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追試験勉強

 追試は、割とすぐにあり、今週の金曜日の放課後にやるとのことだった。


「助けて。頼む」


 昼休みになり、雅紀の席の前の席に座って弁当を食べようとすると、雅紀にそう言われた。


「いいけど、問題の形式は変わらないんでしょ?似たような問題が出るなら、なんとかなるんじゃない?」


「おまっ、なめんなよ。赤点勢の理解の薄さを!」


「いや、そんな胸張って言うことじゃないし」


 そんなふざけたやり取りの後、「マジでお願いします」と言われたので、弁当を食べた後に数学の復習をすることになった。



「ごちそうさまでした」


「うむぅ……」


 俺が弁当を食べ終わるころには。雅紀は数学の教科書と試験の答案、問題集を机の上に広げて頭を悩ませていた。


 確か、追試は同じ形式で似たような問題を出すから、今回の試験の平均点くらいは取れるようにしましょう、みたいなことを言っていたと思う。それなら、基礎をがっちりと固めて、問題集を1周すれば何とかなるんじゃないだろうか。いや、金曜日までにそれをやるのはなかなか大変だとは思うけど。


「これどうやんの?」


「どれ?……あー、これは……」


 雅紀が聞いてきた問題は割と基礎的な内容の問題だったので、解説をする。結構真面目にふんふんと聞いている様子を見ると、このまま頑張れば何とか追試も乗り切れるだろうと思う。


 最後まで説明した後、ふと教室を見渡すと、勉強をしている人は一人もいない。……これ、追試雅紀だけ?いや、少なくとも香奈は追試っぽい感じだったし……図書室にでも行っているのだろうか……?


***


 図書室に来ると、あまり人はおらず座る席に悩むほどだった。最初、香奈は教室で勉強しようとしていたのだけど、それだと柏木君の様子を伺って絶対集中できないからという理由で図書室で勉強することにした。


「あっちの方にしよ」


「うん」


香奈が指さした図書室の端の方に座り、香奈が持ってきたバッグから数学の勉強をするためのものを取り出す。


「さてと」


「……」


 香奈の対面に座って、香奈のテストの答案を見る。基礎的な問題は単純なケアレスミスが多発して、とんでもないことになっている。応用的な問題は、1問は解けていて、途中まであっているのが1つと言った感じだ。こう見ていると、基礎的な問題をちゃんと解けていれば赤点にはならなかっただろうと思うくらいには解けていた。……やっぱり寝不足は良くないな……。


「取り敢えず、当たり前だけど夜更かし禁止」


「はい。わかってます」


「で……、ケアレスミスしなければあと20点……応用の方も入れたら25点くらい上がるよね」


「うん……多分」


「……なら、問題の傾向もわかってるんだし、普通に勉強すれば何とかなるんじゃない?」


 香奈の試験の点数は30点だった。普通だったら寝る間も惜しんで猛勉強をして追試に望むべきなんだろうけど、香奈の場合は睡眠をとるほうを優先するべきだろう。それくらいケアレスミスが多かった。


「まあ、油断大敵だけどね」


「うん。ちゃんと勉強する」


 そう言って、香奈は今回の試験の答案を目の前に持っていく。


「……あれ、そう言えば今回伊織何点だったの?」


 あ、そう言えば香奈の点数のほうが衝撃的過ぎて言っていなかった。聞かれなかったし。


「えっと……92」


「えっ……」


 正直に答えると香奈がピシッと言う音が聞こえてくるような挙動で静止する。


「えっ、92点……?3倍以上……?」


「いや、テストの点で何倍とか考えてもしょうがないでしょう……」


「…………凄いね、伊織は」


「いや、結構よかったほうだけど、そんな褒められても……」


「本当に凄いよ」


 会話のキャッチボールが一瞬ドッヂボールになる。笑っている香奈を見ていると、なんだか寂しそうに見えて、少し心配になってしまった。

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