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甘さの秘密
冒険者のアロウの部屋に居候するみなしごのシン。
2人での生活にも慣れた頃、部屋で特にすることもなくくつろいでいると…
シンはじーっと一心に見つめている。
「……シン」
「んー?」
「人の顔をそうまじまじと見るな。失礼になることもある」
「えー、アロウだからいいじゃん」
シンはぷくっと頬を膨らませる。
「お前そういう言い方は誤解を……」
「おいしそうだなって」
「……は?」
唐突な物言いにアロウが聞き返す。
シンの発言はアロウにとっていつも想定外だ。
「イチゴのあめ玉みたいだ」
固まったアロウの顔に両手を添えてシンは更に覗き込む。
「目、きれいだね」
ビー玉みたいに透明な目に間近で見つめられて、アロウの顔に血が上る。
「お、お前……」
ぐきゅるる、とシンのおなかの虫がなった。
「おやつやるから離れてくれ……」
アロウはがっくりと肩を落としてシンの顔を手で押しやる。
「えぇー」
「あと何でも食べ物に変換するのやめろ。そのうち夜中にかじられてそうで怖い」
「ふふ、アロウが食べ物だったらきっとめちゃくちゃ甘いね」
シンはこんなに甘っちょろい人に出会ったことはない。
「食べちゃいたいなぁ」
「だから言い方……」
げんなりしたようにアロウが言う。
なんでそんなに甘いのか、シンが知るのはもう少し先の話だった。




