後日談10話 火蓋は切って落とされた
新幹線に揺られること約1時間半、そこからタクシーを使って20分。
辿り着いたホテルは見上げるほどに大きな7階建てのホテルだった。事前情報によれば天然温泉はもちろん、年中無休の温水プールまで完備してあるとのこと。
部屋割りは子供4人と大人4人という丁度半々の区分けだ。2つの部屋は共にホテルの5階に位置する広々とした和室であり、海に面した立地のおかげで部屋にいても綺麗な海を一望できる別格のロケーションである。
さてこれから2泊3日。短い期間ではあるがこれから寝床となる部屋に足を踏み入れた俺たち子供勢は荷物を置いたあと、予め決めていたとおり早速プールに向かうことにした。
本当は今すぐにでも観光に向かいたいところだが、もう昼も周って大分経つ。ゆっくり観光を楽しむのは明日にしようという算段だった。
ほどなくして、各々水着を抱えてホテル1階に併設された温水プールへと到着した。温泉で有名な土地だけあってこんなところでも温泉推しが盛んであり、姉さんいわく『半分くらいは水着で入れる温泉のようなもの』らしい。
要は温水というよりも温泉プール、単なる温水プールとはきっとまた違った楽しみが待っていることだろう。
胸を踊らせつつ更衣室に入って水着に着替える。しかしさすが豪華リゾートホテルだ。市運営のやぼったいプールなんかとは違い、内装が新品みたいに綺麗で清潔に保たれているな……。
感心する片手間に着替えを済ませる。と言っても海パン一丁、男子の着替えは早いのだ。
着替えが済んだら更衣室から出て、もうじき来るであろう女子勢を待つ。主に始のことを、そわそわしながら待つ…………来た。
水着を着て横並びに歩いてくる一同を見やる。始に初穂に姉さんに……髪型が違うけど、あれは梯間か。……よし、全員いて――
「いやちょっと待て!」
流れるようにしれっと混ざっていた梯間に、俺は慌ててツッコミを飛ばした。
プール仕様とでも言うべきか。長い髪をアップにして後頭部で纏めていたせいで、一瞬だけ誰か分からずに反応が遅れてしまったのは不覚としか言えない、おのれプールめ。
「ノリツッコミどうも」
「どうもじゃなくて。なんで梯間がここにいるんだ、まさかお前……そうまでして始の世話を」
「その可能性を真っ先に上げられるとさすがの私も物申したくなるんだけど、とりあえず質問に答えるならあれだ。ここら辺うちの田舎でもあるからさ、たまに旅行も兼ねて帰省すんのよ。普通の旅行よりも金は掛からないし宿泊先も困らないし、ついでにペット同伴もオーケー。いい加減新鮮味がないこと以外は至れり尽くせりってね。で、このプールは一般客も入れるし、一種の温泉でもあるからたまにゆっくり浸かりに来るんだけど……まさか朝雛家と夜鳥家が勢揃いしてるなんて。妙な縁もあったものだわ」
苦笑する梯間の肩を姉さんがぽんぽん叩く。こっちはプールなのにいつもどおりの適当な髪型だった。
「まぁこれも運命だと思って諦めなさいな、私たちがいるからには……ゆっくりなんてさせないぞっ」
「梯間、遠慮なく引っ叩いてやっていいぞ」
「マジで?」
「ジョークジョーク、温泉なんだしゆっくり大事よね。だからそのパーはしまいましょう」
長い指をぐっと広げて軽く素振りを始めた梯間とそれを見て冷や汗を掻く姉さん。その二人を遠巻きに眺めて、朝雛姉妹がコメントを残した。
ちなみに初穂はショートカットだから特に髪を纏めたりなどはしていないが、始の方はいつものサイドポニーを丸めたお団子ヘアーになっている。しかし髪型変えると印象違うな、あれはあれでいいなぁ……うん、やはりプールは良いものだ。
「しっかしなんかこう、旅行なのにどんどん特別感減ってくよね」
「でもこれはこれで楽しくない? オレは好きだけどな、こういう変わらないノリも」
