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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第四章 覚醒
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星を穿つ

 光の槍が瞬く。遍くを貫く神の如き鋭さをもって、敵を穿たんと襲い掛かる。


「……」


 星一朗は光槍が穿った先を静かに見据える。まだ油断はならない。勝利を確信するには早すぎる。

 なぜなら、この男は()()()()()()()()()()()()()()()から。もちろんこの男が能無し(ノーレア)だという可能性も十分考えられるが、そうであるならば武器や魔装の一つでも持ってないとおかしい。そう思った。

 それに用心に用心を重ねるのは何も恥ずべきことじゃない。戦場では臆病者が生き残る確率が高いと云われているように、情けないと思っていたことが生存に結びつくこともある。皮肉な話だけどね。


(クラマさんも安全な場所に運ばないといけない。さっさと終わらせるか)


 おそるおそる男に近づく。


 無数の光で穿たれた男の身体。光の槍自体に殺傷や外傷をつける性質は無いものの、触れると痛覚に作用し激痛を引き起こす。それは鋭利さと比例するように威力が増幅されていく。

 男は白目を剥き、口を開けて涎を溢れさせていた。微かに息はあるようだが、完全に気絶しているとみて間違いないだろう。

 暫くすると光の槍はまるでその存在自体が幻であったかのように霧散し消えてゆく。その光景に改めて僕が視ている現実は奇跡の一端なのだと自覚させられた。


 何はともあれ、終わったのか。


 そう思い背を向ける。クラマさんを起こすため痛む身体に鞭打って歩みを進める。全身に走る鈍い痛みに憂鬱な気分にさせられたが、今はそれに構っている暇はない。


 ____あれ、なんだ?


 身体が思うように動かなかった。おかしいな。酷い傷だが動けないというほどの事ではない。なら、疲れているのか?いや、何を言っているんだ僕は。そんなの関係ない事は解っているじゃないか。


 ____だって、赤と黒に塗れた鉄の棒が僕の腹を貫いているのだから。


 痛いとか痛くないとか、頭が痛いとか、身体が痛いとかそういうのじゃない。身体に突き刺さった鉛の棒が引っかかってどうにもこうにも動かせないのだ。


 現実から目を逸らす。


 なんだこれは。


 ____痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。

 当然だ。鉛の棒が体に突き刺さっているのだから。


 怖い、なんだこれは、なんだなんだなんだ。

 どうということは無い。直径十五センチほどもある鉛の棒が体に突き刺さっているだけだ。


 誰がやった。誰がやった誰がやった誰がやった。

 振り返ることも出来ない。鉛の棒が体に突き刺さっているから。


「礼儀。なんて馬鹿馬鹿しいと思わないか?君の負けだ。富士野星一朗くん」


 後ろから耳障りな声がする。気がした。


 分からない。痛みと恐怖で感覚が暴走しているみたいだ。体中が熱く煮えたぎる傍ら、寒気がした。男が僕の眼の前に回り込む。男の身体は頭から水を浴びたかのようにずぶ濡れだった。


「私の異能(アクト) 鏡面形写(きょうめんけいしゃ)『Floating shape』物体と物体の位置関係をある点を起点に連動させ、鏡像の様に反転させる能力。水中や木々に身を隠しておけば、ある程度の動きも可能。しかし、ただそれだけの能力故に異能の開示はご法度。狂人を騙るしかなかったというわけだ」


 男の言っていることが全く理解できない。頭が重くて痛い。これはアレだ。昔インフルエンザに罹って生死の境を彷徨った時によく似ている。いや、それ以上なのかもしれない。なるほど、これじゃあまともに考えることだってできやしない。


「起点についてだが種明かしをしようか。私が最初に合図といってコインを池に弾いただろう?あの点を軸に水中に潜む私が地上の虚像(わたし)に代わって演技をしていたというわけだよ」


 なんだそれは。良く分からない。そんな真似が本当にできるのか?

 水中で息を止めていた?同じ動き?なら、僕の攻撃に合わせてやられたフリをしたというのか?そんなのどうやったって違和感が出る。僕はそれを全部見逃したというのか。


 あり得ない。そんなことはあり得ないんだ。


「疑問か?疑問なのか?疑問に思っているだろう?ふふふ、あの時点で私は異能の開示をしていなかった。その不完全さが逆に功を奏したというわけだ」


 男は僕の心のうちを読んでいるかの如く楽しそうに語り続ける。ああ、策を弄して、それが上手くハマって圧倒的優位に立つと気分が良くなるよな。それには同意するよ。


「異能の開示がされていないFloating shapeは痛みこそないが、不完全故に虚像の受けた外的要因が私自身にも多少フィードバックされる。そうなれば必然、私に影響される虚像にも同じ影響が出るというわけだ。私はそれをほんのちょっと大げさに演じて魅せただけの事。ただそれだけの事なのだよ、星一朗くん」


 つまり、水中で滑稽にもやられる演出をしていたということか。笑える話だ。ぜひその姿を見てやりたかったな。


「さて、種明かしは済んだ。ふふふふ、ひひひひひっ!きひひひひッ!鏡、見せてやろうか、星一朗くん!君、今凄く情けない顔してるぜ?」


 くだらない。僕は負けたんだ。これはスポーツじゃない。だから負けた先には何も無い。なら、反省とか後悔とかそんなものもいらないんだ。


 だからもう考えるのも億劫なんだ。


 ごめん、近衛さん。君にあげたキーホルダー。まだ、何も残せてやれてないよな。

 いや、ははは。あれからけっこう経ってるし、そんなこともう忘れてるか。

 最期くらいは僕の友人を想って終わりたいな。


 ああ、ダメだ。身体が冷えていくのが自分でも。わか……る。

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