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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間: 伊500潜、大西洋へ進出す

【伊500潜、栢原かやはら保親やすちか


 無事にパナマ運河攻撃作戦が終了し、安堵していたら、今度は大西洋へ行けときた。

 それなりに休暇は取らせてもらったが、軍令部も人使いが荒い。


 しかし今回の任務は、高性能な伊500潜にしかできないことだ。

 お国のため、もうひと息がんばろうではないか。


「艦長、艦隊司令から出港命令が下されました」

「お、そうか。我が艦の補給は万全だよな?」

「もちろんです」

「ハハハ、先任に対して、愚問だったな。よし、出港しよう」

「了解です。出港準備~」


 こうしてミッドウェーから、はるばる南米大陸を回って、アメリカ東海岸を目指す旅が始まった。

 なにしろここから南米の南端まででも、1万4千キロあるのだ。

 さらに東海岸の北部までも、同じくらいある。


 ひと昔前では、考えられんような長距離航海だ。

 しかしこの伊500型潜水艦なら、それも不可能ではない。

 なにしろ燃料だけなら、2万海里(約3万7千km)分ぐらい積めるからな。

 (ちなみに史実の伊400型潜水艦は、37500海里もあった)


 おまけに今回は秘密裏に、イギリスから燃料や食料の補給を受けられるのだ。

 時間は掛かるが、なんとかなるだろう。

 せいぜい敵に見つからんよう、気をつけんとな。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 南米への航海は、順調だった。

 もちろん、荒天やちょっとした故障など、トラブルはあった。

 しかし荒天は潜ってやり過ごせばいいし、本艦は整備性も良い。


 何より居住性に優れる本艦は、乗員たちの士気を保つのも、さほど難しくない。

 おかげで大した問題もなく、南米の南端を回りこんで、フォークランド諸島へ到達した。

 そこのイギリス基地で補給と休養をすませた我が艦隊は、米東海岸を目指して航海を再開する。


 まずはブラジルを回りこんで、さらにアメリカ北部へ向かった。

 それは無限に続くかに思われたが、やがてそれも終わる。

 とうとうニューヨーク沖へ到達したのだ。


 ここまで来ると、さすがに航空機や艦艇による哨戒活動が行われている。

 我々はそれに引っかからないよう、息を潜めて散開し、攻撃の時を待った。

 やがてアメリカ時間の深夜0時となり、行動を起こす。


「潜望鏡深度へ浮上。到達しだい、潜望鏡とアンテナを展開せよ」

「潜望鏡深度へ浮上~。潜望鏡とアンテナの展開準備~」


 目標深度へ到達すると、すぐに潜望鏡と各種アンテナを展開する。


「逆探、電探に感なし」


 それを聞いて私も潜望鏡を巡らせ、周囲に艦影がないことを確認した。


「周囲に艦影なし。海面に浮上するぞ。砲術班はすぐに取り掛かれるよう、待機」

「海面に浮上~。砲術班は待機~」


 すみやかに海面に浮上すると、私は航海艦橋へ上がる。

 新鮮な空気を楽しみながら、周囲の警戒を始めた。

 そのうちに本艦の水密格納筒の扉が開かれ、作業員の声が聞こえてくる。


「引き出し、急げ! もたもたしてると、敵さんが来るぞ~!」


 すぐに桜花が引き出されてきて、カタパルトにセットされる。

 さらに作業員が取りついて、桜花の翼を展開して固定していた。


「翼の固定、完了しました!」

「よし。エンジン点火!」

「エンジン点火!」


 すぐさまエンジンに火が入り、ジェットエンジンの甲高い音が響きはじめる。

 やがて作業員が避難すると、”桜花、発射”の号令が掛かった。

 次の瞬間にカタパルトが作動して、桜花がすごい勢いで撃ち出される。


 それはグングンと高度を上げていき、やがて”水平飛行”の号令が掛かる。

 すると桜花が水平飛行に移行し、陸地に向けて飛んでいった。

 一応、人気のない場所に照準を合わせてはいるが、はたしてどうなるか。


 我が艦隊はそれぞれが数十kmの間隔で展開し、デラウェア、ニュージャージー、ニューヨーク州の陸地に向けて桜花を放っていた。

 弾頭には焼夷剤が詰めこまれているので、落下地点は火の海になるだろう。

 その被害は一体、どれほどのものになるのか?


 同時に我が国からは、アメリカ東海岸の攻撃声明が出されることになっている。

 遠からず、アメリカ人は東海岸も安全でないことを、思い知るのだろう。

 そのうえでどのような反応が起きるのか?


 我々は各艦に桜花を、まだ7機も持っている。

 当面はアメリカの様子をうかがいながら、桜花を陸地に撃ちこんでいく予定だ。

 さっさとアメリカが停戦交渉に応じてくれればよいのだが、そう上手くはいかんだろうなぁ。


 我々が日本へ帰り着くのは、いつになることやら。

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三国志モノの新作を始めました。

逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

― 新着の感想 ―
[一言] 行き当たりばったりで適当だな。 なろう系だけど、昔の架空戦記の方がまだ説得力あったかな。
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