どうやっておびき出せばいいのかも分かんないからね……」

「ハッハッハ! オレは思いつかないから、頼んだぜ!」

「ウォレスも少しは空っぽの頭働かせてよぉ……」

「ハッハッハ! 空っぽか! ……え? やよい、さすがに酷くないか? オレ、傷つくぜ?」

「……お腹空いた」


 やよいの一言にショックを受けているウォレスは放っておくとして、真紅郎の言う通り、黒豹団に関する情報はほとんどない。

 サクヤは最初から考える気がないみたいだし、キュウちゃんも暇なのか丸くなって眠っている。

 かと言って俺もいい作戦が思いつかないしなぁ……本当にどうしたらいいんだ?


「あー、出て来いって叫んでみるか?」

「ウォレスみたいなバカなこと言わないでよ。それで出てきたらウォレス並のバカでしょ」

「ちょ、やよい? やよいさん? 死んじゃう。オレ、死んじゃうって。あんまり酷いこと言わないで? ねぇ?」

「ウォレス、うるさいよ」


 真紅郎にバッサリ言われたウォレスは、部屋の隅でうずくまった。ドンマイ。


「ねぇ、なりすまし作戦はやっぱりダメそう?」

「うーん、ちょっと厳しいだろうね。同じ作戦が通用するとは思えないかな?」


 頭を抱えたやよいが、なりすまし作戦を提案するも真紅郎が却下する。

 さすがに同じ作戦はなぁ、と思っていると何か思いついたのかやよいは勢いよく立ち上がった。


「それって商人とか御者になりすますのは無理ってことだよね!? じゃあさ……」


 やよいが思いついた作戦を話し始める。

 その作戦は……発想の転換。誰も思いつかなかった、面白い作戦内容だった。

 話を聞いた真紅郎は、顎に手を当てて考え込む。


「うん、ちょっと甘いけど……発想はかなりいいね」

「俺もそう思う。これ、意外といけるんじゃないか?」

「でしょ!?」

「……オレも賛成(アグリー)

「……それでいいと思う」


 やよいの考えた作戦に、俺たち全員が賛成する。

 じゃあ、それを元に作戦を煮詰めていこうか。

 必要なのは、アレヴィさんとユニオンメンバー、そして住人の協力だな。

 なんか、面白くなってきたな。

 俺たちは黒豹団を捕まえる作戦を朝方まで話し合い、アレヴィさんに内容を伝えた。

 アレヴィさんもニヤッと笑いながら「面白いじゃないか。いいよ、協力しよう」と太鼓判を押してくれた。

 俺たちは作戦実行のための準備を始める。色んな人に秘密裏に協力して貰い__三日後。


 とうとう俺たちは『黒豹団絶対ぶっ飛ばす作戦』の決行日を迎えた。


 


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