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夜の隙間

 すうすうと規則正しい寝息だけが響き始めたのを確認して、アロウはそっと身じろぎして背中側をのぞき込んだ。

 壁側を向いて寝転がっていたアロウのシャツの背中には小さな頭が押し付けられていて、そこはかすかに湿っていた。

「……シン」

 呼びかけても、寝入ってしまった同居人からの返事はない。

 誰にも見られていない時にだけ静かに涙をこぼす同居人は、気づかれたとわかると逃げてしまう。

 つらい時も悲しい時も、シンは誰かの名を呼ぶことはない。

 親兄弟はもちろん、知り合いの名さえ一切出てこない。

 呼ぶべき名が何もない。

 傍にあるあたたかさにしがみついて、ただ体を小さく丸めるだけだった。

「ここにいるよ」

 身体を反転させて向き直ると、アロウは小さな肩にゆるく腕を回す。

 いつでも抜け出せるように軽く、すがりたい時にはいつでも手を伸ばせる距離。

 せめて自分がここを離れる日までは、安心して眠れるように。

 そう願いながら、アロウはそっと目を閉じた。

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