うんうん、俺だって好きだ変わらないのも。そう、始の水着は何度見ても素晴らしい。
梯間がここにいる理由も分かったところで、俺は始の水着をここぞとばかりにじっくりと目に焼き付け始めた。
ちょっと前に市民プールに行った際にも――始が色々大胆だったりしたときに約束していた話である――始の新しい水着姿は一度見ているのだが、その程度で新鮮味が落ちるわけもなくむしろ二度目だからこその味わい深さもあるだろう。
さて、そんな始の水着だが、いつぞや白状した俺の要望どおり去年のワンピースとは正反対とも言えるビキニタイプだ。とはいえ三角布で局部を隠す典型的なイメージの物とは違い両胸の布は一纏めになっており、上から花びらのようなフリルで覆い隠されている。下半身の方も同じようにフリルが広がっていて、スカートのようになっていた。
色は純白。フリルも相まって穢れなき百合を連想させる水着と、大胆に露出している細めの肢体とのギャップが妙にマッチしている。そして日焼けさえしなければ始の肌は白い方なので、総合的に見て明るいイメージを抱かせるが、その中で唯一熱を帯びて赤く染まり恥じらっている顔も実に……
「終斗、あんまりじっと見られると恥ずかしいよ……」
「む、悪い。その、なんだ……やっぱ何度見ても似合うなって思って」
「あぅ。ちょっと前から終斗、遠慮がなくなってきてる気がする。でも……えへへ」
俺たちのやり取りを横目に、呆れたような口調で残る3人が口々に言う。
「あいつら完全に二人の世界に入ってるわね……しっかしまぁ、飽きないのかしら毎度毎度」
「それどころか燃え上がる一方みたいですけどね。例の一件以来終にいが妙に吹っ切れたみたいで、始の方もそれが随分嬉しいらしくて」
「むふー、朝雛さん家は親も子もお熱いわねぇ」
「初穂ちゃんもああなるの? 彼氏できたら」
「ないですよ、絶対にない。いやだって引きません? 公衆の門前でああいうの」
「えー、いいじゃないイチャラブは人類の宝よ。傍から見てる分にはね!」
会話の中身は概ねどうでもいいのでほとんど聞いていない。そういえば姉さんと梯間はビキニ、初穂はパレオの水着を着ていたが、私的には始以外はやはりどうでもいいのであった。
「と、立ち話してばかりいるのもなんだし、そろそろ遊ぶか」
「うん。でもその前に温泉の方ちょっと入っていかない? どうせお風呂のときも入るんだけど、それでも水着で入る機会なんて早々ないだろうし」
「そうだな。それじゃあそっちから先行くか」
そう言いつつ、どちらからともなく手を繋いで二人で歩きだす。
始の小さい手を一回り大きい俺の手で握りながらふと思った。こうやって手を握るのも、いつの間にか自然にできるようになっていたな、と。昔は手ひとつ握るのに随分と悪戦苦闘していたはずなのに。
ゆっくりだけど俺たちの関係は"恋人らしく"進んでいる。だから……キスだって、出来るはずだ。
勝負は明日。1日で始の好きそうなプレゼントを選んで、買って、そして良さ気な雰囲気を作りキスまでもっていく。中々のハードスケジュールではあるが、ここでやらなきゃ男が廃る。
俺の決意とともにほんの少しだけ強く、始を握る手に力がこもった。
●
広々とした室内プールの一角に設置された温泉コーナー。
オレたちと同じく水着の客が結構浸かっているけれど、それでもまだスペースが結構空いているのはさすが高級ホテルといったところか。なんにせよ、おかげでゆっくりと温泉を楽しめそうな感じ。
プールで遊ぶ客たちの喧騒を遠くに、プールに合わせてか湯気のひとつも立たない程度にヌルく設定された湯へと、オレたちは二人並んで肩まで浸かりながら雑談を始めた。
「明後日には帰らなきゃいけないから、実質自由に周れるのは明日だけかぁ」
