第55話 花火
「おおおおお!?」
私の装備装備一式が光り輝き……しばらくして、光が晴れた。
真夏の花火職人、その名の通り、私はお祭りの時の男性陣のような和服姿になっていた。
頭を触ると鉢巻を巻いていて、髪の毛も短めに結われていた。
短めの江戸前スタイル、神輿も担げそうな法被姿、例えるならそんな感じである。
そしてさらに特徴的なのが……。
「背中重た!? な、なにこれ!?」
背中に背負っていたのは、刀ではなく、花火を打ち上げるときに使う筒……所謂「煙火筒」を背負っていたのだ。
しかもただの煙火筒ではない……まるでロケットランチャーのように、照準と引き金までついていたのだ。
『なんか草』
『忍者ちゃうやん』
『今ヤバい状況だけど元気貰えたわ、ありがとう』
コメント欄は爆笑の渦だった。
突然こんな格好にもなればそりゃそうなるか……っと、今はそんな場合じゃなくて。
「花火職人……そしてこのロケランみたいな筒……こいつで攻撃しろってことだね!」
そうと決まればさっさと攻撃しよう!
で、でも、これ弾とかどうするんだろう? というかロケランとか打ったこと無いんだけど!?
「美羽さん! まずは砲台をしっかり持って! 右足を立てて座ってください! 右肩で砲台を抑えて! そして足を踏ん張って狙いを定めてください!」
「う、うん!」
純ちゃんが怪我を抑えながら私に指示を出してきた。
なるほど、純ちゃんはロケラン使ったことがあるからわかるのか、流石は元自衛隊。
そうと決まればさっさと撃ってしまおう!
私は純ちゃんに言われた通りの体勢を取り、照準を定めた。
相手は図体がデカいので、狙いを定めるのは楽勝だった。
急所がどこだかわからないが……とりあえず撃ってみよう!
「食らえ!」
私は引き金を引き、花火を撃った。
空気が抜けるような音と共に、花火玉が宝石の竜の元へと飛んでいった。
花火はドラゴンに命中し……美しい閃光と共に、爆発した。
宝石の竜は咆哮を上げ、体勢を崩した。
『うおおおおおお!!』
『綺麗……』
『強いし綺麗』
コメント欄の言う通り、美しい花火だった……。
体勢を崩している今がチャンス……早く倒してしまおう!
私は再び引き金を引き……奴の頭に目掛けて花火を撃ち放った。
花火は奴に命中し……またも美しい閃光を放った。
季節外れの花火と共に、奴の体は……魔石へと変貌した。
『美しい…… ¥10000』
『beautiful $10』
『最高 ¥2000』
……先ほど撃った花火のように、コメント欄は色とりどりの投げ銭で埋め尽くされた。




