第52話 洞穴
「美羽さん、このダンジョン、やっぱり変ですね」
「純ちゃんもそう思う?」
「はい、入ってすぐグランドドラゴンみたいな強力な敵なんているはずないですし……さっきも言いましたが、このダンジョン自体、洞窟ではないのもおかしいです」
プロである純ちゃんから見ても、このダンジョンが相当なものであることがわかった。
『イノジュンから見ても普通じゃないって、このダンジョン、一体何なんだ?』
『どうしよう……体が震えてしょうがない』
『やばい、吐き気が……』
視聴者の中に、体調が悪くなる人が出てきたようだ。
さ、流石に観るのやめた方がいいんじゃない?
「コメントの皆さん! もしも体調が悪くなったら観るの中断してくださいね! 最初にも言いましたが、皆さんの身の安全が第一ですから!」
「美羽さんの言う通り、少しでも体調が悪くなったら、観るのやめてくださいね! それと、ダンジョンがもしも現れたら絶対に近づかない事! 身の安全を第一にお願いします!」
『わかった!』
『2人も身の安全第一にね!』
『純様……』
……よし、注意喚起も済んだところで、先に進もう!
☆
「目標も無く前に進んでるけど……これ、どこに行くんだろう?」
「さぁ……僕にもわかりません」
私たちは寄り添いながら、前へ前へと進んでいる。
辺りは草原、たまに湖や池があったり、地竜が遠くで走り抜けたりしている。
このままじゃ埒が明かない気がする……でも、これ以外にやることと言えば……。
「美羽さん、あそこ見てください! 洞窟が見えます!」
「洞窟?」
純ちゃんが指を差す先、そこに、巨大な穴があった。
その穴は奥へ奥へとつながっているように見え、中に何かがあるのか、呻き声のような音が聞こえる。
「この中に……何かが……」
「……行きましょう」
「……うん」
怖い気持ちが強いが、ここで引き返しても仕方がない。
私たちは覚悟を決め、中に入っていった。