「少し短いが、俺たち学生と違ってみんなには都合もあるしな。その分、周れるところは全部周るつもりで行くか」
「そうだね。全力で楽しんでいこう!」
湯の中でぐっと手を握りながら考える。頑張らなきゃいけないことは、もうひとつある。電車の中でこっそり言われた、終斗のお母さんの言葉。
『あの子は夫に似て奥手だから、なにかあったら始ちゃんから引っ張り上げるくらいがちょうどいいかも。ほら、私みたいに相手の顔を立てようって待ち続けると10年近く宙ぶらりんになりかねないし。それにご時世的にも女ががっつくぐらいでちょうど良いかもしれないわね、時代は肉食系よ肉食系』
「時代は肉食系……か」
「肉がどうしたって?」
「あ、ううん。えっと、ほら、ここのホテル、夕食も豪華らしいしなにが出るか楽しみだなーって」
「始は本当に食べるのが好きだなぁ。明日はそこら辺も考えて周るか」
終斗はそう言って微笑んだ。どうやら上手くごまかせたようでほっとする。
そして思い返す。これまでの1ヶ月……終斗に影響されて始めたバイトのことを。
……今自分の懐には、その成果たる給料が眠っている。初めて働いた、初めてのバイト代。
それに……終斗はオレの水着を褒めてくれた、似合ってるって言ってくれた。少しずつだけど、終斗はオレのことを異性として意識してくれている。だから……。
オレはこっそりと、決意を固める。
【番外編(上):駄弁る乙女たち】
始と終斗が思い思いに決意を固める一方。
自然と彼らの視界からフェードアウトしていた3人はなにをしていたのかと言えば、そちらはそちらで素直にプールの方を楽しんでいた。皆わざわざバカップルに近寄ってラブコメ臭を嗅ぎに行く趣味はない……正確に言えば、十香だけは『観察したい!』とノリノリだった節さえあったが残る二人に止められてしまっていた。
そんなこんなで3人は――温泉ばかりが持ち上げられるが、プール自体も普通に充実していてボリュームがある――プールを回り、ほどよく疲れたところで温泉にて休憩を取ることにした。
温泉に到着してみれば、どうやらあのバカップル二人は既にいないようだ。ゆえに会話の肴もその二人が中心になるのは必然のことだったのかもしれない。なにせ彼ら、ネタには事欠かないのだ。
まひるが真ん中、彼女を挟み左が十香で右が初穂の並びで湯に浸かる。
最初に話を切り出したのは十香だった。
「そういえばさ、あの二人ってどこまで進んでるの? あんだけお熱いんだし、あのあとそれなりに進展したってことでいいの?」
あの二人。あのあと。最早具体的に示さなくても分かり合える3人だった。
十香の問いに初穂が答える。
「うーん、それがそうとも言い難いみたいなんですよねぇ。わだかまりが解けてやたらイチャつき始めたのは確かなんですけど、ただ"そういう進展"はまた別問題というか……私も気になってこないだ始に聞いてみたんですよ。『終にいとどこまで進んだの? キスくらいした?』って。そしたら……」
『えー、そういうのはまだ早いよぉ。だってぇ、まだ16歳だしぃ』
「……って無駄に体くねらせながら」
「「それは……」」
呆れ顔の初穂に対して十香とまひるは一度口を揃えて、
「控えめに言ってうざいわね」
「初々しくて可愛いじゃない」
バラバラな感想に着地し、互いに顔を見合わせた。
「いや絶対うざいですって目の前で見せられたら」
「実際うざかったのでまひるさんに1票」
「あらやだ少数派? いいじゃないバカップル、私は好きよ。ネタの肥やしになるならなんでもね!」
「それにしても始って積極的なんだかそうでないんだか。あんだけ好き好き言ってても進展的にはまだまだってことでしょ?」
「まぁ、低燃費なんですよ始は。終にいと一緒にいられたら概ね満足みたいな」
