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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第八章 『嫉妬』
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真夜中の侵入者騒ぎ

「そう言えばさっき、ぼくのことバカチンって言ったよね?」


 ぎくりと、肩を分かり易いようにこわばらせる。


「そ、それはその、デスネー。えっと、バカチンじゃなくて、バチカンです、ハイ。バチカン市国がなぜできたのかということが急に気になってしまったん……いてっ」


 会話を遮るように、ごつんとゲンコツで殴られる。ゲンコツとはいっても力は全く加えられておらず、馬鹿な部下への軽いお仕置き程度のものだった。

 それでも、ミルは大げさに両手で頭を押さえながら「いったぁい!団長ひどいですぅ!これ頭蓋にヒビ入ってません?」と抗議の声を上げる。しかし、それも芝居がかっているのは明らかで、嘘真朧はため息を一つついて肩をすくめた。


「ミルちゃん。キミの滑稽さと無様さに免じて、今のでチャラにしてあげる」


「えぇ!?ほ、ホントですかっ!?さっすが嘘真朧団長様~!うへへへへ、これで雑草生活しなくて済むっ!」


「バカ。お金は別に決まってるでしょ。きっちり返して」


「で、ですよねー。ははははははは、はぁ」


「じゃあ、ぼく少し寝るから一時間後に起こしてね」


「は、はい!了解でありますっ」


 片手を振りながらそう言うと、嘘真朧は背を向けてスタスタと奥にある寝室へと向かう。ミルはその様子を敬礼のポーズで見送るのだった。

 ガチャリと静かに閉じられた寝室への扉に鍵は無い。この場所は関係者以外立ち入りを禁止された先の、さらに秘匿された、二人以外誰もいない空間である。だから嘘真朧は、呆れながらも彼女のことを信頼はしている、ということなのだろう。


 一時間。一時間かぁ。

 一時間あれば、例えばアタシには何が出来る?最近のアタシちゃんは団長からの評価はダダ下がり。今回の件はそれに拍車をかけた。

 あの団長、あんなクールぶってる態度だけれど、その実は甘いし、嫉妬深くて加えて言うと滅茶苦茶寂しがり屋だ。だから、アタシちゃんがちょっぴりヘマしたりしても、そこまできつく叱られるわけじゃない。とはいえ。


(勝手にお金使っちゃったのはさすがに不味いよなぁ)


 解雇なんてこともさっき言われたけど、たぶん冗談。いや、普通の仕事だったらぶっちゃけ即クビ。いや、警察沙汰かもしれない。まあ、警察沙汰に関してはあの面倒くさがりの団長がそんなことをするとは思えないんだけど。


 だけど。

 アタシのせいであの二人に迷惑をかけるのだけはしたくない。


 ミルは一時間で自分に出来る事。何か貢献できることを真剣に考え、部屋の中を行ったり来たりと忙しなく歩き回る。どうやら彼女は一所にじっとして物事を考える、ということが出来ない性質(たち)のようだった。


 チャラっチャら♪ドドドド♪ダダーン♪


「ぎゃふゃぁあ!?」


 静かすぎる室内に突然鳴り響くアラームの音に、手に持っていたスマホを思い切り前方に放り投げる。幸いにも投げた先は、嘘真朧の大切にしているぬいぐるみコレクションの一つ。その弾力に衝撃が吸収されスマホは傷つかずに済んだ。


(あ、あっぶねー。ぬいぐるみで良かったー。その横にあるアンティークの置物に当たってたら……アタシちゃんのスマホが傷ついてたじゃん)


 やはり倫理観が少し欠如しているのか、ミルは自身のスマホの心配はしても、ぬいぐるみやアンティークの置物の心配は一切しなかった。むしろ、そのままぬいぐるみの上に落ちたスマホを見て「ぬいぐるみちゃん、ナイスキャッチ!」と満足げに頷いている。

 しかし、突然のアラーム音の原因に思い当たる節がないことを思い出して、首を傾げた。


「えっ、つーかこれ何の音?だんちょの言ってた時間にはまだ二十分ほどあるし、こんな曲アラームなんて設定した覚えないんだけど」


 まさか、クレカの請求?こんな速いなんて聞いてないぞ。いまアタシちゃんに払えるものなんて一つもない。ヤバい、団長に頼んでみようか?「ああ、いいよいいよ」ってな感じで何とかしてくれないかなーなんて。

 半ばビクビクしながらスマホを拾い上げると、画面には赤い警告メッセージが表示されていた。


 “緊急警報:施設内生体反応検知”

 思いもしない画面に時間が停止し硬直する。ミルは開いたままの口で画面をじっと見つめ、頭の中でその意味を理解しようと試みる。


「は?え、ちょっと待って。生体反応?施設内って、もしかしなくてもここってこと!?誰かが侵入してきたとかそういう感じ!?」


 焦ったミルはとりあえず真っ先に室内の灯りを消す。視界が闇に覆われ、辺りがほとんど視えなくなってしまったが、それは相手にとっても同じこと。灯りを点けたままよりは幾分かと良いだろう。


「ど、どうしようっ!?何とかしないと!」


 とは言ってみても他に何が出来るわけでもなく、ミルはスマホを手に部屋を慌てて行ったり来たりし始めた。しかし、そんなことをしても、事態が解決に向かうはずもなかった。

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