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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第六章 それぞれの想いと
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肉塊だけが蠢く公園

 物言わぬゴーストタウンに男が一人。


 コンビニに置いてあるアイスを二つ拝借し、公園のベンチに腰掛け満面の笑みで食していた。店員はいなかった、いなかったというよりは意思疎通が可能ではなかったというべきか。口から手が生え、脳味噌が肥大化し、体内の異常発達した骨が皮膚を突き破り、視るも悍ましい肉のオブジェと化していた。

 ところどころ()()()()()()の面影があるソレは生前、男性だったことが辛うじて分かるだけだった。


(アイス二つ分の金額はカウンターに置いてきた。とは言ってもあの様子じゃあ、それが何なのかも理解できないんだろうけど)


 痲宮殿も良し悪しだね。宮殿の中では関係ない人間も全て飲み込んでしまう。かといって宮殿は僕を中心に展開される。

 それに十方くんにはいとも簡単に攻略された。あの状況、僕はどうすれば彼に引導を渡せたのだろうか。一番手っ取り早いのは精神の汚染。

 十方時矢に死と云う概念がなくとも脳内を掌握してしまえばそこで終わり。けど、それは彼も解っている。恐らく彼の作り出した空間には『十方時矢に関わるあらゆる障害を取り除く』というルールが課せられていた。


 ならば座標をずらし、彼を無理やりにでも空間外へと移動させてしまえば良かったか。けど、僕の異能(アクト)にそういった類の力はない。

 まあ、応用を加えれば何とかなるだろうが、いずれにせよ机上の空論だ。彼の底が視えない限り、この議題に終止符が打たれることは無い、か。


(へえ、当たりが出た。初めて食べるアイスだけど、本当に当たりというものが入ってるんだね)


 当たり、とはいってもすでに二つ食べてしまった。取り立てて何個も食べたくなるような味でもない。僕は食べ終わったごみを設置されているゴミ箱に放り込むと、ズボンを払いながらベンチを立つ。

 周りを視る。ぐるりと見渡すだけでもその惨憺たる現状は明らかだ。人か犬かも分からない肉塊が死に場所を求めて這いずり回る光景は視るに堪えるものではなかった。


 先ほど悲鳴が聴こえた。直にここにも警察やギルドから人がやってくるだろう。唯一の生き残りとして事情聴取を受けるのも面倒だ。早々にここから立ち去る必要がある。けど、最後に確かめておきたいことがある。十方くんは“蠅だ気にするな”といった。けど、それは違う。僕の痲宮殿の中では蠅の一匹すら残ることは無いのだから。


 ちなみに痲宮殿の張れる結界は地表のみ。地面も結界の面として捉える。大きさは最大で半径約二十六メートル。今回は十方くんとの距離も加味して十八メートルに抑えた。

 些末な問題だけど、端に行くほど展開の速度も効力も落ちる。相手との距離が分かっているのなら、最低限の大きさに留めたほうが性能が上がる。ただ、性質上、地中に潜られると手の出しようがない。


(だから、蠅じゃなくてモグラと言われた方が疑わなかったよ、十方くん)


 街角を曲がる。恐らくここに――――何も無かった。


 そこには初めから何も無かったかのように、血の一滴たりとも滴ることのない通路が続くだけだった。もちろん、蠅の死骸も無い。

 彼の言っていた言葉、それはとてもじゃないが本当のこととは思えない。なら、彼が証拠ごと消し去ってしまったと考えるのが妥当か。それほどまでして隠さないといけない事なのか。


 ____ウーウーウー


 耳障りな音がした。知性を感じさせない阿呆の音。どうやら税金で扱き使われるハイエナが血の匂いを辿り嗅ぎ付けてきたみたいだ。

 昔、警察は権力の犬なんて蔑称で呼ばれていたみたいだけど、こうなると本当に犬の様だね。さて、ここにはもう用はない。そろそろお暇するとしようか。


 僕の目的には時間がかかる。何かをするとかしたいとかではなく、()()()()()()()()()()()()()のだ。

 だから、考える時間だっていくらでもある。急いだって良い事なんて一つもない。ゆらりのんびりと腐り切った世の中を揺蕩うことにしよう。


「さて、次はどうしようか」


 夜深はフードを深く被り直し、音の発生源とは反対方向に、人込みと云う名の闇の中へ身を沈めるのだった。

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