妹視点の分析に、十香がしたり顔で付け加える。
「ふぅむ。元々男の子だった反動だかコンプレックスだかで『女の子として見られたい』ってところにはわりと貪欲だけど、それより先には意識が向いていない……ってところね」
「お、なんかそういう見方ちょっと創作家っぽい」
「そりゃあもう。未来の大漫画家だもの……」
まひるのヨイショに十香は気を良くしつつ、水着の腰に手を当てて。
「あ、しまったメモ帳ないんだ」
「そういうところもそれっぽい。でも私をネタにするのは止めてくださいよ?」
「え……ごめん」
「なんで真顔で謝るんですかちょっと。おいどこに使った!?」
「あ、私は十香さんに対してなら著作権フリーなんで全然使っていいですよ。サイン本のひとつでもくれれば!」
「初穂ちゃんはお姉ちゃんに似て良い子ねぇ。あなた"も"モデルにする機会があれば事前報告するわね。サイン本のひとつも添えて」
「"も"って言った? ねぇ"も"って言いましたよね。事前報告来てないんですけどこっち!」
思わず立ち上がってまでツッコミを入れたまひるだが、十香はどこ吹く風と言わんばかりに口笛を吹くばかり。図々しさもまた、漫画家の武器である。
「全く……弟があれなのに姉はどうしてアレなんだか」
「おうよ、その台詞を言われた回数なら世界で5本の指に入るって自信あるわよ」
なんの自慢だ。
そうツッコミを入れたい心をぐっと堪える。この人には多分、いくらツッコんでもキリがない。いやむしろツッコまれればツッコまれるほど調子に乗るタイプだ。
なんにせよ……次この人の本読むときは疑わしいところを絶対に探してやる。それだけを心に決めてから湯に浸かり直し、仕方なく話題を変えた。
「そういやちょっと思い出したんですけど……始はともかく、夜鳥くんの方はそうでもないのかもしんない」
「「ほぉ」」
まひるの左右から姉と妹が寄ってくる。
片方は弟の真反対で、もう片方は姉に似て人との距離感が妙に近いのだ。
どちらかと言えば、常にほどよく距離を取りたい系女子であるまひるは、左右からの重圧に体を若干縮めながらも話を続けた。
「えっと……私、2ヶ月くらい前に夜鳥くんに『バイトしたい』って相談されたんですよ。ほら、自分で言うのもなんですけど私、そういうところにわりと詳しいから」
「さすがの勤労少女ね。それで?」
「そんときに聞いたんですけど、どうやらいつぞや彼の自宅に乗り込んだときのことがバイト始めるきっかけになったらしくて……まぁ、つまりそういうことですよね」
胸がどうだのエロいことがどうだの、いつぞや色々と自白させ……してくれた思春期男子な彼の姿が3人の脳裏に浮かぶ。
「ほーう、楽しいことになってきましたね」
「あーの弟、今度こそやらかしてくれるんでしょうね」
「さぁ、武士の情けで詳しいことは聞かなかったですけど……まぁただ、予感はするんですよね」
まひるの意味深な発言に、初穂は首を傾げて十香が尋ねる。
「予感?」
一度だけため息をついて、まひるは話を再開した。
「来たんですよ、始も。夜鳥くんがバイト始めたすぐあとに」
「ああそういえば始もバイトやってましたね、最近。あれまひるさんの伝手なんだ」
「そ。どうも始、彼に影響されてだったら自分もって感じで。一応諸々の配慮で別々のバイト先紹介してあげたんだけど……なんでこう、二人とも私に来るかなぁ」
世話がかかると言わんばかりの表情に、初穂も十香も苦笑で返す。
「ほら、そうやってなんだかんだ紹介できちゃうところじゃないですか? 頼りになりそうで実際頼れるならそりゃ頼っちゃいますって」
「それもある種の貧乏くじ体質かもね。いっそいっぺんだらけきったらどう? 私なんて適当な生活続けてたらあの弟、この姉を頼るどころかいつの間にやら馬鹿を見るような目ばかり向けてくるようになったし!」
