第21話 久しぶりの休日
色々とハプニング続きで書く気力がなくなったり仕事が忙しかったりして投稿が遅れました。
遅れたわりにちょっと短め。もっと長い話になるはずだったのに……
色々あってこんな時間に投稿ですが、久しぶりの日常編、最新話どうぞ。
あ、関係ないですが実験作投稿中です。よろしかったらそちらもどうぞ。
町で紹介された次の日。
「ふわぁ……朝か……」
欠伸をしてから周りを見渡す。
窓からは朝日が差し込み、周りには妖精が転がって寝ている。
昨日は帰ってきてから妖精達が泊まっていったのだ。
俺は妖精達を起こさない様に静かに部屋を抜け出して朝食の準備をしにいく。
それから数分後。
「てっしょー……おはよー」
ぽてぽてと眠たそうに妖精達がやってきた。
「おはよう。あと少しで朝飯できるから顔でも洗ってきな」
「わかったー」
妖精達が顔を洗いに行くのを見てから作業に戻り、戻ってきた妖精達と朝食を食べる。
それから朝食の片付けをしている間に妖精達は外に飛び出して行く。
俺も手早く片付けを終わらせて妖精達がいる森の中に籠を持って入って行く。
「籠持って来たぞー」
そう言うと妖精はそれぞれ何かを抱えてぽてぽてと走ってくる。
「ヴァノラの実いっぱい取れたー!」
「リュコの実もあったー」
「パボラもあったのー」
妖精の持って来た物の解説。
ヴァノラの実。
ブドウに似た味のする赤い小さな実。稀に紫色の実をつける。紫の実は魔力を吸収した事でできた実でとてもおいしく体に良いらしい。
リュコの実。
トマトに似た味と食感の実。ちょっと苦味と独特の臭味がある。町ではこれをちゃんと野菜として栽培に成功した物が売っている。そちらは苦味と臭味が無い。
何故か苦味と臭味は煮ると無くなるらしい。
パボラ。
外見は黒いボーリングの玉みたいな実なのだが、中身はかぼちゃ。ほんとに味も食感もかぼちゃ。ただ、皮は変な味なので食べられない事はないけどあんまりお勧めできない。
以上。
「お、大収穫だな」
現在、昼飯と夕飯の食材を遊びがてら探しに来ている。
いつもという訳ではないんだが、妖精達が俺の作った飯食べたいから探すと言って遊びながら食材探しをするのだ。
よし、今日も頑張って飯を作ろう!
自分の作った飯が食べたいから食材を集めてくれるなんて嬉しいじゃないか。頑張ろうって思えるんだよ。
「てっしょーが精霊族になってから沢山取れるようになったのー」
「そうなのか?」
「てっしょーが精霊族になったおかげでここはすっごく純粋な魔力が満ちてるのー」
「純粋な魔力を使って精霊は自然を豊かにするんだよー。それでてっしょーの周りは自然豊かなのー」
妖精達の翻訳+解説。
俺が精霊族化したせいでここら一帯に純粋な魔力が満ちているらしい。
精霊は純粋な魔力(妖精曰く普通の魔力と少し違って生命力が混じったものだとか)を使い自然を豊かにするらしい。
どうも俺は無意識に純粋な魔力を生み出して周りに放出しつつ自然を豊かにしているらしい。まったく自覚がない。
「自覚は無いな……ま、おいしい食材が取れるなら良いか」
「もっと探してくるー」
「沢山集めておいしいの作ってもらうのー」
再び妖精はぽてぽてと走って行く。
それを俺は自分も食材探しをしつつ見守る。
そして時は流れえ昼ご飯を食べ終え少し経った頃。
妖精達はいつものように駆け回って遊んでいる。
俺もそれをのんびり眺めていたのだが……
―――
「あれ?」
一人の妖精が立ち止まる。
「どうしたのー?」
「てっしょー寝ちゃってる」
「ほんとだー」
妖精達が家の方を見ると縁側ですやすやとてっしょーが寝ていた。
「きっと疲れてたんだよー」
「色々あったのー」
わらわらとてっしょーの周りに集る妖精達。
「どうするー?」
「遊ぶー?」
「てっしょーと寝るー」
「そーしよー」
―――
気付いたら妖精達が俺に群がって寝ていた。
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
「こいつら、遊んでたんじゃなかったのか?」
妖精達を見るとぐっすり眠っていて起きそうに無い。
疲れ知らずの妖精の事だから遊び疲れたわけではないだろう。
「これじゃあ、動けないな」
体にもたれかかったり膝の上で寝ていたり。
動いたら起きてしまうだろう。
「ったく、仕方ないな」
妖精達の寝顔を見たりしながらゆったりと時間が過ぎていく。
最近は色々な事が起こりすぎな気がしてたし、こんな時間はほんとに久しぶりな感じがする。
久しぶりの休日って感じだ。
動けないけどな。
だが……
ふわりと吹く風を感じながら、暖かな日差しを浴びて自然を感じる。
精霊化してから自然を感じやすくなっている。
じっと風や日差しを感じるだけでも退屈しない。
周りにいる小さな家族から暖かなぬくもりも感じる。
今がとても大切な時間のように感じる。
精霊化は自身の思考も変えるのか?
でも、いいや。この感覚が、思考が悪いものとは思えない。
なら良いじゃないか。
今は、この時を大切にしたい。
それで良いと思う。
俺は膝に乗ってる妖精の頭を起きない様に優しく撫でる。
この小さな幸せが無くならないように。
これからもこの幸せが続きますように。
自身の家族を見ながら願う。
―――
そっと見ると縁側でてっしょーと妖精達がいるのが見えた。
持ってきた籠を見る。
サンデアンの実が入っている。
解説。
サンデアンの実。
スイカに似た味のする果物。15cmから30cmくらいの青い実。結構高い木で取るのが難しいがおいしい。
以上。
いつもてっしょーのお菓子をもらっているのでたまには自分からあげようと持って来たのだがタイミングが悪かったらしい。
おやつ時までまだ少し早いしそこら辺で暇を潰してこようと森の中に戻る。
たまには家族団欒も良いだろう。
最近は忙しかったのだから。
小さな尻尾をゆらりと動かしながら愛用の鎚に引っ掛けた籠を揺らしながら黒い影が森の中に消えていった。
姉御は空気が読める子。決して仲間はずれにしたわけではないですよ?
今の姉御の立ち居地は友達であって家族じゃないです。(これから家族化するかは未定)ヒロインでもありますが今回は妖精さん達に出番が。
ほんとは今回の話はてっしょーの一日を書くはずだったのに昼過ぎ頃で終わってしまいました。
書きたいネタとかあったのに……書いてるうちに思っている内容と変わってきてしまうのです。
なぜでしょうね。




