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Connect☆Planet -コネクトプラネット-  作者: 二乃まど
第三章 狼との出会い
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答え無き問い

「ああ、もしかしてお前らが探してたのってアレ?なーんだ、どんなヤバいやつかと思って身震いしちゃったよ俺。大丈夫大丈夫、アレは俺がきちんと処分しておいたから」


 その言葉に反応してクラマちゃんが一歩前に踏み出す。


「それにね、アイツ弱っちい癖に何人もの女性を腹の(なか)に取り込んでいてね。いやー酷い有様だったよ。俺も驚き過ぎて顎が外れるところだったよねぇ」


「……っ」


「ああ、でも、安心して。女の子たちは結構衰弱していたけど、みんな命には別状ないっぽかったから。救護隊呼んでおいたし、今頃適切な治療を施されていると思うよ」


 それは良かった。あたしはてっきり死んじゃってたのかと思ったから。ほっと胸を撫で下ろす。けど、捕えられていた人たちが助かったと聴いても、クラマちゃんの顔は晴れないままだった。

 思えば水性の魔獣(マインドイーター)が話題に上がるたびにクラマちゃんは俯いて口篭っていた。やっぱりあたしたちに話せなかった、何らかの因縁のようなものがあったのだろうか?

 あたしはクラマちゃんのそのどこか苦しそうな表情を見たら、追及なんて真似はできなかった。けれど、それは間違いだったのかな。


 そんな事、分からない。


「その魔獣(マインドイーター)。何か言っていませんでしたか?」


「へ?女の子じゃなくて魔獣(マインドイーター)?あーなんか言ってたかもね。けど、魔獣(マインドイーター)が話す言葉なんて聴く耳持っちゃ駄目よ。碌なことなんて言わないんだからさ」


 きっとこのロニーという男の言い分は正しい。魔獣(マインドイーター)は人類の敵であり、その存在が人の為となることはない。


 けれど生きていた。

 存在していた。


「お前ら知ってるかな?近頃の魔獣(マインドイーター)って結構厄介と言うか、一癖も二癖もある奴が増えてきているのよ。俺は立場的にもそういった情報が嫌でも耳に入るのね」


 それは知っている。

 突然変異。魔獣(マインドイーター)の生態は解明されていない部分が多い。というよりは解明が完了した矢先からイレギュラーが舞い込むのだ。


 まるでそのタイミングを図ったように。

 神が地に這いずる愚かな人間を見下す様に。


 一部の地域では、増えすぎた人類を粛清する為に神が遣わした使徒、なんていう一種の神格化の様な扱いをすることもあった。こんなことを実際口に出したら、SNSなんかでは袋叩きにされるから口が裂けても言わないけど。

 事実、異能(アクト)と同じ様に未知の部分が多い。ならば魔獣(マインドイーター)の存在も、奇跡の体現と云っていいのかもしれない。


「後手後手さ。きっとこれからも振り回されるだろうなぁと思うと憂鬱になる」


 そう言うとロニーは千寿流たちを横切り、先ほど彼女らの行く手を阻んだ開かずの扉へと近づいていく。


「んー。こりゃ三十年近くは使われた感じはしないなぁ。まあ、ここはハズレかね?お前らこの扉の向こうにあるモノって何か知ってる?」


「いいえ。ロニー様は何かご存じなのでしょうか?その口振りからすると、何らかの見当がついているのかと思われるのですが」


「いや、ここにそんな扉があるのは知らなかったよ。もちろん、病院の地下にこんな空間が拡がっていたのも知らなかった。調査、と行きたいところだけど、俺一人じゃとても無理って話よね。これはまた後日かな」


 ロニーはスマホで何枚か写真を撮った後、振り返り眼鏡のブリッジを中指で掛け直すと、ふたたび千寿流たちの方に歩きながらそう言った。


「人間ってクズばかりだよね。詐欺、暴行、強盗に放火、果ては殺人。上げ続けたらまるできりが無い。これってみんな人間の為に作られた不名誉な称号(ことば)だろう?」


 法律は人間の為のものだ。それは当たり前の話だと思う。けれど、ヒトがヒトを傷付けるのは事実でもある。


「聴いた話じゃ近頃は魔獣(マインドイーター)が知恵をつけたのに付け込んで、魔獣(マインドイーター)と協力関係を結んでいるなんて話も聴く」


 千寿流たちが口を開かない事をいいことに、ロニーはさらに言葉を続ける。


「笑っちゃうだろう?ヒトがヒトの脅威となるんだ。戦争とかバカやってたのは昔からそうだけど、何にも進歩しちゃいない」


 何も言い返せなかった。


「まあ、要するにさ。俺はお前らが魔獣(マインドイーター)と何らかの協定みたいなモンを結んでるのかなって思ったわけよ」


「ざけんじゃねえよ。さっきから黙って聴いてりゃ、なんだ?アンタの目は風穴でも空いてンのか?」


 それまでロニーの自分勝手な話にイライラしながらも、黙って聴いていた風太も限界だったようだ。


「ああ、俺の間違いだ。ごめんよ。これで満足か?」


「あぁ!?」


 ロニーの心の篭っていない言葉にとうとう堪忍袋の尾が切れたのか、風太はその手を彼の襟元に伸ばそうとした。


「風ちゃん!」


 あたしは目が血走っていた風ちゃんを抱きしめる形で引き溜める。

 今止めなければ、何か取り返しのつかない事に繋がってしまう気がして。だから必死で抱きしめる。けれど非力なあたしの力なんて、何の意味も無くって。


「あぅっ」


 振り解かれた勢いで、地面に倒れ込むように突き飛ばされる。


「おい。子供に当たるのは違うだろう?」


「……わりぃ、千寿流。立てるか?」


 そう言いながら風ちゃんはあたしに手を差し伸べてくれた。少し怖いところはあるかもしれないけど、きっと優しい人なんだ。目の前の人よりも、絶対に。


「んー、トゲトゲ頭君。子供は大切にしないといかんよ。未来の(ざいさん)だ。お前さんだけには光るものを感じたんだが、見込み違いというところかね。あの程度で逆上して頭に血が昇るんじゃあ魔獣(マインドイーター)と変わらんよね」


「馬鹿が。こっちから願い下げだ。テメェも一度言った言葉を理解できねぇ馬鹿野郎だろうが」


「こりゃ一本。あぁそうだ、お前ら“佇影の住人(ノーバディ)”って聴いたことないか?」

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