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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第八章 『嫉妬』
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渦中滲紅3

 幾ら強くても、その力を正しく振るうことが出来なければ、それは無力と同じ。誰にも必要とされなくとも、誰かに助けを求められたとしても、全部同じなんだ。

 自暴自棄じゃない、八つ当たりじゃない。強がりじゃない。

 ただ今は、涙が流れないように前を向きたいだけ。


(こんな時、喜碧なら何て言うかな?)


 ははは、ダメだ。あの子がなんて言うのか分かんないや。それくらいにぼくとあの子の関係は希薄そのものなんだ。だから、この想いが本当にぼくの内から湧き上がるものなのかも、正直よく分からないってのが本音だ。


 ――けど、けれど。

 前を向いたからには前向きでいたい。

 前を向くことが出来たから、こんな世界を変えることが出来れば。そう思えた。

 少なくともぼくの手が届く範囲で、数えられるだけの命は救いたい。だってそれが、ちっぽけなぼくに今叶えられるたった一つの願いだって理解出来たから。


「……烽火さん。あなたの力は理解しています。けれど、わたしの立場上頷くことは出来ません。解ってください。ここはわたし達大人に任せて――」


「そんなの、知ってますよ」


 そう、そんなこと知っている。魔獣(マインドイーター)と対峙した時、教員でもある彼女らは生徒を戦わせること自体が犯してはならないタブーだから。

 異能(アクト)の性能とか、向き不向きとか、そういうのは関係ない。生徒の身を第一に考える、それがこの学校の、延いてはこの国の方針だからだ。


「なら、お願いっ!」


 泣き出しそうな顔でそう訴えかける。彼女が自身の立場を守りたいのか、生徒としてのぼくを守りたいのか、それは分からない。けど、彼女の唇から流れた一筋の血だけは本物だと疑いたくなかった。


「はぁ、分かりました。いいですよ、これじゃあぼくが先生を引き留めちゃってる構図ですから。もう行ってください。ご武運祈ってます」


 こくりと一度だけ頷き、先生は踵を返し駆けていく。その悲しそうな後ろ姿を見て“死なせたくない”と思えた。あんな優しい先生だらけになれば、きっと学校っていう空間は、誰しもが心を落ち着ける場所になるんだろうな、なんて漠然と思うことが出来た。


 ――――行こう。


挿絵(By みてみん)


 ここらで一度、本気になってみるのも面白いよね。


 ぼくはブレザーを羽織り、今一度覚悟を決める。実戦は初めてだ。怖くないと言ったら嘘になる。けど、怖くないと言うのも真実なのかもしれない。だって、全身が高揚してる。こんな異能(ちから)でも誰かの役立てるのだと思うと、居ても立っても居られないんだ。

 今まで逃げてきた道を走る。身体が悲鳴を上げない程度に、だけど全速力。避難するために学校から抜け出してきた生徒たちに逆らいひたすらに。生徒たちの不審がる目も構わずに、一心不乱に走り続けた。


「っう!?」


 片手を翳し、降りかかる火の粉を防ぐ。厨房機器が爆発でもしたのか? 火災の手が早い。

 まだ収束していない。いや、さっきよりも酷い。魔獣(マインドイーター)の等級はD級以下ばかりなのに被害は広がるばかり。見た限り先生たちは対応に当たっている。そうか、魔獣(マインドイーター)に対抗できる人間が圧倒的に足りていないんだ。

 くそ、ギルドの連中は何をやってるんだ。いくら小規模だといっても対応が遅すぎる。お役所っていうのはこんなにも頼り無い機関なのか。こんなんじゃ到着した頃には、取り返しがつかない程の被害になってしまうじゃないか。


「君、ここは危ないよ! 見たところここの生徒さんだよね。君も早く避難するんだ!」


 無能なギルドよりも先に到着していた消防隊員に声を掛けられる。


「いえ、ぼく能力者(アクトプレイヤー)なので。心配無用です」


 制止した手を払い、周りに気を配りながら校内へと歩を進める。目の前には複数の犬型の魔獣(マインドイーター)に対峙する教師がいる。

 犬型の魔獣(マインドイーター)は大きく、その体躯は全長一メートルにも迫る大きさだ。ギネスを記録している、犬の大きさが百十センチといえばその凄さが分かるだろう。そんなバケモノが徒党を組んで、「喰い殺してやるぞ」とその鋭い牙から涎を滴らせているのだから、怖く無いわけがないのだ。


「加勢しますっ!」


 ぼくは対峙していた教師に声を掛ける。教員という立場なのに、炎のように逆立った髪が印象的な男性教員だった。彼も空手ということは何らかの能力者(アクトプレイヤー)だとは思うけど、決定打が無いのか攻めあぐねている様子だ。


「っ! 君はっ!?」


 魔獣(マインドイーター)。実物を視て相対して理解する。はっきりと怖いんだ。けど、もし彼が力及ばず、目の前で喰い殺されるとしたら、もうぼくは正気でいられないだろう。

 それに比べればこんな犬っころ如き、怖くもなんともない。いや、むしろ可愛くまであるね。


「大丈夫ですよ、ぼく“強い”んで」

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