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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第六章 それぞれの想いと
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アリシアとリリアン

「あ、えっとね。少しになっていたことがあるんだけど、訊いても良いかな?」


 その日の昼下がり。ふとあることを思い出した千寿流がアリシアにそう訊ねる。


「はい、もちろんです!何でも訊いちゃってください!あ、もしかして献立のメニューを考えるのが難しくなっちゃったとかですか?」


「ううん、違うよ」


 首を横に振る千寿流。どう切り出そうか少しばかり逡巡した後、意を決したように口を開いた。


「前言ってたでしょ、銀ノ木。銀ノ木ってさ、アリィちゃんの生まれたところなの?」


「ん、ふむ。えっとですね。風太から聞いたんですか?」


「え?ううん、違うよ。ただ、なんとなく、そう思っただけだよ」


 銀ノ木についてはアリィちゃんから前に聴いている。異能(アクト)に関しての研究を行ってる施設がたくさんある所、という話だったはずだ。そこに行けばあたしの異能(アクト)についても何か謎が解明出来るかもしれない、という話も聴いた。

 それにアリィちゃんはトレジャーハンター。言い換えれば冒険家のようなものだ。だから、銀ノ木について詳しいことは何らおかしいことでは無い。けど、何て言えばいいのかな。それ以外にも理由がある様な、そんな違和感を感じたんだ。


「ごめん。言いたくないならいいんだ。べつにあたし、アリィちゃんを困らせたいわけじゃないし」


「いえ、いいんです。わたしも隠すつもりはありませんでしたから。……そうですね、わたしの子供の頃の話になります。少し長くなりますけどいいですか?」


「うん、もちろん」


「そうですか」


 そう言ってアリィちゃんはゆっくりと目を閉じて、静かに語りだした。




 わたしの故郷、今では銀ノ木と云われていますが、それは地形が変化してからの話であり、そこら一帯の地区を指しての名称なのです。

 だから、一概に銀ノ木と云っても、もとが甲府であったり、茅野であったり、諏訪であったりと、当時の被災者たちの気持ちを代弁するのであれば、到底受け入れられるようなものではなかったんでしょうね。

 だって、前触れもなく住んでいる場所が消え去ってしまったんですから、きっと異世界にでも迷い込んでしまったような感覚だったのでしょう。


 第七の導(セブンスカラミティ)の発生が二一七八年。英雄変革(アドベントシフト)も同年の二一七八年に起こったと云われています。

 わたしはまだ生まれていなかった頃の話です。当事者ではないので、当事者の気持ちがどういったものなのか分かる術もありません。まあ、わたしは当事者だとしても特に気にはしないでしょうけどね。そこまで生まれた場所に執着なんてないですし。

 けれど、わたしみたいな無頓着ばかりでもないのが現実です。わたしの住むところではまだ銀ノ木に変わったことを受け入れられず、元々の名前、加賀と呼んでいる人も少なくありません。

 なにせ住む家すら追われた人もいますからね。当時はいさかいが絶えず、喧嘩ばかりしていたという話も聞きます。


 幼少期のわたしはというと、銀ノ木で生まれ何不自由なく過ごしていました。街の名前の由来や過去に何があったのかなんて子供のわたしには当然知る由もなく、ただ日々を楽しんでいられたのです。

 わたしが四歳になった頃、妹が生まれました。まだ子供のわたしには家族が一人増えることの意味がよくわからなかったけれど、周りの大人たちがみんな幸せそうな顔をしているから、それはきっと良いことなんだと思っていました。

 妹の名前はリリアンと名付けられました。物心ついたリリアンは自分のことを『リリア』と呼ぶようになったので、わたしもリリアと呼ぶことにしました。


 リリアはよく笑い、よく泣く子でした。

 泣き出しては母がすぐに駆け寄って抱きしめたり、父が不器用にあやしたりしていました。わたしも妹の世話を手伝おうとしましたが、できることは限られていて、そんな様子を見守ることしかできませんでした。

 けれど、妹に付きっきりになる時期があったとはいえ、わたしへの愛情が向けられなくなったと感じたことは一度だってありませんでした。

 わたしはそんな父と母、そしてリリアが大好きでした。

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