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未来から吹いた風2 《軍人転生編》  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間: 流星攻撃隊、奮戦す

 俺の名は田中正治。

 しがない海軍の艦攻乗りだ。


 5年ほど前に海軍に入隊して、そろそろ除隊しようかと思ってたら、その前に戦争が起こっちまった。

 なんと超大国のアメリカが、日本に因縁をつけてきたってんだ。

 奴らは日本の海防艦を沈めたうえで、こっちに責任をなすりつけてきたらしい。

 なんてひでえ話だ。


 もちろんそんなことをされて、日本も黙ってるわけがない。

 毅然とアメリカを非難して、戦争準備に入った。

 戦争なんてやりたくはないが、受け身に回るだけじゃあ、やられちまうからな。


 幸いにもマリアナや台湾では、敵の攻撃を払いのけたらしい。

 そしていよいよ艦隊決戦だってんで、俺たちも出動だ。

 俺は空母翔鶴の攻撃隊員として、マリアナ近海へ乗り出した。


 やがて敵艦隊が発見され、俺たちに発進命令が下る。


「我々はこれから、敵艦隊の攻撃に発進する。敵は大国のアメリカだが、それほど心配することはない。我が国の航空機は、決して奴らには劣っていないからな。敵艦のどてっぱらに、爆弾や魚雷をぶち込んでやれ。それから万一、撃墜されても、簡単に諦めないようにな。お前らの訓練には、莫大な時間と金が掛かっとるんだ。なるべく助けに行くから、生き残る努力をするように。それでは解散」

「「「はっ!」」」


 俺たちはすぐさま、99式艦上攻撃機 流星に乗りこんだ。

 この流星は、爆撃も雷撃もできる万能機で、速度性能も戦闘機並みなんだぜ。

 こんな機体は欧米でも実現してないっていうから、日本の技術力は大したもんだ。


 俺がやったことじゃないけど、なんか誇らしい。

 おまけに今、俺たちが抱えてる99式航空魚雷が、これまた凄い。

 すばらしい高速性能と航続距離だけでなく、敵艦に向かっていく誘導機能まであるんだぜ。


 魚雷ってのは従来、敵艦から2千メートル以内、必中を狙うなら千メートルまで近づいて撃つもんだった。

 それが3千メートル以内でいいっていうんだから、夢のような話だ。

 おかげで敵の対空砲火にやられる恐れが、激減したんだからな。


 この魚雷を開発したヤツになら、俺の姉さんを嫁にやってもいいぐらいだ。

 まあ、あんな姉貴でよければ、だがな。


 やがて攻撃隊の発進が始まり、俺たちも空に飛び立った。

 部隊が全て上がると、俺たちは編隊を組んで、先導役の彩雲についていく。

 彩雲には電探っていう機械が付いていて、敵艦まで的確に導いてくれるんだぜ。


 おかげで俺たちは空振りになったり、迷子になったりする可能性が減って、万々歳だ。

 それにこの機体にも、高性能な無線機が付いてるから、意思の疎通がしやすくて助かる。

 流星、サイコー。


 しばらく飛んでいると、やがて敵艦隊が見えてきた。

 すでに敵の戦闘機は駆逐され、制空権は確保されてるみたいだ。

 さすがは97艦戦だな。


 さらに俺たちより先行していた攻撃隊が、敵輪形陣に穴を開けている。

 それを見て取った隊長機から、攻撃指示が下された。

 よし、俺たちの獲物は、空母だな。


 俺は高度を下げて、輪形陣の穴に針路を取った。

 そしてグングン標的に近づくと、やがて雷撃距離に到達した手応えを感じる。


「投下よう~い、テッ!」


 魚雷を投下した途端、フワリと機体が浮き上がるのが分かった。

 同時に右に操縦桿を切って、戦場からの離脱を図る。


「魚雷は無事に着水しました」

「了解。当たるといいがな」

「99式魚雷なら大丈夫でしょう」


 後席の山田隊員が、魚雷の状況を教えてくれる。

 やがて戦場を抜け出して、上空で待機していると、後席から嬉しそうな声が上がった。


「やった! 空母の後部に水柱が上がってます。たぶんウチのですよ」

「そうか。それは良かった」

「お見事でした」


 どうやらちゃんと仕事は、果たせたようだな。

 これで胸を張って帰れる。


 その後もチラチラ海上を見ていると、何度も水柱や爆炎が上がるのが見て取れた。

 すでにほとんどの空母は足が止まり、息も絶え絶えな感じである。

 やがて翔鶴攻撃隊が集合すると、無線で帰投命令が伝えられる。


 俺たちは再び彩雲に導かれて、母艦への帰路についた。

 すると山田隊員が、上機嫌で話しかけてくる。


「やりましたね、機長。これでアメリカの空母は、壊滅状態ですよ」

「ああ、そうだな。だけど敵の攻撃隊も、日本艦隊に向かったんだろ? 帰ったら同じ目にあってるかもしれないぜ」

「ん~、たぶん、大丈夫じゃないですかね。俺のダチが防空班にいるんですけど、なんか凄いらしいですよ。我が軍の対空射撃は」

「へ~、そうなのか? まあ、直掩の戦闘機もいるし、なんとかなるのかな。無傷とは言わないまでも、なんとか着艦できればいいな」

「そうですね」


 そんな話ができるほど、俺たちの気分は軽かった。

 そのまま迷いもせずに、艦隊を見つけたが、煙のひと筋も上がっていない。

 どうやら本当に無傷で切り抜けたらしい。


 無事に着艦して、敵の攻撃について聞くと、被害はほとんど無かったという。

 さすがにアメリカ人にも根性のあるヤツがいて、至近弾は食らったらしいが、それだけだと。

 我が艦隊の対空砲火は、本当に凄いらしいな。


 う~ん、これならアメリカにも、負けないですむのかな。

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逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

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[気になる点] 着陸ではなく着艦ですかね
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