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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第七章 生き続けるということ
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また三人で

 ホテルを出発して数十分。一行は早速、現実という壁にぶち当たっていた。


「え、ええーっ!?」


 平塚市から銀ノ木までは大体百三十キロほど。公共機関を利用すれば一時間半ほどでたどり着ける距離である。

 ただ現在、銀ノ木は英雄変革(アドベントシフト)による地形変化の被害を大きく被っている地区でもあり、電車やバスといった交通手段が断たれてしまっている状態なのだ。


「つまり歩いてってこと?」


「まあ、しゃーねーわな。平塚でもこの辺りは、電車はおろかバスの一匹も見かけねーしな」


 風太が顎で指し示した地面には罅がいくつも走っており、いつ崩落してもおかしくない危険な状態だった。もちろん、一般人が誤って踏み入れてしまわないように、テープで境が作られている。

 徒歩で銀ノ木に向かうとなると、かなりの時間を要してしまうだろう。

 単純計算で一日に歩ける時間を六時間と計算した時、時速五キロ換算で三十キロ。最低でも四日以上は掛かる計算となる。

 当然、道中迂回しなくてはいけない状況や、悪天候、悪路ということもあり、想定以上に日数が掛かるのは確実だし、千寿流の体力、歩幅は体力に自信のある二人と比べても頼りない。もしかしたら一週間以上掛かってしまうことだって考えられるのだ。


「うぅ、そうやって言われると自信なくなってきたよ」


「ンなの今さらだろ。オメーはここまでなんだかんだ歩いてきたじゃねえか。それともクラマ(ダチ)の為なら頑張れても、テメーの為だと頑張れねえか?」


「それは、その、そんなことないけれど」


「そんなに気負わなくても大丈夫ですよ!疲れちゃったのなら、わたしがいつでもおんぶしてあげますからっ!」


「え、ええっ!?お、おんぶって。アリィちゃん、それはちょっと恥ずかしいよぉ」


 千寿流が顔を赤らめながらそう言うと、アリシアは明るく笑って応えた。


「遠慮しないでください、ちずちず!わたしたち仲間じゃないですか。困ったときはお互い様です!それに、ちずちずなら軽いですし全然平気ですよ!」


 アリィちゃんは百キロを超える武器を、軽々と振り回せるほどの力持ちだ。そう考えると、それはそうかもしれないけど、そういうことじゃない。重いとか軽いとかの問題ではないのだ。


 横からその様子を見ていた風ちゃんが、呆れたように肩をすくめる。


「っは!いいじゃねえか、甘えとけよ。無理して途中でバテられたら、結局オレたち全員が足止め食っちまうんだからな」


「うぅ、風ちゃんまで」


 アリィちゃんと二人きりの時が楽しくなかったわけじゃないけれど、こうして三人でいろいろと茶化し合いながらも会話できるのはやっぱり楽しい。

 正直、あのお料理修行であたしの何かが変わったというわけではない。意味があるのかと言われれば、あたしにはその説明は上手く出来ないし、アリィちゃんに訊いてみても、すぐに答えが出るものではないと言われた。


「分からないですか?そうですねー。分からないことは人に訊くのが一番です。ですが、訊いても返ってこない答えというものも、世の中にはたくさんあります。ほら、お祭りのくじ引きの先には本当にゲーム機が繋がっているのかーとか、射的は全部とれるように計算されているのかーとか、かき氷のシロップの味はどれもいっしょなのかーとか」


「え?ううん、よく分からないんだけど」


 アリィちゃんのたとえ話がいまいちピンとこない。そもそも、お祭りなんて行ったことがないから分からない。ていうか、うちの地区ではお祭りなんてやってなかったみたいだし。仮に行ってても覚えてないし。


「それにきっとその答えはもうちずちずの中にあると思いますよ。ほら、胸に手を当ててみてください。二週間の修行で培った経験や思い出が鮮やかに蘇ってきませんか?」


 あたしは言われたとおりに、胸に手を当てて思い返してみる。


「う、うん。鮮やかに?蘇って来たかも」


「そう!それです!それなんですよ!その気持ちを大切に、いつまでも持っていてくださいね!」


 なんだかうまくはぐらかされたようで癪だけど、要するに答え合わせはまだ先、ということのようだ。

 でも、大丈夫。きっとこの小さな冒険の先に何か見つかる。そんな予感がして仕方が無いんだ。この胸の高鳴りは、風ちゃんが戻ってきてくれたからだけじゃない。理由も根拠もないけれど、そう感じるんだ。

 だから今は、笑顔で前を向いて歩ければいい。

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