第45話 別れのハグ
「その、そういえば、ちゃんとお礼を言ったこと無いなって思って……」
「そ、そう?」
「はい……ずっとダンジョン配信ばっかりで、こういう配信を行ったことが無かったので……その……とても楽しかったです!」
「……うん! 私も楽しかったよ! 純ちゃん!」
それは嘘ではない、今回の配信は、叫びまくったりビビりまくったりと波乱万丈であったが、とても楽しい配信だった。
叫びすぎて喉がカラカラになってしまったが……些細な問題だ。
「その……美羽さん」
「……何?」
「は、ハグとか……してもらえませんか?」
「……え?」
な、何言ってるのこの子?
「いや、これからまた……コラボする機会……あるかどうかもわかりませんし……」
「……」
なんだろう、そういう言い方されると……。
「……純ちゃんは、もう私とコラボしたくないって言いたいの?」
「ち、違いますよ!」
純ちゃんは否定を表すかのように顔を真っ赤にした。
「ぼ、僕は、その……また美羽さんとコラボしたいとは思っていて、なんですけど……」
「……」
なんだよもう、じれったいな。
「ようするに、またコラボしたいとは思っているけど、コラボする機会があるかもわからないから……別れのハグをしたいってこと?」
「は、はい!」
別れのハグってのもどうかとは思うけど……まぁいいか。
「ほら」
私は両手を広げ、純ちゃんを出迎える準備を整えた。
「うぅ……美羽さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「な、なに!?」
両手を広げ、数秒も経たないうちに、純ちゃんは私の体にダイブしてきた。
「ど、どうしたの急に!?」
あまりに突然の出来事に、私は困惑してしまった。
ていうか、慎重さ考えてよ! 危うく転びそうになったんだけど!
「怖かった! 絶叫マシンめちゃくちゃ怖かったよおおおおおおお!!」
えぇ!? まだそれ引きずってたの!? って言うかどんだけ苦手なのよ!
「ほ、ほら、もう配信終わったんだからさ……」
「お化け屋敷の時はずーっと平然装ってましたけど、本当は叫びたくて仕方が無かったんですよおおおおおおお!!」
「そ、そう……」
どんだけ絶叫マシンにトラウマ持ってるのよ……。
「さぁ、ほら歩いて、家に帰るんでしょ?」
「は、はい……で、でも……しばらくこうさせてください。
「い、いいけど……」
出口の前、私たちは誰もいない中、抱き合った。




