星の調律
ようやくタイトルのコネクトプラネットの回収です。
最後の方画像有ります。少しだけショッキングな内容なので閲覧注意です。
「へえ、やり直しただけの未来があると?」
「せや。例えるんならサイコロの出目や。今ある世界が6やとする。振り直してみたら、もう二度と六が出んかも知らん。今が六なら振り直して待ってる未来は、今より最悪な結末しかないかも知らん。もしかしたら、サイコロがぱっくり割れてこの世界諸共終わってしまうかもな」
「何が起こるか解らないっていうのは同意だよ。けど、君が言う話ならばサイコロそのものが世界だ。その因果からは逃れられないんじゃないかな?だって、砕けたって燃え尽きたって、それはサイコロに変わりないだろう?」
夜深は手で仰ぎ、残った手で鼻を塞ぎながらそう言った。
「知るかいな。因果なんちゅう言葉は逃げや。何をしても無駄だと宣う弱いやつの免罪符にすぎん。いや、思えばあの小生意気なガキの言うことも正しかったちゅうことかいな。ほんま、自分のアホさ加減に笑えてくるわ」
(小生意気なガキ?千寿流ちゃんのことではないかな。彼女はまだ接触していないはずだ)
時矢が強くその拳を握り締めると、一列に燃え盛っていた焼死体たちが圧縮され、排水溝に流れる水の如く、そのまま凝縮されるように消え去った。
「俺なら世界ごと変える。この惑星、それを覆っとる理ごと変えてみせる。何もかも違って視える世界に。お前に出来んならそれでええ。したくない奴には何も強要せん。指でも咥えてそこで黙って観とればええ」
君の考えは理解できる。僕も考えたよ。
けど、それはきっと思ってるよりも難しい。
だから、僕たちは迷い続けてるんじゃないか。
「俺らには心は無いか?けど、自分の意思でここに立っとる。選ぶ権利がある。せやから、星の調律なんぞ、俺は認めん」
(星の、調律?)
聴き慣れない単語だ。
壮絶な能力の応酬はどうやら終わったようだが、彼らの話に興味を持った来希はその場に居座り、彼らの話を盗み聴いていた。
彼らの話は過程?それか自身の能力によってある程度操作が可能なのか?この惑星に来て学んだという発言からみるに、他の惑星から来た宇宙人とでもいうのだろうか?
あまりにも荒唐無稽の話だが、彼らの話を全て真実だと仮定した上で考えるならばそうなのだろう。
宇宙人の目的ともなればこの惑星、地球の侵略というのが一般的なイメージではあるが、彼らの発言から地球を救いたいという意思も感じられる。それが難しいから苦悩している。といった感じだろうか?
あの十方という男は地球を救いたいという強い意志があるが、鬼竜院という男にはそれがなく、一種の達観のような物を感じられる。
地球の未来がそう長くはない点については初耳だが、今ですらバラバラに散らばった破片を合わせて繋ぎとめている状態なのだ。考え自体何もおかしくはない。
小生意気なガキについては見当つかない。サッパリだ。
あとはやり直すとかなんとか。
確か人間の脳内、記憶を電波に変換して過去に送ることで、記憶のみのタイムトラベルが出来るようになるかもしれない、という話を聴いたことがある。
もちろん、受信側がどうなるのかとか、装置を開発したその時代までしか遡れないのではないかとか、憶測はいろいろと飛び交ってはいるが、もしかしてあたしたち一般人には情報が出回っていないだけで、裏では秘密裏に完成されて試行が行われているかもしれない。
だってそんな装置が完成していると知られたら、戦争の火種になりかねないからな。
あたしも現代っ子。ニュースなんて自分の興味のあるものしか目を通さないが、確か『時筒機関』といったか。脳波電子タイムトラベルは科学者、仁科姫子が第一人者だったはずだ。
いや、これは関係あるのか?真実と仮定とは言ったけれど、そもそも宇宙人という単語自体胡散臭いし、真面目に考察するのがアホ臭くなってきた。
「いいさ。時間は多くはないけれど、考える暇ぐらいはある。君も僕も一人の時間が必要だ」
「フン。せやな。俺も男の子やさかい、熱ぅなると周りが視えんようんなる。ここはひとつ、ホンマの解散と行こか」
「でもまあ」
「安心せい。ネズミの処分は俺に任せたらええ」
____ッ!?
不味い。
そう気づいた時にはもう遅かった。
視界に、七つの星が瞬いた。北斗七星。夜空にあるはずの輝きが、なぜか目の前に浮かんでいる。綺麗、だったのだろうか。ソレが遊馬来希という少女の瞳に映った、最期の景色。
「____逃げ」
(ん?子供?なんでこない場所に)
路地に入ると、そこには光の杭のような物が身体の至る所に突き刺さった少女の亡骸が在った。
顔は苦悶の表情、だったのだろうか。その肢体からおそらく端整と思われる顔面には、光の杭が突き刺さり、生前の面影が解らない見るも無惨な態を成していた。
時矢は満足に声も上げられず、無抵抗に貫かれたであろうその亡骸を視て、眉一つ動かすことはしなかった。
ただ、驚きこそしなかったものの、些細な疑問が浮かんだ。この距離は痲宮殿の範囲内。それなのになぜ肉体が五体満足だったのだろうか。痲宮殿に対抗する術を持っていたか、機転を利かし魔装でもぶつけて中和したのか。だとしたら惜しい人材を無くしてしまったことになる。もしそうならば、少し勿体なかったかもしれない。
(まあ、痲宮殿が割れてからここに迷い込んだだけやろうな。しょーもない人生やったなお嬢ちゃん)
片手で申し訳程度に謝罪を入れてその場を後にする。
「十方くん。誰かいたのかい?」
「ああ、気にせんといたってや。ただの蠅や」




