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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第二章 クラマを探して
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途切れた道

 雲一つない昼下がり、千寿流たち一行は近くの大きな噴水がある公園にいた。そこは川崎についた次の日、歩き回って疲れた千寿流とシャルが途方に暮れていた公園だった。

 あの日と同じように靴を放り出し足を水につける。今日は別に疲れているわけではないけれど、冷たい水が足先を刺激して気持ちが良かった。


「トレモロのことだけどさ、小さい子だけが狙われるのなら、クラマちゃんとは関係ないんだよね。あたしたち、もっと早く気づけてたよね」


 調べていくうちに判明した事実。千寿流たちとほぼ年代が一緒の子供ばかりが攫われる事件、そしてその事件と謎の奇病トレモロの関連性。正直なところ早い段階で判明した部分だ。

 関係がないのであれば関わり合いになる必要性はない。ましてや命がけで問題を解決する義理立てなど全くない。こうして手をこまねいている間にクラマも移動してしまうだろう。だったらさっさと次の手掛かりを探してこの街から出ればいいだけだ。

 もちろん、関連性をゼロと断言することはできないが、実際に徒労に終わったのも事実。


「でも、千寿流ちゃん。君はこの街でのことを、無駄なことだった、なんて思ってないんだろう?」


「うん、もちろん。そりゃ怖かったけど」


 ふと足元に目をやると小さな魚が通って行った。どこから来たのかもわからない、一匹ではとても生きていけると思えないような、そんな小さな魚。


「でも……でもさ。あのまま見て見ぬふりをしたら、あたし、すごく嫌な気持ちになってたと思う」


 理屈なんか知らない。したいと思ったからしただけ。

 でもそれはあたしの我儘かもしれない。それでシャルちゃんや夜深ちゃんに迷惑が掛かったかもしれない。だから、顔を見上げて二人の顔を見た。


「ちずる なんかきぶんわるい? えへへへ たのしんで いこうよ!」


「ふふ、一息付けたら行こうか。僕、港町で人に会う用事があってね。よかったらいっしょに行かないかい?」


 二人とも雲一つない晴れ晴れとした今日みたいな笑顔だった。だから、大丈夫。

 千寿流もとびっきりの笑顔で返して勢いよく立ち上がる。


 繁華街を出ると舗装されている比較的きれいな道路が続いており、住宅街が広がっている。この辺りまで来ると人は少なくなってくるが、休暇中ということもあって学生や、主婦などはちらほら見かける。


「夜深ちゃんてさ、お仕事なにしてるの? あたしたちはすっごく嬉しいんだけどさ、夜深ちゃんには迷惑かけたくないよ」


 長期休暇中とはいってもそれはあくまでも学生だけの話だ。だから、大人である夜深は仕事をしているはずだ。だから少し疑問に思った。

 とはいっても別に心配して聞いたわけではない。どちらかというと夜深という男が普段何をしているのか、興味のほうが強かった。


「そうだね、僕のしてる仕事が気になるかい?」


 首を曲げ覗き込むように千寿流の表情を窺う。ふいに顔を近づけられて少しドキッとした。もしかしたら聞いてはいけない話だったのか。


「あ、えと、その」


「シルバーアクセサリーのプロデュースだよ。ほら、この十徳ナイフ、カッコいいだろう?」


 そう言って服の胸ポケットから十徳ナイフを取り出して、慣れた手つきで開いて手の上でくるくると遊ばせる。

 それは一般的な店では見かけないような髑髏の意匠がいくつも彫られており、ぱっと見でも使い辛そうなのが分かる。十徳ナイフとはいいつつも利便性より見た目に振り切ったデザインだった。

 改めて夜深の格好をよく見てみれば、全身がシルバーアクセサリーで固められたコーディネートであり、シルバーアクセサリーのプロデュースをしているという発言はおかしなことではなかった。


「僕はシルバーアクセサリー全般が好きなんだけど、なかでもこの十徳ナイフは一番のお気に入りなんだ。ほら、こんなご時世だろう。何かとこういう便利グッズが役に立ったりするんだよ」


 十徳ナイフがなんなのか分からなかった千寿流は夜深に説明を求めて納得する。夜深は興味を持ってくれたことに気を良くして、嬉しそうにナイフを広げて一つ一つ説明する。

 確かに実用目的の工具が多く内包されており、いざというときは便利そうに思えた。


「おーい ちずるー キヨミお兄さんー! みちが ここで とぎれちゃってるー!」


 道端を歩いていた野良猫を追っかけて、先行していたシャルに声をかけられ駆け足で向かうと、そこには切り立った崖の下にブラックホールのような深淵が顔を覗かせていた。

 まるでジグソーパズルを間違えてはめ込んでしまったような、そんな断絶された異質。結九里から旅立ったあの日に見た世界の解れ。きっと何度見たとしても見慣れることはないのだろう。

 千寿流は左右を確認して、どこか通れる道がないか確認してみるものの、人が通れる道のようなものが見つかることはなかった。

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