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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第六章 それぞれの想いと
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肉塊だけが蠢く公園2

 その公園はある空間を切り取られた屠殺場のように、死の臭いが充満していた。


「こりゃあ、酷いねえ。死屍累々。どこを視ても死体だらけ。それに普通じゃあない。身体を無理やりちぎって好き勝手くっつけたような歪さ。悪趣味の極みだね」


 血が飛び散る様なスプラッターな光景ではない。にも拘らず目を背けたくなる。だから、出血多量でなくなったのではない。

 けれど、死に至る原因は明白だ。両手両足を無遠慮に引き千切られ、脳内を輪切りにされ、そこに乱雑に手足を接合なんてされれば、出血などなくともショックで十回は死ねるだろう。それほどの醜悪。地獄のような光景がそこには在った。

 自然と眉間に皺が寄った。体中から溢れ出した体液が空気に触れ、鼻が曲がる様な臭いが充満している。この場に三十分もいたのなら、視覚と嗅覚を甚振られ気が狂ってしまう。この辺りの調査は警察に任せてしまうべきだろう。


「ねえ、葛城(かつらぎ)くん、神戸(かんべ)くん。お前たちはこの状況どう見る?」


 ロニーは顎に生えた無精ヒゲを擦りながら、後方に控えている青年たちに問いかけた。


「はい!そうですね。一見して解ることといえば、魔獣(マインドイーター)というよりは悪意を持った人間の犯行かと思います。何らかの異能(アクト)による無差別虐殺が行われた。ということでしょうか。ここは閑静な住宅街ですし、異能(アクト)の力や効力、条件を試してみたかったのではないかと思います」


 葛城と呼ばれた男が答えた。吐き気を催すような空間だというのに、気丈に振舞っているのが見て取れる。

 回答に関してはなかなかどうして良い線を射ていると思えた。まだ異能(アクト)が覚醒して間もない状態であれば、その力で何が出来るのか試してみたくもなるだろうか。

 いったいどこまで出力を上げられるのか、規模やそれにかかる肉体への負担など、実戦で使用するのであれば、いろいろと試さないといけないこともある。


「なるほどねえ。神戸くん、君は?」


「えっと、ですね。うーん。葛城さんの意見の他に気になることといえば。異能(アクト)の持ち主は良心というか、人の心というものが欠如していると思われる。ぐらいですかね。そうでなければここまでのことは出来ないと思います。葛城さんは“試してみたかった”と言いましたが、こういった残虐な行為を手馴れているとも思えました」


 神戸と呼ばれた男は、少し考えるような仕草を取って、間を置いてからそう答えた。誰が見たって分かる。いかに身の丈に合わない力を持ったとしても恐怖が勝ち、ここまでのことをできないだろう。

 良心の欠如は当たり前、そこにかかる呵責も後悔も何もない。人の命を赤子が積み木で遊ぶように乱雑に扱う。それは確かかもしれない。


「そうね。それはそうね。イカレヤローってのには俺も賛成だよ」


 葛城の言いたいことは分かる。異能(アクト)の試し撃ち。それ自体は考えられる可能性の一つではあるが、気になるのはここまでの規模の死傷者が出るという状況を理解していて、わざわざ街中で行う必要があるのか、という点だ。

 目覚めたばかりの異能(アクト)の試し撃ちなら、なにも街中でなくても山の中で行えばいい。動物なら殺していいという理由にはならないが、そうすればこうして警察やギルドに嗅ぎつかれることも無いのだから。


 つまり、この住宅街で行う必要があった。そういう事になる。


 単純に考えられること、一度に捕捉できる人数、どれくらいの規模の結界を展開できるのか、距離によって効力の変化が起こるのか。もし仮に人相手に異能(アクト)の実験を行う必要があると考えるならばこんな所か。

 亡骸の位置を見てみてもこの異能(アクト)の効果範囲は大体二十~三十メートル。多めに見積もって三十五メートルといった所だろう。そんな下らない理由で大勢の人間を殺すなどとんでもない悪行であり、魔獣(マインドイーター)以上の悪夢と云えるが、事実として目の前に起こっている現実なのだ。

 けれど、ロニーにはもう一つの思惑があった。それは目の前に広がる地獄以上の地獄。願わくば外れてほしい予感というやつだ。


(まさかとは思うけど、ここで殺り合ったなんて言わないでよね)


 もしそうであるならば、ここまでの力を持った能力者(アクトプレイヤー)が複数にいるということを認めてしまうことになる。もしそいつらが手を組んだら、なんてことは絶対に避けなくてはいけない事案だ。


「もう行こう。俺たちがここで出来ることは無いよ。あ、ごめん神戸くん。君だけは残って事情説明しておいて。大丈夫、君の見解で良い。何も間違っていないから」


 ポケットから煙草を一本取りだすと慣れた手つきで火を着け、片手で後ろ手を振りながら、この場を後にするのだった。

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