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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第八章 『嫉妬』
372/417

予想外

「まずい」


「えっと、はい」


「非常にまずい」


 異能(アクト)による無音空間。移動し続ける痕跡の断片が途切れ、嘘真朧たちは九嵐たちを見失ってしまっていた。


「あの、アタシは大丈夫だと思いますけど。だって、断片的とはいえ、皆さんのやり取りは今も聴こえているわけで。アタシちゃん的には、なんか感動的なものも見られちゃったなー、ってな感じで感激してるくらいなんですけど」


「いやそうだけど。ぼくたちの声はあっちには届かないんだよ?」


「あ」


 試験の終了まで残り五分。終了した際にはこちらから直接声を掛けると言ってある。動けば決まりを破ることになるかもしれないから、彼らは制限時間が終わり次第その場で待機を選択するだろう。

 もちろん、あちらから声を掛けるということも禁止している以上、試験が終わってもこちらに問いかけてくることもない。というか、通信が一方通行なので掛けられても返事のしようがない。

 こんなことになるなら、試験が終了した後、元の場所まで戻ってきてもらうべきだった。




「……来ませんね」


 ぽつりと、九嵐が呟いた。

 あれから十数分が経過していた。試験の終了の時刻は明確に告げられていた。時間終了後に迎えが来るはずだった。だが、待てど暮らせど、誰も現れない。嘘真朧側に何か来れない理由があったのか、それとも。


「まさかっ!まだ試験は終わってなくて、もう一つあるとか?」


 アリナが半分冗談のように口にするが、笑う者はいなかった。三人とも嘘真朧の言った『チームワーク』の真意を測りかねていたからかもしれない。制限時間は設けられていても、この試験には明確なゴールが設定されていない。だから、あり得ないようなことでも、冗談と切り捨てることが出来なかったのだ。


「可能性は否定できないですね。僕たちは“最後まで気を抜かないこと”を求められているのかもしれません」


 冷静に努めようとする中、九嵐の顔に焦りにも似たような表情が浮かぶ。


(もし、私の異能(アクト)が通信に何らかの影響を与えていたとしたら?)


 九嵐の異能(アクト)“静寂回廊『Calm Belt』”は、空間内の音を遮断する。声も、足音も、果ては存在感すらも。しかも今回は移動しながらの連続使用。嘘真朧たちがこちらを見失ってしまったという可能性は十分に考えられる。奇しくもその予想は当たっていた。

 もしそう考えるならイヤーカフを通じて、こちらから呼びかけるのが正解か。否、このアクシデントすら乗り越えてこそのチームワークだ。理解したのならこんな場所で立ち止まっていられない。九嵐はそう考えていた。


「休憩はもう終わりです。とりあえず動きましょう。苗鳩さんと宝城さんを探すんです」


「え、本当にもう大丈夫なの?」


「探す?こちらがか?彼女たちは試験が終わり次第声を掛けると言ったはずだ。もし仮に試験が終わっていないんだとしたら、制限時間が過ぎた今、勝手な行動は慎むべきだと考えるが?」


 和也の言い分ももっともだった。だが、九嵐の耳には聴こえたのだ。日常的な音を操る異能(アクト)の行使により、些細な音にも敏感に反応することが出来る彼には聴こえた。木々がこすれるような微かな音を。

 恐らくは嘘真朧たち。身を隠しているこちらの痕跡を辿り捜索に来てくれているのだ。彼女たちは優秀だ。だから、このままじっと構えていても直に発見してくれることだろう。しかし、それならば彼女たちの手を煩わせる必要もない。


「っ!?嘘真朧さんたちの足音が聴こえました!ここから九時の方向です。大丈夫、心配ないですよ」


そう言って九嵐は先導するように歩き始める。


「……」


和也とアリナは一度顔を見合わせると頷いて、その後ろを黙ったまま追いかけることにした。

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