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亭主様と恋の種  作者: まるあ
第一章 種は勘違いの末に
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いきなりですが、結婚しましたっ。2

お気に入り登録をしてくださった皆様、ありがとうございます!!

とっても嬉しいからか、指がスラスラと動いてしまいました!(^^)!


この調子で一人突っ込みの鈍感娘を書いていきます☆

 私が自分の夫となった青年さんに言った一言は、彼にとってとても衝撃的な言葉だったらしいです。

 この国では一般的な翡翠色の瞳を、零れ落ちそうな程の勢いで見開いて固まっています。


 絵で言うと、黒く塗りつぶした背景に雷がたくさん落ちて、その中心に彼が居る様な感じでしょうか。

 


 世の中の終わりの様な顔をさせて、ごめんなさいっ!!


 本当に、貴方様のお名前を知らないんです。

 だっていつも「お客様」と呼んでいたんですから。


 ……「お客様」って呼ぶのはまずいですよね?



 微動だにしない青年さんは、後ろから近づいてきた筋肉隆々のオジサンに声をかけられて、我に返った様子です。

 目を開き過ぎて乾燥したのか、瞳を瞬いています。

 何かの小動物みたいで、年上だと思えるのに可愛いと少し思ってしまいました……。



 あっ、額に手を当てて、はぁ~~っと長い溜息を吐いています。



 どうしたんでしょう。気分でも悪くなったんでしょうか?

 お父さん直伝の『元気モリモリ気分すっきりジュース』でも出しましょうか?

 高熱が出てても、ジュースを飲めば熊を倒せちゃうほどの元気が出るそうですよ?


 あ、でもここじゃあ無理ですね。

 材料がありません。



 困っている私が、どうしましょうと彼を見上げると、指と前髪の隙間から覗いている瞳と目が合いました。

 なぜか目があった途端、彼は両手で顔を覆って座りこんでしまいました。


 

 えええええっ?!

 本格的に気分が悪いのですかっ??

 筋肉オジサンッ!! その素敵筋肉を駆使して、早く病院に連れて行ってあげてくださいっ!!

 

 


 座りこんだ青年さんを前にワタワタと慌ててしまいました。

 筋肉オジサンはその体格に見合ったとても素敵な大笑いをして「何だお前は肝心な事を言ってなかったのか~~!あ~っはっはっは~っ!!」と言いながら座りこんだ青年の頭を乱雑に撫でまわしています。

 頭を乱されながらも、青年さんは私の先ほどの問いに答えてくださいました。



 「……………リウヴェル。 リウヴェル=ホルスタインです」

 



 なぜか真っ赤な顔になりながら、泣きそうな声でした。

 なぜでしょう?



 そんなにその名前が恥ずかしいのでしょうか……?


 

 …………。

 ……。

 …。



 あっ!

 ホルスタインというセカンドネームですねっ!!

 大丈夫ですっ!!!

 立派な名前ですよっ!!!!

 それに、可愛いじゃないですかっ! 乳牛さんですよ?

 私、牛さん大好ですしっ!!

 というか、動物全部が大好きですっ!



 うんうんと、首を振って自己満足した後、リウヴェルさんに私の名前を名乗っていなかったのを思い出し、口を開きました。

 


 「私はココットですっ! 」 

 


 挨拶の握手のつもりで出した手を、リウヴェルさんは何故か跪いて騎士の様に手にキスをしました。

 なぜか私の手の平に彼の唇が当たっています。

 普通、手の甲じゃないんでしょうか?!

 まだお客様方がいらっしゃるので、辺りは騒然としているのですが、チュッと音が聞こえた気がしました。




 唇が触れた場所が、熱を持って熱いくらいです。

 彼が今見つめている私の顔も、何だか熱くなってきました。




 「―――知っています。 自分がプロポーズして、結婚したのだから。 ……それと、ココット嬢の心の声が、口からダダ漏れていますよ? 」

 「……ええっ?! 」

 「俺は、あなたを抱き上げて小躍りできそうなほど絶好調です。……ですが、店主直伝のジュースは是非とも後で作ってもらいたいです。あと、ホルスタインの名前を『乳牛』と連想した事はないです。あ、可愛いと言ってもらえて嬉しいです。今日からココット嬢もこの名前を名乗るのだから」


 

 こちらが見とれる程の笑顔を浮かべるリウヴェルさんの言葉を聞いて、ふと思い出してしまいました。



 

 私って、リウヴェルさんと結婚したんですよね……?

 



 「リウヴェルさん、あのですね。……失礼とは思いますが、聞かせてください。いつ私が、リウヴェルさんのプロポーズを受けたんでしょうか? それに、……大変言いづらいのですが、あの、私って、あなたと付き合っていましたか? 」

 


 跪きながら向き合うリウヴェルさんは、とても照れた表情を浮かべています。

 でも、その上目遣いはダメですよ。

 赤い頬に、潤んだ瞳でそんな上目遣いで見られたら、こちらも照れてしまうじゃないですかっ!

 胸がドキドキ言ってるじゃないですかっ!

 

 


 ……でも、なぜでしょう。

 今の言葉のどこに、そんなに彼が照れる要素があったのでしょうか……。

 どちらかというと、傷つける要素が大いに含まれている気がしますが……?


 

 不思議な人ですね、リウヴェルさん。




 「―――今、初めて名前を呼んでくれましたね。 しかし、これからは、ヴェル、と」


 あ、名前を呼ばれて嬉しかったんですね。

 ベル……、ヴェエル? 

 ヴェル、さんですね。了解しました!

 しかし難しい発音ですね。たまにベルと言ってしまうかもしれません。




 あの……とりあえず、この手を離してくれないでしょうか?

 そんな潤んだ瞳で見上げられ、手を包まれると恥ずかしいです……。


 「……あの」

 

 私が口を開きかけた時、ヴェルさんはクツリと笑いながらそっと立ち上がり、私の腰に手を回し、部屋の外へと促しました。


 「ココット嬢は何時もそうやって百面相してますね。見ていて飽きません。とりあえず、着替えて家に帰りましょうか。 本当はその衣装のまま連れて帰りたいんだけれど、あいにくソレは借り物で……」



 あの、あの。

 着替えるのは判りました。

 私もこんな高そうな衣装を着ているのは怖いです。

 転んで泥でも付けたら、クリーニング代が高そうですし……。

 でも、でもでもっ!

 腰を撫でてるのはなぜですか?!

 エスコートと言う事をしてくださってるのはわかるんですが、撫でる必要があるのでしょうかっ??



 ああああああっっ!!




 それに、話を逸らして聞いて無かった事にしてませんかっ??

 ……えっ?

 家で聞かせてくれるのですか?

 ……そうですか。じゃあ、家の方に参ります!! 

 

 

 

 

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございます!!


さて、今回の後書きは趣向を凝らして、名前の由来を書こうかと思います。




主人公の名前は、ココット皿を見ていて思いつきました。

お腹が空いていた時に書いたので(^_^;)だから、ココットの家は食堂になったんだと思います。


ヴェルは……、実は牛乳を見て思いつきましたっ(>_<)

牛乳パックに書いてある牛の絵→乳牛→ホルスタイン……^_^;

本当は名前も牛にちなんでカウベルにしようかと考えてもいました(ー_ー)!!

でも「カウベルにホルスタインって…そのまんま牛じゃんっ?!」と思い直しました☆


……カウベルの方が良かったでしょうか?


次回のあとがきには「リウヴェル」にした意味を書きますね!(^^)!

また読んでもらえると嬉しいですっ!!!

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