第66話 煤
部屋の前に着き、私は部屋の前にあるインターホンを押した。
インターホンを押すと、ものの数秒で部屋のドアの鍵が開いた。
「み、美羽さん!!」
「じゅ、純ちゃん!?」
即座に部屋のドアが開き、純ちゃんが現れた。
純ちゃんは私の体を握り締めるようにしてきた。
「ど、どうしたの純ちゃん!? も、もしかしてお風呂しばらく入ってない!?」
純ちゃんの体からは煤のような匂いが立ち込め、よく見ると、服も最後に会った時と同じ服装をしていた。
「美羽さん……美羽さん……僕……僕……」
「……純ちゃん?」
純ちゃんの体は、寒さに凍えるように震えていた。
純ちゃん……一体何があったんだろう?
私は落ち着かせるように、純ちゃんの背中を撫でた。
「な、何があったか知らないけど……落ち着いて、純ちゃん」
私たちはしばらくの間、玄関の前で抱き合った。
☆
「うわ……なにこれ……」
落ち着いたところで、私は純ちゃんの部屋へと足を踏み入れた。
部屋の中はゴミが散乱していて、独特の生ごみの匂いが漂っていた。
「ま、まずは掃除しなくちゃね」
「はい……」
「あぁ、純ちゃんは座ってて、私がやるから」
「すみません……じゃあ僕は……お茶でも淹れます」
「だ、大丈夫? 別にお茶とか良いから……」
「い、いえ! 流石に何も出さないのは失礼なので……」
「う、うん……気を付けてね?」
純ちゃんは震えた足を動かし……台所へと向かった。
ほ、本当に大丈夫かな? ま、まぁとにかく、掃除するか。
とりあえずごみを分別しよう……うん。
「何か袋は無いかな……あった!」
私は床に散乱していたビニール袋数枚を手に取り、分別を始めた。
落ちている食べ物は、どれもその辺のコンビニで買ったであろう簡単な食べ物ばかりだった。
純ちゃんの性格的に、食べるものに関してはイメージ通りではあるのだが、流石にごみを散乱させるような性格ではないと思う……。
「……ってこれは!?」
こ、これ……勲章ってやつだよね!? 自衛隊の!
こ、こんな大事なものなんで……。
「しかもこれ……どう見ても自衛隊の服じゃん!」
本当に、何があったんだ……純ちゃん。
驚きの連続だったが、私は掃除を進めた。
「そういえば、お風呂も準備してあげないとね……」




