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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第六章 それぞれの想いと
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特大パフェとアリィちゃん

「ふぅ、少し長話をしたら小腹が空きましたね!ね、ちずちず、どこかに入っておやつでも食べませんか?」


 え、さっきお昼ご飯を食べたばかりなんだけど。と言いかけたが、アリィちゃんはずっと喋り詰めだったから、聴いてるだけのあたしよりカロリー消費?が多いのかもしれない。

 正直お腹は全くといっていい程空いていないが、ジュースぐらいなら飲めるだろう。


「うん、いいよ。どこにするかアリィちゃんが決めてよ」


「そうですねえ。あ、あそこの店なんてどうです!?雰囲気もお洒落でゆったり落ち着けそうな感じがしません?」


 そう言って角に立つビルを指差す。どうやらパフェ専門店のようだった。一階がカフェ、上が住宅にでもなっているのだろうか。テナント物件というやつだろう。断る理由も特に思い当たらないので、千寿流は快く頷き歩き出すことにした。


「う~ん、何にするか迷いますねえ。超デリシャス特選ジャンボストロベリーパフェにするか、極キングデラックス天下無双のマスカットパフェにするか、それとも両方いくのか」


 アリィちゃんがこんな真剣な顔は初めて見たかもしれないってくらいに真剣な顔で、メニューのタブレットと睨めっこをしている。というよりも、そのどちらのパフェも六千円を超えているのが目に入り、白目を剥きそうになる。両方ってマジ?アリィちゃん。いやまあ美味しそうだけど。


 アリシアが大食いということに今更言及するつもりはない千寿流だったが、名前を聞くだけで胸焼けしそうなメニューはどうにかならないものか。


「なあメイちゃん。なんか最近ランジくん素っ気なくない?いっしょに遊びに行こうって誘ってもめっちゃ渋い顔して『止めておく』って。なんかあったのかな?」


「ランくん今度資格試験受けるとか言ってたし、勉強疲れ的な?そんな感じじゃないのー?」


「え、何それ初耳なんだけど!?資格試験とかマジかよ。やっぱランジくんカッケーな!」


「なにそれ、ウケるし。リョーくん馬鹿だし、どっちの意味で言ったん?」


「へ?どっちの意味ってどういうこと?」


 アリシアがメニューと向き合って戦っている横、若い男女が話す言葉が聴こえてきた。その名前にどこか聞き覚えがある様な気がして、千寿流は頭を捻らせる。


(あれ、なんだろう、この感じ。何で気になったんだ?何か聞き覚えがある。どこかで)


 たしか夜深ちゃんから聞いたんだっけ。そんな名前の人。いや、違ったかな?ランジなんて名前珍しいから、一度聴いたら忘れないはずなんだけどな。

 聞いた事があるはずなのに、どこで聞いたのか思い出す事ができない。歯に小骨が挟まってどうやっても取れないような気持ちの悪さだけが残る。残念ながら千寿流は記憶力に乏しいのだった。


「決めました!両方行きますっ!!」


「へ?」


 アリィちゃんはタブレットから勢いよく顔を離し、あたしにそう宣言する。両方ってもしかしなくてもパフェの話だよね。まさかとは思っていたけど本当に両方食べる気だったんだ。あたしなら一週間あっても食べきれないレベルの量なんだけど。おえっ。自分が食べた時のこと想像をして心の中で嘔吐く。

 あまりの衝撃的な発言に、既に先ほど思い出そうとしていた名前はどこかに飛んで行ってしまっていた。


「ね、ねえ、それ美味しい?」


「ちずちずも食べたいですか?」


「う、うん。ちょっとだけ」


「ほい、来ましたっ!」


 待ってましたといわんばかりの笑顔。きっと食べるのも、食べているのを見るのも好きなんだろう。


「ああっ、ほんとちょっとだけでいいからね?」


 アイスクリームを大量に盛られそうなのを声と手で制止する。

 知っている、悪気は無いのだ。アリィちゃんは心の底から本当に、食べられるだけ食べられれば幸せなんだと考えている。

 食べられない日がたまたま続いて、汚水や、泥にまみれた草、這いずり回っている虫を食べて飢えを凌いだこともあると聞いた。

 そんな境遇を聞いたから分からなくもないし、気持ちは嬉しいのだけれど、この小さな体のどこにそんなに入ると思われているのだろうか。


 胸焼けになりそうになりながらアイスクリームを口に放り込んでいると、脳味噌が刺激されたのだろうか、さきほど思い出そうとして思い出せなかったものが、ふわりと水面に揺蕩うように浮かび上がってきた。


「って、ああーーー!!」


「わっ、ぶぴぃ!?冷たぁ!?」


 アイスクリーム頭痛と思い出せたという事実に刺激され、あたしは思わず声を上げてしまった。突然大声を出したあたしに驚き、アリィちゃんはパフェに思い切り顔を突っ込んでいた。


「あ、アリィちゃん?」


「へ、へへへ。へぇ~。で、何でいきなり大声をだしたんです?」


 アリィちゃんは顔面クリーム塗れになりながら、口元をこころなしかピクピクとひくつかせ、あたしをジトりとした目で睨みつける。


(こ、こわっ)


 そのアリシアの乾いた笑いと真っ白な面持ちが般若のように感じられて、ぶるりと身震いする千寿流だった。

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