第57話 公園とお茶
「と、とりあえず、配信一体止めませんか?」
「そ、そうだね! み、みんな! こっちのダンジョンは消えたけど……皆のところはまだまだだと思うから、とりあえず、今は外出せず、家で政府の対応を待ってね! そ、それじゃあ百地美羽と……」
「井上純でした、みんな、気を付けてね! じゃあね!」
「これにて後免!」
私たちはドローンカメラに向かって手を振り、配信を切った。
私は百地美羽の姿を解除し、近くにあった広めの公園へと向かった。
公園には、恐らく避難してきた人であろう人々で埋め尽くされていた。
私たちは空いていたベンチに腰掛け、先程あった出来事を振り返ることにした。
「それにしても、分からないことだらけですね」
「そうだね、観たことのないダンジョンに、モンスター……あれ、なんなんだろう?」
なんだろう、色々あってへとへとだ、なんか喉も乾いたし……。
そういえば、自販機あったかな? あぁでも状況が状況だし、買い占められてるかも……。
「はぁ……喉乾いた」
私は思わず、そう呟いてしまった。
「喉乾いたんですか? ちょっと待ってください……」
「あぁ、いいよ純ちゃん……」
「いえいえ、ちょうど僕も喉乾きましたし……」
純ちゃんは気を利かせ、持っていたポーチの中から、ペットボトルのお茶を取り出した。
純ちゃんはキャップを開け、私に差し出してきた。
「い、いいの? 純ちゃん」
「はい、どうぞ」
私は純ちゃんの好意に甘え、お茶を口に含み、喉を鳴らした。
美味しい……喉がお茶によって清められていく……。
大体半分くらい消費し、純ちゃんとの間にお茶を置いた。
「じゃあ僕も……」
「……え?」
純ちゃんは私の置いたお茶を取り出し……キャップを開けた!?
え!? ちょ、ちょっとこれって……。
「んく……んく……」
純ちゃんが……飲んでいる……私が飲んだお茶を……。
こ、これ……これって……。
「ぷはー……涼しい日でも水分補給しないとダメですね」
「そ、そうだね……」
純ちゃんは気にしていない様子だった……。
いやいや、元自衛隊なら気にするもんじゃないの!? 他人が飲んだやつは病原菌持ってるかもしれないとか……いや、別にディスってるつもりじゃないけど、いやでも……あぁもういいや!
「わ、私、ペットボトル捨ててくる!」
「あ、いいですよ美羽さん、僕が……」
「いいから!」
「み、美羽さん……」
私たちは捨てるか否かで攻防戦を繰り広げ始めた。
い、一旦純ちゃんの顔は見たくない……意識しちゃうから!
そんな不毛な攻防戦を繰り広げる中……。
「お、おい! なんだありゃ!?」
突然、避難所にいる人たちが、上空に注目していることが分かった。




