第87話 Vデビュー
「みなさん、こんみうー!!」
「こんみうー!! 井上純でーす!!」
「お? 純ちゃんノリいいね」
純ちゃん、初めてのVtuber配信でテンション上がってる? まぁ、厳密に言えばVtuberとは現時点では言えないけど……。
『えええええ!? これ純様!? か、かっこいいいいいいいいい!! ¥1000』
『イノジュンなにその姿!?』
『What!?』
純ちゃんのコメント欄は案の定困惑と歓喜で溢れかえっていた。
「えへへ、皆さん突然で申し訳ございません、実は……僕、井上純もVtuberになりましたー! 最初はダンジョン配信だけど、今度美羽さんと本当のVtuber配信もするからよろしくねー!」
純ちゃんはドローンカメラに向かっていつものまぶしい笑顔で手を振った。
『おおおおおおおおおおお!! イノジュンVデビュー!?』
『まさか今この時代でVtuberデビューとは……』
『暗い状況の中での明るい話題助かる ¥3000』
コメント欄は滝のように動き、お互いのコメント欄は投げ銭で虹を描いていた。
いや、私のところで投げ銭しても意味なくない?
「……で、今回は僕、井上純と美羽さんのコラボ配信第3弾!」
「私たちは今、ここに来てまーす!」
私たちはあくまで冷静に、いつものノリで、センテンドーの本社を映した。
『えええ!? ここセンテンドーの本社じゃね!?』
『ニュースで見たけどマジでこうなってるんだ……』
『一部でコラ画像疑惑出てたけどやっぱマジなんか……』
『嘘……ちょっと引いちゃった……』
コメント欄は驚愕の声で覆われていた。
コラ画像疑惑とか出てたんだ……そりゃ現実は受け入れられないよね……。
「みなさん! 信じられないかもしれませんが……一連のダンジョンの出現……これの主犯は、センテンドー社の社長、大森悠です!」
『え!? マジで?』
『ちょっと信用できない……』
『純様が嘘言ってるとは思えないけど……』
純ちゃんの言葉に、コメント欄は困惑に包まれていた。
まぁ仕方がない、口先だけで証拠は何もないもんね。
「皆さん! 純ちゃんの言っていることは本当です! 信じられないかもしれませんが……今からこのダンジョン化したセンテンドー本社に入り、その実態を明らかにします!」
「そうですね! 美羽さん! 通常ならばここで製品の宣伝をしますが……今回は自粛します! 皆さん! 周りに気を付けながら配信観てね!」
「それじゃ、出発!」
私たちは、センテンドー本社へと走りこんだ。
『まじか……本当かな?』
『オレは美羽ちゃんとイノジュンを信じる!』
『とにかく、センテンドー本社を何とかしねぇと何も始まらないしな』




