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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間: 日本領土を攻撃せよ

 私の名はヘンリー・アーノルド。

 アメリカ陸軍航空軍の司令官だ。


 なにやら怪しい理由で、我が国は日本と戦争をすることになった。

 それに対し、我が航空軍は当面、フィリピンやグアムから爆撃をするものと思っていた。

 しかしその攻撃はあっさりとはね返され、両基地を失陥してしまう。


 おまけに太平洋艦隊が大敗北を喫すると、大統領がとんでもないことを言いだした。

 アリューシャン列島から、日本の首都を爆撃しろと言うのだ。

 優に2千マイル(約3200キロ)以上あるのに、どうやってやれというのだ。


 私は腹心の部下と共に、爆撃案を検討する。


「アッツ島からトーキョーでは、2千マイル以上ある。これではどんな爆撃機を使っても、片道飛行になってしまうぞ。私は兵士にそんなことは、命令できない」

「そうですね。B17では片道すら届きませんし、YB24(B24の増加試作機)でも往復は不可能です。いっそのこと、トーキョーは諦めては?」

「トーキョーでなければ、どこを爆撃するのだね?」

「ここです。このエトロフ島なら、アッツから1200マイル程度です。爆弾を減らせば、YB24で帰還できるかもしれません」

「う~む、日本の最果てで、しかも爆弾を減らすとなれば、ほとんど被害など与えられないだろう?」

「それでもいいのです。聞けば日本の家屋は、木と紙でできているそうじゃないですか。焼夷弾をばら撒けば、それなりの効果は得られますよ」


 私は部下の提案にうなずきつつも、別の案が閃いた。


「なるほど……いや、待てよ。少量の焼夷弾であれば、飛行艇でもいいのではないか? たしか海軍には、PB2Yコロネドがあったはずだ。あれなら飛行場も要らないし、海上で燃料補給できる」

「ああ、それはいいですね。手っ取り早く成果を求めるなら、そちらの方がいいかもしれません」

「よし、YB24とPB2Yの両方で、爆撃案を作成して、大統領に判断してもらおう」

「はい」


 その後、2つの案を作り、大統領に提案してみた。


「これらの状況から、我々はこの2つの爆撃案を提案いたします」

「むう、アッツ島から爆撃機を発進させるか、飛行艇を使うか、か。しかし飛行艇では、大した攻撃はできないだろう?」

「それはそうなのですが、YB24は8機しかありませんし、往復のためには爆弾を減らさざるを得ません。結果的には、むしろPB2Yの方が落とせる爆弾は多くなります」

「そういうことか……ならばPB2Yで、トーキョーを空襲できんかね?」


 やはりそう来たか。

 しかしそれはあまりにも危険だ。


「さすがに首都を狙うとなりますと、強い反撃を受ける可能性が高いと思われます。先のマリアナ沖海戦の結果から見て、日本の迎撃能力を侮るべきではないかと」

「しかし一度でも爆撃をすれば、次からはさらに警戒が厳しくなるぞ」

「現状では戦力も時間も足りません。ここは高い目標を追うのではなく、確実な成果を求めるべきでしょう」

「ふむ……そうだな。PB2Yでエトロフを爆撃する計画を、進めてくれ」

「は、了解いたしました」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺の名はマイク・スミス。

 アメリカ海軍の飛行艇乗りだ。


 そして今、俺はPB2Y飛行艇に乗り、日本へ向かっている。

 エトロフとかいう島を、爆撃するためだ。

 ジャップの野郎ども、小癪にも我らが太平洋艦隊を、ボコボコにしてくれやがった。


 その報復として、日本固有の領土を爆撃して、俺たちの抗戦意思を示してやるのだ。

 聞けば日本の家屋は、木と紙でできてるから、よく燃えるらしい。

 だから積める限りの焼夷弾を、積んできてやったぜ。


 ちなみに我らがPB2Yは、こんな飛行艇だ。


【PB2Y コロネド】

長さx幅:24.2x35.1m

自重  :19トン

エンジン:P&Wツインワスプ 空冷星型14気筒x4

出力  :1200馬力x4

最大速度:毎時360キロ

航続距離:3717km

武装  :12.7ミリ機銃x8

     450kg爆弾x12

乗員  :10名


 どうだ、凄い性能だろ?

 これがあればジャップの領土を、多少は焼き払ってやれるって寸法だ。

 ククク、今に見てろよ。


 俺たちは20機で編隊を組んで、北太平洋を西進していた。

 そろそろエトロフが見えてこようかという頃、見張り兵から警報がもたらされる。


「2時上空に敵機! 速いです」

「なんだと! なんで上につかれてんだよ?」

「おそらく日本のレーダーに、引っかかったんでしょう」

「馬鹿な! イエローモンキーがそんなもん、持ってるはずがねえ!」

「敵、来ます!」

「うわ~~っ!」


 その後は悲惨だった。

 味方以上の数の戦闘機に襲いかかられ、バタバタと味方機が落ちていく。

 俺は早々に爆弾を捨て、回避行動に移ったのだが、やはり甘くはなかった。


「右側エンジン停止。左も時間の問題です。ぐあっ!」

「ぐふっ……マ、マジかよ。こんなとこで、死ぬなんて……」

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三国志モノの新作を始めました。

逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

― 新着の感想 ―
[一言] これ、アラスカ占領する口実にしかならんよなー 高空を飛んでるはずの爆撃機の更に上を飛んでたと。 そりゃショックだろうよ。
[一言]  アメリカ陸軍航空隊と海軍航空隊の関係  ネット上で読める記事だと、「戦間期における米陸軍航空のエア・パワー」が面白いです。戦間期の陸軍航空隊の存在意義が沿岸防衛で、B-17は半ば以上、そ…
[良い点] PB2Y コロネドか〜 水上安定性がイマイチで217機しか製造されず 輸送任務ばかりやってた機体の20機が失われちゃいましたね。 1200馬力エンジン×4のわりには360キロの速力だもんな…
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