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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第五章 大食い少女とあたしの冒険譚
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南雲終夏

 私は強い。私は賢い。私は完璧だ。


 南雲終夏(なぐもおりか)は生まれてこの方、挫折らしい挫折を味わった事が無かった。

 学生時代は常に成績上位。周りの人間がテストの一点二点に一喜一憂しているのを横目で見て鼻で笑っていた。その時は高揚感が勝り何も思っていなかったが、こうして俯瞰して見てみると随分と嫌な奴なのだな私は。


 もちろん文武両道。親の勧めで通っていたジークンドーはやっかみで絡んでくる低能どもを黙らせるのに、一役買ってくれたものだ。何せ奴らは馬鹿だから、勝てないと解っていても向かってくる。鼻血を流しながら不細工面をかまし、逃げ果せるゴミどもにかける罵詈雑言は最高に気持ちが良かった。

 学のないものは何処にも必要とされず流される様に魔獣狩り(ハンター)のような野蛮な職に就いた。傍から見れば私の友人に位置していた者も、例に漏れず身体を酷使する仕事に就いた。


 友人はいたのか?いや、周りが勝手にそう勘違いしていただけだ。頭の良い人間と会話をすると疲れるから、周りに馬鹿を置いていたにすぎない。それを友人と呼べるのならば、私には吐いて捨てるほどいたと言えるかもしれない。

 あいつらは聴くこと全てを何でも鵜呑みにして咀嚼しない。情報に踊らされ、踊らされていることに死ぬまで気づかない。ある意味幸せ過ぎる人生なのだろうな。


 異能(アクト)に目覚めたのは物心ついた時だった。天啓のように異能名(アクトネーム)を授かった。

 異能(アクト) 鏡面形写『Floating shape』物体と物体の位置関係をある点を起点に連動させ、鏡像の様に反転させる能力。

 本体である私が動けば鏡写しの様に追従する。私本人が見てみても本人と瓜二つ、見分けがつかないほど精巧な虚像。

 私自身は前もって変装しておけば虚像は変装後の私を対角線上に作り出す。作り出した虚像の透過度は私が決めることが出来る。物体に触れる様にもすり抜ける様にも自由自在。

 とは言っても動きは鏡写し。頭を上手く使わなければ不自然な動きになってしまうだろう。

 実在する私の移動先に何らかの物体が存在し、物体に触れられることの出来る透過度に調整した虚像が触れてしまえば、エラーが発生する。その衝撃は本来の私にフィードバックとして跳ね返ってくる。


 私は思った。この力を使えば簡単に金儲けができると。


 宝石強盗や銀行強盗の類は不可能だ。いくら虚像は透過するといっても現物を持ち帰るには私自身がその動きに沿うように合わせなくてはいけない。虚像は物体をすり抜けられるとしても奪った金品は実在を伴ったままだ。だから、結局は正攻法で盗みを働く必要が出てくる。

 それに、街中は障害物となるものが多すぎた。下調べと称し、試しに何度か行ってみたもののすぐに雁字搦めになり、エラーに陥ってしまった。


 そして辿り着く。私の異能(アクト)に一番合うやり方。

 それが、殺人請負人。まあ、殺し屋というやつだ。


 この仕事であれば依頼人、殺害対象、どちらも虚像にやらせることでリスクを最小限に出来る。異能(アクト)について明かす必要もない。失敗しても反撃される心配もない。楽して稼げる最良の方法だ。まあ、良心の呵責が心を刺す、という些細な問題はあるがね。


 今回は正直言うと失敗だ。こんな間抜けな失敗は初めてかもしれないな。

 でも、タイヤはまだ回っている。脱線しつつも軌道に乗り直そうと走り出した車は未だ速度を上げ続けている。間違った景色が過去の様に高速で後ろに引っ張られていく。その眺めが今はどうにも愛おしい。


 ああ、私はまだ言い知れぬ高揚感に包まれている。

 クレバーにいこう。

 ミスは誰にでもある。ならばミスを反芻し咀嚼しろ。飲み込んで次の糧にするのだ。


 いいさ、今日は私の負けということにしておいてやろう。だが、次は私が勝つ。

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