第40話 文化祭打ち上げ
ぐるりと学校を巡って、目についた出し物に時々入ったりしていると、あっという間に時間は過ぎ去り、文化祭の出し物終了の時間を迎えていた。
「見事完売御礼! みんなお疲れ様―!」
その時には俺も琴美もクラスに戻ってきており、実行委員の東浜さんの掛け声にみんなと一緒に拍手で応えていた。
俺は隣の琴美にも向け、
「琴美もお疲れ様。疲れてない?」
琴美はクラスの出し物でもやはり特別目を引いて、俺もフォローしようとはしていたとはいえよく呼び止められていた。それに接客だけでなく、目線をずっと感じるというだけで気疲れもあるだろう。
「アタシは大丈夫かな。おかげさまで。それより今は菜生をねぎらってあげたい気分」
そう言って、笑顔で東浜さんの方に目をやっていた。
実行委員、大変だっただろうな。俺たちに見えないところでの疲れもあったことだろう。
琴美としては東浜さんの親友として、一番大変だった東浜さんを称えたいという気持ちが強いのだろう。
「そっか、じゃあ予定通り打ち上げは参加できる?」
「うん、する」
文化祭の打ち上げは、カラオケ店を予定していた。実は俺も、
「企画の発案をしたのは緒方くんなんだし、そりゃあ来るしかないっしょ!」
なんて言って呼ばれていたのだった。
琴美が疲れているようだったらそれでも東浜さんに断りを入れて二人で帰ろうと思っていたのだが、琴美が乗り気なのなら断る理由もない。
今日までに終える必要のある片づけを終えると、俺たちは東浜さんの先導で打ち上げ会場へと向かうのだった。
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カラオケの部屋割りは、なんとなく仲のいいメンバーが固まるように振り分けられていた。
だから俺は琴美と一緒で、その他にも夏休みに海に行ったメンバーが同じ部屋に揃っていた。
「まずはやっぱ、カップルソングが最初っしょ!」
そうなると、そんな展開にも前と同じくなっていって。
俺がどうしようかと、しどろもどろしているうちに、
「それじゃあ、最初に私たちから行きまーす!」
なんて野村さんが挙手をして、彼氏の石川くんの手を引いて肩を寄せ、マイクを受け取っていた。
石川くんのほうは少し苦笑いをしながらも、こうして恋人に振り回されるのもイヤじゃないのだろう、すんなりと受け入れて、実際歌い始めると楽しそうにしていた。
これはもう、次の順番になるのは避けられないだろうなあ、と俺も苦笑しながら、琴美を見る。
「えっと、次に順番振られたら、何にしようか」
そう言って琴美も、俺に肩を寄せてくる。
ドキッとは、そりゃ、するよ。それはしょうがないから置いておいて。
「なにか、こう、二人ばっかりが注目されないで、みんなに紛れることができるような曲ってないかな?」
ちょっとでも目立たないように、なんとか対策していきたいものだ。
「ダメダメ! 琴美と緒方くんが歌う曲は、もう『チューリングラブ』で決まってるから」
「い、いや、それはラブソング過ぎて俺はあんま知らないよ!」
そんな感じで東浜さんの勢いに飲まれて曲を入れられて、俺は本当にサビぐらいしか知らなかったけど、意外とみんながワイワイ掛け合いをする感じになって、琴美も、企画の東浜さんも楽しそうにしていたから、これはこれでいいか、なんて気持ちにもなるのだった。




