第59話 宣伝
『この製品は、誰でも武器や防具を装備することが可能で、お年寄りからお子様までご利用いただけます、現在、政府の認可待ちとなってございますが、ただいまより、当社通販ページより先行予約を開始いたします……』
せ、先行予約?
「おい、アレマジか?」
「なぁ、どう思う?」
「使えるなら欲しいなぁ、またこんなこと起きたらたまったもんじゃねぇよ……」
周りの人々は、社長の話を聞いて、様々な意見を言い合っていた。
誰でも装備が可能……なんか、怖いな。
『皆さまのご予約、心よりお待ちしております、今後もいつ、どこでダンジョンが現れるか分かりません、我が社製品のみならず、ダンジョン探索用の製品を購入し、いざという時に備えませんか? 皆さま、どうかお気を付けてお過ごしください、以上、センテンドー社長、大森悠でした』
笑顔で〆の言葉を言い、映像が消えると、飛行船はどこかへと飛び去った。
せ、宣伝? 宣伝で飛行船飛ばしたの? 随分と大規模だな……。
それに宣伝してた製品……アレ完全に私のと同じもの……だよね?
「美羽さん、なんか……凄い事になっちゃいましたね」
「そうだね……」
突然のダンジョン出現に、センテンドーの社長がド派手に製品の宣伝……。
一体何がどうなっているのやら……。
☆
……それから数分後。
ダンジョンは自衛隊や猟友会のおかげで沈静化していった。
ネットニュースでは、政府が「しばらくは外出を自粛してほしい」という内容の声明を発表した。
……一部記者が、「センテンドーが自衛手段のための製品を発表したが、政府はどうするつもりなのか」という質問をしたところ、「現在検討中」としか発言しなかったらしい。
……なんやかんや落ち着いてきたのか、電車も運転再開し、私は純ちゃんの好意で駅まで送ってもらった。
「では美羽さん、帰り気を付けてくださいね」
「純ちゃんも、帰り道気を付けてね!」
「はい! じゃあサグッターで!」
「うん! バイバイ!」
お互いに手を振り、純ちゃんは走り去っていった。
……それにしても。
「センテンドー……こんな時に何考えてるんだろ?」
私は考え事をしながらホームに向かった。
なんか、凄いピンポイントというか、待っていたかのように宣伝してたな……。
……もしかしてだけど、今回の騒動、センテンドーが仕組んだとか? ……いや、それはちょっと陰謀論みたいだな……。
「はぁ……ま、今日はもう家帰って寝よう……」
そう思って改札へ向かうと、駅の中は同人誌即売会のように人でごった返していた
うわぁ……これはしばらくは乗れそうにないかな……ちょっと待合室で待っていよう。
そうだ、コンビニで何か……って、あれ?
「……着信?」




