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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第五章 大食い少女とあたしの冒険譚
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宝石魔術と術式棍

 丁度アリシアの股下、柔らかくなった地面が薄っすらと盛り上がる。それに合わせ、アリシアは後ろへと飛び退くよう身体を放り投げる。


「間一髪、ですねっ!」


 まだ、トリガーは引かない。このタイミングじゃない。先ほどと同じであれば体を捻り、石柱を足掛かりにしてこちらに飛び込んでくるはず。だから、まだ引き付ける。


「ぐぅうぅぎゃ!」


 アリシアの読み通り、砂トカゲは先ほどと同じように低く唸りながら、静かな怒りに火をつけて体を捻る。そして飛び掛かる、その瞬間――


「グリッタージェムッ!」


 アリシアがそう言い放つと同時に、砂粒に紛れていた紅玉が衝撃に呼応して液状化し、瞬時に再構成される。空気を切り裂き地面から生え出したのは、数多の紅い杭。それは無防備なトカゲの腹を串刺しにし、空中で縫い留める処刑台へと変わる。


「ぎゃあぁごっ!?」


(思い通り!外皮は硬質な鎧で覆われていますが、お腹はそうでもないようですね!)


 砂トカゲは身動きが取れない状態だったが、まだ生きている。それもそのはず、ルビーの朱槍に相手を絶命させるような威力は無い。そもそもの目的が捕縛用。精々、相手を気絶させる程度の威力しかないのだ。


 だから、仕上げの一手がいる。

 アリシアは抱えていた機械の槌、否、術式棍(じゅつしきこん)を回転させながら抱え直す。


 この武器は異能(アクト)が使えない能無し(ノーレア)のアリシアが、魔獣(マインドイーター)たちと戦うためにとあるツテで特注で造らせた、アリシア専用の武器。その重量はオプション無しで驚愕の九十八キロ。その他オプション込みで百五十キロ近くにもなり、常人にはとても扱えるものではない。

 この武器の特殊な機構は、自前の宝石を埋め込み、そのインパクトの瞬間に開放することで、機構を駆動させ、破壊力を何十倍にも増幅させる増幅器の様な役割を内包している。

 つまり、外部と内部からの両方の衝撃に耐えうる耐久性を得るために、ここまでの重量にする必要があるというわけだ。

 当然、ここまでの重量級の武器。この重さがそのまま破壊力にもつながっている。


「動けない相手に申し訳ありませんが、こちらも命がけなんで!」


 跳躍し、体を捻り、遠心力を加算する。

 百キロもの鉄の塊に殴られるだけでも致命傷ではあるが、宝石により相乗した際の破壊力は、本人の腕が痺れて動けなくなるほどに凄まじい。人間相手では圧倒的なオーバーキル。だから、対魔獣用(ばけものせんよう)


「せーのっ、ライブゲイザーッ!」


 轟音。辺りの空気が諸共震える。そんな衝撃をまともに食らった魔獣(マインドイーター)は、いくら硬質な装甲が自慢であろうとも、無事であるはずもなく、その身体を霧散させることしかできなかった。


「ふー、いっちょ上がりですね!二人ともー!もう出てきてもいいですよー!」


 額に滴る汗をぬぐいながら魔獣(マインドイーター)が完全に消え去るのを待ち、もう問題ないと判断すると、アリシアは諸手を振って千寿流たちを呼ぶ。


「す、すごいね、アリィちゃん。砂に紛れてよくは視えなかったんだけど。さっきの音。どがーんって!アリィちゃんがやったんでしょ?」


「ふふ、これが宝石魔術です!けっこう応用も利くので、他にもいろいろできますよー」


 そう言いながら、アリシアは色とりどりの宝石をジャラジャラと手の内で弄ぶ。


「例えばですね、さっきのルビーは硬質化。炸裂した形状を硬質化して槍とか手錠とか造れます。あとはルビーそのものに一定以上の衝撃を与えると爆発するので、この術式棍と合わせて瞬間的な推力を得られるわけです」


 ルビーは、と言ったので、他の宝石はまた違った効果が得られるのだろう。宝石同士を掛け合わせて応用的に使うこともできるかもしれない。なんだかゲームみたいだ。時間がある時に訊いてみるのも面白いと千寿流は思った。


「さて、魔獣(マインドイーター)も追い払ったことですし、そろそろ出発しましょうか!ね、ちずちず、風太」


「やるじゃねえか、アンタ。正直舐めてたぜ。状況判断も悪くねえ、頼らせてもらうぜ」


「へ?ああ、もちろんです!これでも冒険に関しては一番先輩だと思うので!」


 冒険か。改めて実感する。ドンと胸を張るアリィちゃんがものすごく頼もしく視える。


「サバイバル、防災関連、食べられる草や虫の見分け方なんかもどんとこいです!あと、毒キノコも死にそうになるのに耐えれるなら美味ですからね!大船に乗ったつもりで任せてくださいよ!わたしはダイヤモンド・プリンセスレベルの豪華客船ですからね!」


(豪華客船……?)


 虫を食べたり、毒キノコで死にかける豪華客船なんて聞いたことがない。それではただの遭難船だ。千寿流はエアポケに入った携帯食料をぎゅっと握りしめる。絶対に、何があっても、アリシアの(ゲテモノ)料理だけは回避しようと心に誓った。

アリシアはフィジカルだけでなく力もつよつよです。搦め手とかもそれなりにいける口です。

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