第46話 帰路と次なる陰謀
「それじゃあね、純ちゃん」
「はい!」
センテンドーランドの駐車場、私たちはここで一旦お別れとなる。
なんだろうね、一緒に抱き合った影響か、凄く名残惜しく感じてしまう。
「にしても、ここまでよくバイクで来れたね……寒かったでしょ?」
「あはは、寒さなんて、慣れてしまえばどうってことないですよ!」
「そりゃあなたはね……」
片や自衛隊で訓練を積んだ上に、今なお現役でダンジョン配信やってる人にとっては、バイクの寒さなんて大したこと無いのか……。
「それにしてもほんとにいいんですか? 駅まで送っていきますけど?」
「いやいいよ、そのためだけに遠回りさせるのは申し訳ないし」
「そうですか……」
私はコラボを照り付けた側だし、ここで世話になるのはちょっと違うだろう。
「それじゃ、帰ったらDMで連絡します!」
「うん! 気を付けて帰ってね! 純ちゃん!」
「では!」
お互いに手を振り、私は純ちゃんを見送った。
純ちゃんは夕日の輝きながら、段々と小さくなっていった。
純ちゃん……大丈夫だと思うけど、事故らないよね?
なんか心配だな……。
「純ちゃん……」
なんで私……純ちゃんの事ばかり考えてしまうのだろうか?
私……純ちゃんの事、どう思ってるんだろう?
コメント欄とかでは、「ミウジュンてぇてぇ」とか書かれるけど……そういうこと言われると余計に意識してしまう……。
純ちゃん……。
「……って、私も駅に向かわなきゃ!」
よくよく考えたらここ、駅と反対側じゃん! い、急いで駅に向かわないと! この辺の電車って本数少ないし……次乗り遅れたら1時間以上待つ羽目に……。
「い、急がなきゃ!!」
私はキャリーケースを転がしながら、駅へと急いだ。
☆
『うん……と、いうわけで、センテンドーランドの配信、いかがでしたか? きょ、興味のある人は概要欄の購入ページをご覧くださぁい……それでは、百地美羽と……』
『井上純でしたー! みなさん、まったねー!』
『こ、これにて後免……』
暗い部屋、電灯が一つも点灯していなかったが、モニターの画面だけは光り輝いていた。
そんな光り輝く画面を、1人の女が呆然と見つめていた。
女は、美羽と純の配信を最初から最後まで見ていた……。
配信が終わると……女の口元がゆっくりと上がった。
「ふ、ふふふふ……」
やがて女は、肩を揺らし……笑い出した。
「そう……それでいい……そうやって楽しめばいいさ……皆が楽しむほど……こちらとしても有利に事が運ぶ……」
女は配信を最後まで見届けると、ゆっくりと立ち上がり、部屋の外に出た。
そこから何かを突き動かされるように、エレベーターへと向かった。
女は「B10」のボタンを押し、エレベーターは高速で下へと下がる。
目的の階に到着し、ゆっくりと扉が開くと……そこは、巨大なサーバールームだった。
慣れた足取りで、女は奥へ奥へと歩き出した。
巨大なサーバー群の奥……そこに、一昔前のコンピューターと、それとは時代の差がありすぎるスマートフォンが机の上に置かれていた。
「さぁて……そろそろ……次の工程へ入ろう……」
女は、スマホを高く上げ、大きく笑った……。




