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【書籍化】運良く人生をやり直せることになったので、一度目の人生でわたしを殺した夫の命、握ります  作者: 狭山ひびき
運命共同体の夫が、やたらと甘いです

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聖女の出陣 4

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 作戦会議を終えたあとで、ヴィオレーヌはルーファスとともに辺境伯城の客室へ向かった。

 二か月の長旅だったので、疲れを癒すためにも休んではどうかと辺境伯に勧められたのだ。


(それにしても師匠ってば、用事ってモルディア国に行くことだったのね)


 こうなることを予見していたのだろうか。

 アルベルダは飄々としていて、猫になってからは怠惰そのもののくせに、昔から妙に勘が鋭い。

 父、モルディア国王の手紙には、こちらが把握しきれていなかったマグドネル国の内情についても記されてあった。


 現在、ルウェルハスト国を落とそうと軍を動かしているのは、マグドネル国の第一王女らしい。

 半年ほど前に、ルウェルハスト国から数名の文官と兵士がマグドネル国に入り、マグドネル国にルウェルハスト国が送り込んでいた監督者が捕縛されたそうだ。それと同時に国王と王太子が殺害され、マグドネル国の実権は現在第一王女と、半年前にルウェルハスト国から送られて来た者たちが握っている状態だと言う。


 マグドネル国の内情をどうしてモルディア国王が掴んでいるのかと言えば、モルディア国にマグドネル国の第二王子が亡命してきたそうだ。

 王太子が、第一王女の動きを予見し、まだ幼い弟王子をこっそり逃がしたそうなのである。

 まだ十二歳の第二王子は、数名の側近とともにモルディア国に助けを求めたが、小国でありマグドネル国の同盟国でもあるモルディア国は動くに動けなかった。マグドネル国の第二王子をこっそりかくまうしかできなかったと言う。

 そこへ、マグドネル国が挙兵しルウェルハスト国へ攻め入ったという情報が入り、それからしばらくしてアルベルダもやって来た。


 アルベルダの魔術でヴィオレーヌと連絡が取れるため、モルディア国王はマグドネル国との同盟破棄を決心したと言う。

 もともと、マグドネル国との同盟は、マグドネル国王とモルディア国王の間で交わされていたものだ。国王と王太子が殺され、第一王女が実権を握ったことを理由にすれば、一方的な同盟破棄の理由としても正当性を主張できると言う。

 モルディア国はマグドネル国へ攻め入る準備を整え終わっており、ルウェルハスト国からの連絡があればいつでも動ける状態だそうだ。


「義父上のおかげで、一気に戦況を変えられる」


 背後から攻め入られれば、マグドネル国も防衛に兵力を割かざるを得ないが、ほとんどの兵をルウェルハスト国との国境であるダンスタブル辺境伯領に攻め入るのに集中させているため、背後はかなり手薄だろう。

 一気に攻め入れば、マグドネル国が大混乱に陥ること間違いなしだ。


(ありがとう、お父様。みんなも、どうか怪我をしないでね……)


 モルディア国がマグドネル国に攻め入り、兵士たちが混乱しはじめたところをこちらから攻める。

 この隙を逃さず、一気に片を付ける作戦だ。


「わたしも出ていいんですよね?」

「俺の側から離れないと言う約束でならな」


 相手が混乱している間に片付けるなら、魔術が使えるヴィオレーヌもいた方がいいだろうと、ルーファスは勝手な行動を取らないという条件付きで許可してくれた。


「それから、今日はこの後は休憩だ。作戦は明日からになる。早めに食事を摂って、明日に備えて休むぞ」

「わかりました」


 ヴィオレーヌは頷いて、ミランダに食後、すぐにお風呂に入れるように準備を頼んでおいてほしいと告げた。

 馬車から降りてすぐに会議室へ向かったため、まだ服も着替えていなかったので、ミランダに手伝ってもらって部屋着に着替えることにする。

 ここでは夫婦で同じ部屋を使うので、ヴィオレーヌは服を着替えるためにバスルームへ向かった。さすがにルーファスの目の前で裸になる勇気はない。


「ヴィオレーヌ」


 ミランダとともにバスルームへ向かおうとすると、ルーファスが背後から声をかけてきた。

 振り向くと、ルーファスが小さく笑った。


「今回のことが片付いたら、結婚式の準備に入ろう」


 ヴィオレーヌは目を見開き、それから恥ずかしくなってうつむいた。


(それ、今言う?)


 完全に虚を突かれて、どう反応していいのかわからない。


「この問題が片付けば、結婚式に、モルディア国の家族も呼べるはずだ」


 ヴィオレーヌはハッとした顔を上げた。

 会いたいのだろう、とルーファスが柔らかく目を細めている。


 ルーファスは、ヴィオレーヌを殺そうとした男で。

 実際に一度目の人生は彼の命令でヴィオレーヌは命を落としていて。

 二度目の人生で彼に嫁ぐときは、到底仲良くなれるとは思っていなかった。

 それなのに今――、無性に、彼が結婚相手でよかったと、ヴィオレーヌの胸が熱くなる。


 気がつけば、ルーファスに向かって足が動いていた。

 小走りで彼との間の少ない距離を埋め、衝動的にぎゅうっと抱き着く。

 ルーファスが、驚いて目をしばたたいた。


「ヴィオレーヌ?」

「ありがとうございます、殿下」


 ルーファスは、ヴィオレーヌが好きだと言った。

 でも、ヴィオレーヌは彼の言葉に、まだ何も返していない。


(全部終わったら、結婚式を挙げる前にちゃんと言おう)


 ルーファスでよかった。

 彼が好きだ。


 ふわりと抱きしめ返してくれたルーファスの腕の中で、ヴィオレーヌはそっと目を閉じた。






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