文化祭〜えぴろーぐ〜
「おい」
世界で一番聞きたくない声が後ろから聞こえた。
さっき散々花崎歌と長谷良太のバカップルぶりを見せつけられてうんざりしていたところにこれ。
もう本当に気分は最悪。
ただでさえ文化祭のときのことを思い出してイライラしてるのに。
「なに?」
「今帰りか?」
「それ以外に下駄箱にいる理由はない。私は帰宅部ですし?」
神村武蔵。
文化祭のときはまさかここまでしつこい奴だとは思わなかった。
そしてこんな奴にこんなことを言われるなんてこんな屈辱的なことはない。
「なら一緒に帰るか」
「は?嫌なんだけど、本気で。てか一応剣道部って設定じゃありませんでしたっけ、部活は?」
「なら逃げるか、文化祭のときみたいに」
「話を聞けよ。いやなんかもう神村から逃げるのが面倒というかそんな労力使いたくない」
「逃げてもいいぞ。今度はちゃんと追いついて捕まえてやるから」
「うわぁ気持ち悪い、マジで逃げたくなってきた」
相変わらず若干噛み合ってない会話ももうすっかり慣れきってしまった。
忘れがちだけど、神村武蔵もイケメンだ。けれどその変人ぶりと女を寄せ付けないオーラがすごいでてるらしいのでそこまでモテないのが現状だ。
唯一のよかったことはそこか。
一緒にいてもそこまで周りから言われることはない……けど。
「本当に勘弁してほしい」
「諦めてくれ」
「……」
「桜が綺麗だな」
「……はぁ」
「お前、昔よく桜の花びら追いかけてたよな」
「あーもう忘れてよそんな昔の話!」
「懐かしい」
「もう嫌だ、屈辱だ……」
なんで私がこんな目に合わなきゃいけないんだ、花崎歌をストーカーしていた報いなのか。
確かに花崎歌をウォッチングしなければこうはならなかったかもしれない、ああ本当に失敗した。
暇つぶしと思ってやっていたことが完全に裏目に出てしまった。
「四月からもよろしく」
「絶対によろしくなんてしない」
あと一年間こんな苦痛が続くのかと嫌になるけど、自分で蒔いてしまった種なのだから受け入れるしかないのか……。
うつうつした気分の中で、
文化祭編は終わります。
半年以上ぶりの投稿となってしまいました、すみません。
これにて文化祭編は終了です。
ここまで読んでいただきありがとございました。




