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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第八章 『嫉妬』
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この面接の本質とは

 次の準備、とはいってもこちら側が出来ることといえば、送られてきた資料にざっと目を通すぐらいしかやることがないのだが。まあ、どんな相手が現れても対応して見せるという心構えは必要だろう。


「次の人は誰かなと」


 嘘真朧がタブレットをスライドさせると画面がスクロールされ履歴書が表示される。顔写真には自分よりも少し歳を重ねていそうな女性が表示される。

 今回は全豹和也の時とは違い、プロフィールの他、志望動機や自己PR、活動履歴などが記載されていた。

 志望動機、自己PRについてはごく普通の一般的な内容。自分の能力でレギオンの為に貢献したいとか、諦めない、観察眼が鋭いとかこれまた一般的な内容。仮に多くの履歴書が送られてくるような状況なら、きっとそれらの中に埋もれてしまうであろう、そんな平凡さ。

 けど、前回がほぼ白紙だったこともあり、こんなとりとめない内容でも充実しているように錯覚してくる。


炎堂(えんどう)アリナ。三十五歳。はあ、めちゃくちゃ年上じゃん。やりづらいね」


「でも面接ですよ?そんなの関係なくないですか?ほら、お互い敬語。しかもあっちは団長の年齢も知らないわけですしー」


「まあ、それはそうだけど」


 たしかにミルちゃんの言う通りだ。考えてみたら別にそんなこと気にするようなことでもない。

 実際に顔を合わせて仕事をすることになっても、ぼくの年齢が相手にバレることはないだろう。いや、まあさすがに十近く離れていれば年下って思われるだろうけど。


「アタシちゃんから言えることは、ただ一つ」


「一つ。それは、なに?」


 ミルはもったいぶるようにタメを作り、言葉を区切る。そのただならぬ気配にごくりと生唾を飲む。そう、こういう時の彼女は――


「とりあえず、会ってみないことには分からないってことです」


 __もったいぶった挙句、当たり前のことしか言わないのだ。

 ちなみに何か言いたかったけれど、結局言葉が出てこないだけ。見切り発車が誰よりも得意なのだ。


「まあ、そうね」


 こんな時、気前よくズッコケることができれば少しは場が和むのかもしれないが、残念ながらぼくはお笑い芸人ではない。それにミルちゃんの性質ってものを、ぼくは自分が思っているよりもよく理解していたらしい。

 タブレットを閉じ、ぼくもミルちゃんと同じように椅子の背もたれに寄りかかった。それに、あれやこれや考えたって仕方がないというのはその通りだろう。ただ、待ち時間を持て余したせいで、意味の無いことを考えてしまっただけなのだから。


「ま、気楽に行きましょう!」


 ミルは椅子をくるりと回しながら、軽い調子で言う。この子、相手が強面じゃないと分かった途端これだ。こういうところは本当に分かり易い。

 嘘真朧はやれやれと、ため息を吐く仕草をしながらタブレットの電源を落とす。


 次の面接の時間まではあと三十分ある。今日三人目の入団志望者。三人目の来訪者。


 リモートでの画面越しではなく、わざわざこの会場に来てもらっての面接。しかし、実地試験は別の日程。ともすればこうは考えられないだろうか。ただ顔を合わせて会話をし、人となりを理解するだけなら映像通話越しでも問題ない。

 このご時世、面接なんてどこもかしこもPC画面越しだ。なのに、こんな辺鄙なところに来てもらう理由はあるのだろうか、と。

 とどのつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()理由がレギオン側(こちら)にはあるという事だ。

 その理由についてはぼくも明かされていない。けど、何かある。そう考えればソレに辿り着くことは難しい話じゃない。

 事実、的を射ているのか、見当違いなのかは分からないが、ぼくにはそれらしい理由を見つけることができた。もちろん、ミルちゃんは何にも考えていないみたいだけど。

 これまでの二人、優秀か優秀でないのかと問われれば別に問題ない。あくまでもぼく個人の視点だが、問題ないと判断した。


 最初に訪れた水無月九嵐(みなづきくらん)については模範的な正しさ、人当たりの良さ、自身の異能(アクト)、その利点と欠点についても理解している。魔獣(マインドイーター)も所詮は獣。彼の能力についてはいくらでも有効活用できるだろう。

 それに、彼には自身を人間的に有能であると印象付ける地力があった。『嫉妬(テネブラエ)』は変人奇人の集まりだ。あんな真面目な人間がいても悪くない。


 次の来訪者。全豹和也(ぜんびょうかずや)。彼は絵に描いたような変わり種だ。炎のように揺らぐ逆立った髪は就活生としては程遠い。

 けれど、この場はただの就職面接ではない。『嫉妬(テネブラエ)』に相応しいか、延いてはレギオンに必要か否かを見極める場なのだ。その点において彼は未知数。まだ探るべきところがある。この辺りは次の実地試験で見せてもらえばいい。


 さて、次の来訪者はどんな反応を見せてくれるのかな。


「ふ、ふふふ」


 ぼくは引きこもりだ。無遠慮な太陽の日差しも、街を行き交う耳障りな喧騒も、ぼくは極力避けてきたけれど、たまにはこう言うのも悪くない。思わず笑みが零れた。


「げ、団長がいつものキモい笑い方を。って、いやそうでもない?かな?」


 今に始まったことではないが、上司に対して失礼過ぎる言い草だ。


「どういう意味?」


「いや、なんか言いにくいんですけど、笑っているのに笑っていない、というか。笑おうとしているっていうか。アタシが聞きたいですよ」


 なんだそれは。けど、それはそうかもしれない。正直期待外れというか。ぼくの中の天秤での話。期待していたものが期待していた通りにやって来た。

 でもそれって内で考えている想定通りの期待なのだ。用意していた箱にいっぱいいっぱい詰まっているようなイメージ。想定内の応答。

 出来れば、その、パンパンに詰まった箱を壊して欲しかった。


(もしかして、ぼくはがっかりしているのかな。それならば――)


 この自分でもよく分からない感情を、少しでも晴らしてくれることを“期待”したいところだ。

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