23.街での決心
異世界召喚されてから、4カ月。
これまでの成果は下記。
・騎士団の訓練で、中級騎士相手に、たまに 1 本取れるようになった
・土魔法と水魔法が上級レベルまで使えるようになった
・光魔法が自由自在に使いこなせるようになった
剣と魔法については、超順調。
特に魔法は、あまりの成⾧速度の速さに、ゾフィアに遠い目をされるようになった。
この世界の魔法はイメージなので、漫画やアニメの魔法知識がかなり役に立っている。
特に大きな波もなく、順調に過ぎていく日々。
――しかし、シオンの心は晴れなかった。
理由は、シャーロット王女の件だ。
日本の仲間からの手紙のお陰で立ち直りはしたが、さすがに一気に吹っ切ることは出来ず。
ゾフィアに頼んでいる魔道具の解析結果が気になることもあり。
時々思い出しては、重い気分を持て余す日々。
――そんな、ある日の放課後。
シオンが部屋で本を読んでいると、突然ジャックスとアリスがやってきた。
「一緒に買い物に行かないか?」
2人は、辺境伯領にいる家族へのお土産が買いたいらしい。
特に買いたいものが思い当たらないシオンではあったが、せっかく誘ってくれたのを断るのも悪いと思い、2人に付いて行くことにした。
ジャックスが準備した馬車に乗り込む3人。
そして、街に着くと。
3人はそれぞれ別行動することになった。
待ち合わせ場所は、ジャックスお気に入りの定食屋。
「そんじゃ、またな!」
「ん。またね」
「ああ。またな」
手を振りながら歩いていく2人を見送った後。
シオンはフラフラと街を歩き始めた。
屋台で買った林檎のような果物を手に、繁華街の少し外れを、のんびりと歩く
そして、しばらく歩き回った後。
彼は、公園の古びたベンチに座ると、フウッと息を吐いて、呟いた。
「……ダメだな、俺。なんか世界を救う男っぽくない」
考えても仕方ないことだと分かっているのに、なぜか気が付くと考えている。
ウジウジ悩んで男らしくない。
もういい加減立ち直らないと。
シオンが悩まし気に溜息をついていた、――その時。
彼の目に、斜向かいにある大きな洋服店が飛び込んで来た。
小ぎれいな格好をした若者達が、楽しそうに店から出て来るのが見える。
シオンは、視線を下に落として、自身の格好をながめた。
シャーロット王女が選んだ緑色のジャケット風の半袖に、緑色のズボン。
まるで、緑をトレードカラーにしている彼女の護衛のような格好だ。
(……もしかして、この格好がいけないんじゃないか?)
病は気からと言うし、ちょっとイメージチェンジしてみるか。
シオンは、ベンチから立ち上がると、斜向かいの大きな洋服店に入った。
どう選んで良いかよく分からないので、店のお姉さんに薦められた服の中から、気に入ったものを購入。
そして、着ている服を新しい服に着替えて、店の外に出て。
太陽の光の下で、ググーっと伸びをすると。彼は、さっぱりした気分で呟いた。
「はー。なんかすげースッキリした。服が変わると気分も変わるな~」
買った服は、柚子胡椒が好きな黒と青。
着ているだけで気分が明るくなってくる気がする、良い意味で単純なシオン。
その後、あちこちで靴や鞄、小物などを見て回り。
気がつけば、間に待ち合わせ時間少し前。
シオンは、スッキリとした気分で、約束した定食屋に向かった。
*
シオンが、店に入ると、ジャックスとアリスが既に座ってメニューを見ていた。
ジャックスが、シオンを見て目を丸くした。
「すごい荷物だな。何を買ったんだ?」
「ああ、ほとんど服だよ」
「ん。シオン、服変わってる。似合ってる」
「おー、本当だ。いいな、その服」
シオンはポリポリと頭を掻いた。
まさかのべた褒めに、何と返したら良いか分からなくなる。
そんなシオンを見て、微笑ましそうな顔をする 2 人。
そして、料理を頼み終わると、ジャックスが嬉しそうに口を開いた。
「シオン。少し元気になったみたいだな」
「そう?」
「ん。元気になったと思う。ここ最近ちょっと暗かった」
シオンは苦笑した。
普通にしていたつもりなのだが、どうやら気が付かれていたらしい。
「2人とも気が付いてたんだな」
「まあな。あれだけ暗い顔してればな。ウィリアムも気が付いてたと思うぞ」
「ん。シオン、すぐ顔に出る」
ホッとしたような嬉しそうな顔をする、ジャックスとアリス。
シオンは、2人を感謝の目で見た。
「ありがとな。気にしてくれて。ちょっと色々考えごとをしていたんだ」
「そうか。まあ、そんな時もあるよな」
「ん。あるある。でも、暗くなるほど何を考えてたの?」
首を傾げながら尋ねるアリス。
シオンは、2人を見た。
いつもシオンのことを真剣に考えて向き合ってくれる、ジャックス。
色々あったが、今では陰日向なくシオンのために働こうとしてくれる、アリス。
そして、ここにはいないが、さりげなくシオンを外圧から守り支えてくれる、ウィリアム。
シャーロット王女とエミールには裏切られた。
でも、この3人なら。
この3人ならば、信用できる。
俺のことを、未来に起こることも含めて全部話して、助力を乞おう。
シオンは軽く息を吐くと、2人の目を真っすぐ見ながら言った。
「俺が何を考えていたかは、辺境伯領で話すよ。2人とウィリアムに、聞いてほしいことがあるんだ」
誤字報告ありがとうございます。
ゾフィアがソフィアになっていましたね。^^;
今度から一発変換して確認してから投稿しようと思います。
あと、ご意見を頂いて、タイトルいじりました。
センス皆無!




