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同居人

みなしごのシンがアロウの部屋に転がり込んで数日が経った。

同居人の存在に慣れてきたころの一幕。

一人暮らしの頃は、帰ってきても黙って部屋に入るだけのアロウだったが…

「ただいま」

 もはや恒例となった挨拶とともに扉を開ける。

 シンは声を聞くと、くつろいでいれば居住まいを正し、そうでなければ外での収穫に興味津々で飛び出てくる。

 その日はどちらでもなかった。

「…出かけたか?」

 アロウはそっと部屋に入り、扉を閉める。

 目線を上げても二段ベッドの上から投げ出された足は見えていない。

 回り込んで、下の段につけたばかりのカーテンをそっとめくる。

 薄暗いその陰には布団だけが横たわっていて…奥の一角がこんもりと丸く盛り上がっていた。

「シン」

 頭らしき場所の布団をめくると、体を丸めたシンがアロウの枕に顔を埋めているのが見えた。黒ずんだ髪がもぞもぞと動く。が、目は覚まさない。

「…ただいま」

 起こさないように、触れるか触れないかの距離で手の甲で髪を撫でてみる。

 すると、シンが顔を押し付けてきた。

(かわいい)

 動物になつかれたような感じではあったが、気を許されるのは悪い気はしなかった。

 本来ならば年頃の子に抱くものではないと思いつつも、他の感情が見当たらない。

 瘦せこけた手にぎゅっとしがみつかれて身動きが取れなくなり、隣に腰を下ろす。

 年相応の健やかさを取り戻してほしい。

 アロウが思うのは、今はただ、それだけだった。


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