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死に戻り白豚勇者、日本で準備万端ととのえて、いざ異世界へ(※ただし彼は洗脳されている)  作者: 優木凛々
第3章 リベンジ

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14.招かれざる客


シオンが辺境伯領に到着して、7日目。

ゾフィア率いる第2陣が到着した、翌日の朝。


領主館2階に設置された作戦会議室にて。

シオンが、ゾフィアにこれまでの経緯を説明していると、外から誰かが叫んでいる声が聞こえてきた。


怪訝に思って窓の外を見ると、そこに止まっていたのは、黒塗りの立派な馬車。


シオンは目を細めた。


――なんだか、すっごく嫌な予感がする。



ゾフィアと共に急いで下に降りてみると、そこには究極に機嫌の悪そうな辺境伯と、偉そうな顔をしたヒゲの神官が、睨み合うように立っていた。

2人を取り囲んでいるのは、殺伐とした雰囲気の辺境伯所属の騎士達と、白い鎧を着た教会騎士達。


シオンは暗い気分になった。


――出発前に、何度も「慰問禁止」って通知したのに、なんで来てるんだよ……。



シオンが近づいていくと、神官の男が偉そうな顔をして言った。



「貴殿が総司令官のタダ・シオン殿ですな。お初にお目にかかる。プレリウス教司祭のリヒテルと申す」


「タダ・シオンです。ご用件はなんでしょうか」


「これから聖女シャーロット様がこの地を訪れます。つきましては、歓待の準備をするように」



ゾフィアが、ボソッと呟いた。



「歓待の準備って、 王宮と同じクオリティの待遇を準備しろってことよね。勝手に押しかけておいて、よくそんなことが言えるわね~」



シオンは呆れ果てた。


辺境伯領は、魔王討伐準備や避難民の世話でてんてこまいだ。

館内の使用人も騎士達も、皆走り回っている。

この忙しい状況を目の当たりにして、よくもそんなことが言えるものだ。


神官の男が、偉そうに口ひげを引っ張った。



「私は教会の代理として来ております。私の言葉をお断りになるのであれば、教会が黙っておりませんぞ」



シオンの中に、沸々と怒りがこみあげてきた。


辺境伯領に着いてから、シオン達は寝る時間も惜しんで頑張ってきた。

人的・物理的被害を最小限に抑えようと、策を練り、みんなで協力して取り組んできた。


――それなのに、こいつらは自分のことしか考えてない。

――ふざけるなよ、この野郎!



シオンは、軽く息を吐くと、低い声で言った。



「お断りします」



神官の男が、目を剥いた。



「なっ! 今の話を聞いていたのか!」


「聞いていましたが、それが何か?」


「な、生意気な! きょ、教会を敵に回すつもりか?! この下賤な異世界人め!」



シオンは、カッとなった。


――下賤はお前だ、ふざけるな!



彼は使者の男を睨みつけながら、冷たい声で言った。



「私の仕事は、魔王討伐するために最善を尽くすことで、教会の機嫌を取ることじゃありません。そもそも訪問自体を禁止しているのに、なぜここにいるんですか?」


「き、貴様っ! どこの骨とも分からぬ平民の分際で! 平民は平民らしく大人しく我らに従え!」



口汚く罵る神官と、殺気立つ教会騎士達。



その瞬間。

シオンの中で、何かがブチッと切れる音がした。


怒りと共に、魔力が体内から漏れ出す。



「な、な……!!!」


「……ひ、ひぃぃぃ……!」



その圧倒的強者のオーラに、ガタガタと震えだす騎士達。



「た、た、助けてくれ!!!!」



ぺたんと尻もちをついて、怯え切って叫ぶ神官。



ゾフィアは、彼等の情けない様子を見て、クスリと笑うと、鋭く相手を睨みつけているシオンの肩を、ポンポン、と、叩いた。



「まあまあ~、総司令官。落ち着いてくださいな。来たいと言うなら来て頂けばいいじゃないですか。

ただし、こちらは王女の部屋を準備するだけ。食事も特別に用意しないし、騎士達の面倒を見なくていい。教会側は、こちらの許可なしに行動しないと約束する。

――これでいいですよね~、使者さん?」


「し、仕方あるまい。譲歩する!」


「じゃあ、その旨一筆書いて下さいな~。後から揉めると困りますので」


「し、しかし……」


「教会の代表なんでしょ~? サインくらいできますよね~?」


「わ、分かった!」



その旨記載された書類にサインをして、逃げるように去っていく使者たち。


その後ろ姿を見ながら、ゾフィアは大笑いした。



「面白かったわ~。ざまみろよね~」



辺境伯が苦笑いした。



「やれやれ、教会というのは本当にロクでもないですな。こちらの弱みに付け込むことしか考えていない」


「引き返して、その途中に怪我なんかしたら、それこそ全部こちらの責任になりますからね~」


「つくづく呆れた奴らだ」




シオンは、何度も深呼吸して心を落ち着けると、ハアッと溜息をついた。


怒りのあまり、我を忘れそうになってしまった。

ゾフィアが出てきてくれなかったら、何かとんでもないことをしてしまった気がする。


――怒るのはいいけど、我を忘れちゃ駄目だよな。



ほんのちょっぴりだけ反省するシオン。


そして、溜息をつきながら思った。

やっぱり来るのか、と。


――シャーロット王女と教会は、明らかに破滅フラグだ。

――本気で注意しないと絶対にヤバいことになる。



シオンは気合を入れ直した。

色々と気を付けることはある。

だが、まずは、兎にも角にも、前回(召喚1回目)のように現場を引っ掻き回されないようにせねば。

ここは総司令官である俺が頑張るしかない、と。





そして、この数時間後。


シャーロット王女一行が到着。


神官が作った契約書は無効だとか、王族に対して生意気だとか、王女の慰問が第一優先だ、とか、そんな感じでゴネまくったが、シオンの


「これは総司令の命令だ。従えないのであれば懲罰対象とする」


という、逆らえば実力行使も辞さない構えを見て、沈黙。


顔を引き攣らせたシャーロット王女とエミールは、領主館の離れにある客間へ。

護衛騎士達は、臨時テントに案内されていった。






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