第89話 チャイナドレスと青龍刀
「砂煙から……何か出てる?」
砂煙の中から……なにやら生物の影が見えていた。
あれは……。
『おいおい、煙の中にモンスターいないか?』
『やば……こんなん初めて見た』
砂煙から現れたのは……粘土のような……液状のモンスターだった。
その見た目はスライムのように見え、それまで巨大な塊だったものが、複数に分裂した。
「瑠璃さん……あれは『クレイスライム』……粘土のスライムです」
「粘土のスライム?」
「はい、奴らは普通のスライムと違ってダメージがかなり重いです、ですが、防御力は普通のスライムと大差ない……むしろ、液体じゃないが防御力はそうでもないです」
「そっか……じゃあ」
私はスマホを操作し……下山さんが行く前に入れてくれた新衣装を選択した。
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デフォルトアバター 選択中
真夏の花火職人
チャイニーズ女幹部
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チャイニーズ女幹部……凄いアバター名だな。
まぁ、今はこいつを試してみますか!
「おりゃああああ!!」
私は思いきりタップした。
タップしたと同時に、私の体は光に包まれた。
「み、みなさん! こんな時ですが、新衣装お披露目です!」
『えええ!?』
『突然すぎる……』
『マジで!?』
しばらくすると光が晴れ……私は新衣装に身を包んだ。
紺色のチャイナドレスに、両手には柄の部分に宝石が埋め込まれた青龍刀……
確かに香港映画にいそうな女幹部っぽいかも。
『おおおおおお!!』
『なんかエッッッッッッ!! ¥2222』
『かっこいい……』
コメント欄は歓喜に包まれていた。
え、エロい? まぁそうかもしれない……と、今はあの粘土野郎を倒さないとね!
「それじゃ、切り刻んじゃうよー!」
私は青龍刀を構え、粘土の怪物に目掛けて突撃した。
奴らは集団でこちらに襲い掛かるが、私は2つの青龍刀を使い、奴らを切り刻んだ。
奴らは真っ二つになり、魔石へと変貌していった。
『おおおおお!! かっけええええええ!! ¥8000』
『見ない間に随分と戦闘が上手くなってる…… ¥5000』
『純様に負けないくらいかっこいい! ¥500』
コメント欄が彩を描き、私の戦いぶりを褒め称えた。
やっぱ嬉しいね、こうやって褒められると……このままどんどん……
「美羽さん!」
「……え?」
純ちゃんの声がし、我に返ると、巨大な岩石の腕がこちらに近づいていた。
そ、そういえばこいつの存在忘れてた!? ど、どうしよう……




