その4 Vtuber
「これ……生配信?」
そういえば、最近生配信機能が追加されたんだっけ?
しかもこれ……なんかのアニメ? サムネイルには、アニメのキャラクターのような人物がデカデカと映し出されていた。
「なんだろう……新作のアニメ?」
でも……タイトルは「【Vtuber】定期定例会 #13」と書かれていた。
「Vtuber……って、なんだ?」
僕はその時、その言葉を聞いたことが無かった。
気になった僕は、そのサムネイルをタップした。
開いてみると「待機中 しばし待たれよ」という文字と共に軽快な音楽が流れ始めた。
なんだこれ……何が始まるというのだろうか?
……しばらく待っていると、その答えが現れた。
『はい、みなさんこんみうー! 今日は定例会……雑談配信だよー!』
待機画面が晴れ、屋敷のような背景をバックに、謎の忍者の格好をしたキャラクターが体を振り回しながら挨拶をした。
なんだろうこれは……僕は無意識にがめんを観続けていた。
『昨日ねー、ひっさびさに外出て買い物行ったんだけどさー……そしたらコンビニの店員さんがねー……』
謎の忍者は、その体を左右に揺らしながら近況報告を行っていた……。
その内容は他愛のないものであったが、不思議と面白いと感じた。
「ふふふ……」
なぜだろうか、この人を見ていると……先ほどまで考えていたことがどうでもよく感じてきた……。
僕は……何を悩んでいたんだろうか? 一瞬……そんな風に感じた。
無我夢中で観続けていると、既に1時間も経過していた。
あれ? もうそんな時間!?
『あれ!? もう1時間!? 早いねー……じゃあお便りコーナー行っちゃいましょうか!』
画面の中の忍者も同じこと思っていたようだ……って、お便りコーナーなんてあるんだ。
ふと配信の説明文を見ると、「質問はこちらまで!」という文面と共に、フォームのURLが貼られていた。
興味本位でタップすると「どんな質問も受け付けています!(答えられる範囲で)」と書かれていた。
「どんな質問……」
僕は先ほどまで考えていた事がよぎった。
うーん……でも、いくらなんでもこんなこと……。
『それでは最初のしつもーん! 「明日やること、塩鮭を買いに行く」……勝手にやってくださーい! ハイ次!』
……画面の中の忍者が、質問に答えていた。
それも、至極どうでもいい事を……。
「こ、これが読まれるなら……」
僕は、フォームを開き、悩みを打ち明けた。




