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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第五章 大食い少女とあたしの冒険譚
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石柱の檻2

 全長二十メートルをゆうに超える石造りの巨人型の魔獣(マインドイーター)を相手に、風太とアリシアは苦戦を強いられ続けていた。

 足元は地面から完全に離れており、二足歩行。それ故に渾身の一撃をぶち込めば一メートル程度は後退させられるだろうが、だから何が変わるわけでもない。こちらの拳がぶっ壊れるのが先だろう。

 相手の攻撃方法はいたって単調。熱源を帯びた巨体を生かしたパワフルな殴り、ラリアットや、裏拳。あとは、地面からせり上がった石柱を掴んでの振り回しぐらいだ。恐れていた要素ではあるのだが、熱線の発射などは行わないようだ。


(ッち!ビクともしねえ。目元に傷があるからってそこが弱点ってわけじゃねーのか)


 あれから、一時間が経過する。風太を前衛に、アリシアが後衛でサポートをするという布陣。

 風太の異能(はやさ)をもってすれば、いくら破壊力があろうとも、相手側に速度や範囲攻撃が無いので、体力が続く限りは余裕でいなし続けられる。

 また、遺跡の魔獣(マインドイーター)にはその巨体に見合うだけの頭脳が無いのか、目の前で戦況を攪乱し続ける小さな障害しか目に入らないようだった。その為、風太は攻撃を含む避けに徹することが出来、アリシアもその都度、適切なサポートをすることが出来ていた。しかし。


(クソ、あれから弱点らしい場所に攻撃を何度もぶち込んでみたものの、一向に手ごたえを感じねえ。まだ余力はあるが、こう反応が丸きりねえとダレてきやがる。どうにか路を拓かなきゃいけねえわけだが)


「フェルメールッ!」


 フェルメールには前もって自らは魔獣(マインドイーター)に攻撃を仕掛けないよう言ってある。もちろん、足手纏いといった消極的な考えではなく、攻撃を仕掛けた際、相手の対象にフェルメールが含まれてしまうことも恐れてという話だ。


 フェルメールだけならまだしも、あの場には千寿流もいる。千寿流を抱えてあの広範囲の攻撃をいなし続けるのは難しいだろう。


「ダメですっ!わたしからもっ!いろいろ探ってはいますが、攻略法は見えてませんっ!やはりここは外壁を破壊して脱出を試みるしかっ!」


 外壁を破壊する。先ほどフェルメールが試したことだ。

 破壊自体は出来た。しかし、破壊したその場から石柱がせり上がり、何事も無かったかのように再生したのだ。その間は一瞬。とても脱出できるような時間は無かった。

 オレの疾さならばギリギリ脱出できるだろうが、千寿流とフェルメールは無理だ。無茶をすれば脱出の途中、せり上がってきた石柱に身体ごと貫かれて串刺しにされてしまうかもしれない。リスクだけの賭けだ。

 だからこそ、魔獣(マインドイーター)を破壊するという方針に舵を切ったわけだが、こうして対峙してみて、攻撃も仕掛けて、この魔獣(マインドイーター)を破壊するというのはかなり無茶だと思えてきた。

 ならば、頭を冷やし、もう一度考えてみるのもアリかもしれない。


 風太はその持ち前の性格上、煽りに反応しやすく、短絡的で面倒事を嫌うという分かり易い欠点はあるものの、戦闘時においての取捨選択、状況判断は速い。おそらく、異能(アクト)の速さに身体を慣らすうえで、高めなければいけない要素だったのだろう。

 まあ、この場に関しては相手が物言わない魔獣(マインドイーター)ということもあるだろうが。


「わーった!考えてくれッ!オレも考えるがオメーのほうが適任だろッ!」


 繰り出される魔獣(マインドイーター)の攻撃を躱しつつ風太がそう言った。


「はいッ!」


「あ、アリィちゃん、熱い。さっきより、気温、上がってる?」


 隣で汗だくになり、意識を朦朧とさせる千寿流が弱々しそうに呟く。

 無理もない。あれから一時間以上が経過している。既にこの石柱に囲われた空間の温度は四十度を軽く超えてしまっているだろう。もう長居は出来ない。早々に路を拓き、外に脱出しなければならない。


「ごめんなさい、ちずちず。もう少し、もう少しだけ頑張ってくださいっ。ほら、これ飲んで。まだ冷えてますから、美味しいですよ~」


 目を閉じている千寿流に冷えた水が入った水筒を渡す。その場しのぎではあるが、体温が下がることで幾分かは楽になると考えての事だった。

 こんな場所に連れてきてしまったこと。申し訳ない気持ちで居たたまれなくなるが、今はそれよりも優先すべき困難が目の前にある。


(だから、今は謝りません。ちずちず!この場を無事に脱出出来たらその時に、もう一度謝らせてください!)


 アリシアは熱が直接体に伝わらないよう、大きめのタオルを何枚か重ねて地面に敷くと、その上に千寿流をゆっくりと寝かせようとした。


「っんぷ!?」


「えひひ、アリィちゃんも、汗、だらだらだよ。ジャケット、着てないもん。えひひ、あたしは、大丈夫、だから」


 そう笑顔でとつとつと力なく呟く千寿流は、「えひひ」と笑って、アリシアに水筒の口を押し付けて、再びゆっくりと眼を閉じた。

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