「いや私こう見えてわりとカッコ気にするタイプですから……というか、ああ言いましたけどべつに嫌なわけじゃないんですよ。それよりも、予感。私が言いたかったのは要するに……被ったバイトとこの旅行。こう、なんか起こる気しません?」
ここまで言えば、二人もなんとなく察したようで。
「ああ」と同時に声を上げて納得の意思を見せた。
「被ってますね。似た者同士ですもんね」
「それに旅行だものね、特別だものね」
二人の言葉にまひるもうんうんと頷いて、それからなんとなく高い天井を見上げる。
陽の光を直接取り込めるようガラス張りになった天井の先には快晴が、それこそ天井より遥か高く遠くにまで広がっていた。
「むしろなんか起こらない方がおかしいといえばその通りかぁ……まぁでもねぇ」
「なんて言いますかねぇ」
「そうよねぇ、なんていうか……」
「「「ま、大丈夫かな。ほっといても」」」
3つの口が言葉を揃える。文字どおりの異口同音が空に向かって飛んでいった。
「終くんもまぁ、ちょっとは頼もしくなってきたし」
「始も始でちょっとは歳上っぽくなってきた気もするし」
「というか一度くっついた以上はもう部外者が口挟むのも無粋っちゃ無粋よね、こないだのは例外みたいなもんで。分かっちゃいたけど、なんだかちょっとだけ寂しくなるよーな」
ほんのりと感傷に浸るまひるに、左右から水面を揺らして近寄る女子一人と女子……と呼ぶには少々年齢がかさんでる女性一人。
「なんというかまひるさんって」
「そういう性格だから苦労するんじゃないの、っと」
「ひゃあ!」
「あ、先越された」
十香に突然胸を掴まれて、まひるの喉が反射的に悲鳴を漏らした。ちなみにその次の不穏な発言は初穂のものである。
まひるは跳ねるようにその場から一旦逃げて距離をとった上で十香を見やる。すると彼女は触れたものの感触を思い出すように両手をワキワキさせてから一言。
「ほお、やりおる」
行為に文句を言うべきか感想にツッコミを入れるべきか。つい迷っている間に今度は初穂の発言が飛んできた。
「まひるさんって意外と可愛い声出すんですね」
「なっ! あ、あれは不意打ちだったからで……というか十香さんなにするんですかいきなり!」
自分の体を抱きしめつつ恥ずかしさから矛先を十香に向けるまひるだったが、向けられた十香は悪びれることすらなく、むしろさも当然と言わんばかりのトーンで台詞を吐いた。
「いや、そろそろ最後が近いし一回くらいはこういうシーンも欲しくない?」
「なんの話!?」
「まぁまぁそんなことより今思いついたんですけど、まひるさん明日暇ありません? ここら辺知ってるなら案内とかして欲しいなーって」
「え? まぁ……べつにいいけど。どうせこっち羽を伸ばしにきただけだから予定ないっちゃないし」
「羽伸ばしにきたんだからなにもしないのも立派な用事かなーって自堕落系女子としては思うんだけど……ここは遠慮なく甘えちゃいましょうか。終くんたちはどうせ二人で周るだろうし。あ、そうだそれなら食べ物の美味しい居酒屋とか知らない? 旅館もいいけど私的には温泉街の片隅にある庶民的で穴場的な感じの方が口に合うのよぉ。食べ物もだけど、お酒的な意味でもね」
「あー、そういうことなら思い当たる節はあるかなぁ。こっち来たときは家族でよく食べに行くとこなんですけどね――」
女3人寄ればなんとやら。女子たちの話は止まらないどころか加速していく一方だ。きっと今頃、どこぞのバカップルも盛り上がっている真っ最中なのは想像に固くないし、大人たちも大人たちで歳相応の話に華を咲かせているはずだろう。
それぞれの楽しみや決意、思惑を胸に、合同家族旅行1日目はあっという間に過ぎていくのだった。




