その3 動画サイト
「ちょっと! 純ちゃんにあたることないでしょ!!」
すぐさま、周りにいた女子が僕を擁護し始めた。
なぜ、彼女たちは僕の味方をするのか……それは僕が女の子だからなのか?
……嫌だ、僕は女の子じゃない……でも、女の子は僕を女の子として見ている……じゃあ僕はなんなんだ?
わけがわからない、意味が分からない、ねぇ、誰か教えてよ。
「んだと!? 誰のせいでこうなったと思ってんだよ!!」
「きゃ!?」
曇っている視界の中、男子が女子の手首を掴んでいるのが見えた。
助けなきゃ、助けなきゃ……。
「や、やめろおおおおお!!」
僕は女子に手を出した男子の胸ぐらを掴んだ。
訳の分からない中、咄嗟に手が出たのだ。
しかし、これは悪手だった。
「うるせぇ!!」
男子が爪を立て、僕に目掛けて腕を振り下ろした。
僕の額に衝撃が走り……僕は机に叩きつけられた。
額から血が流れ……教室は静粛に包まれた。
それまで火花が散ったいた両者は、互いに気まずい空気になっていった。
「な、なんですか!? 一体何が……」
先生が教室に入り、事態は急速に収まった。
☆
結局私とその男子は職員室に呼び出され、「お互いに悪い」という結論に至り、無理やり和解させられた。
頭に包帯を巻いているが、あの男子が付けた傷は治らなかった。
一連の話を聞いた両親が、職員室に飛び込んできて、抗議を行った。
「ウチの純がこんな怪我を負ったんですよ!!」
「お互いに悪いって何なんですか! 納得いく説明をしてください!!」
両親は僕が怪我を負ったことに対して怒っているようだが、僕はその言葉に耳を傾けず、別の事を考えていた。
僕は……女の子なのか?
でも……女の子たちは、僕を騎士のように扱っている。
僕は他の女の子よりも力があった、覇気があった。
じゃあ僕は……男の子なのか?
でも……僕は男の子に勝てなかった。
僕は男の子に力負けした、怪我を負った。
僕は……どちらでもない、僕は……一体何なんだ?
誰か……教えてよ。
☆
「はぁ……」
今日も一日が過ぎた。
あの後、男女の間に微妙な空気が続いた。
しかし、そんな空気も高校受験というイベントを真直に薄れていき、皆勉強に勤しむようになっていった。
僕もそれなりに勉強をしているが、それよりも、現在進行形で悩んでいることで頭がいっぱいだった。
「あぁ、もう!」
ダメだ、勉強に集中できない……何かで息抜きしなきゃ。
「たまには……動画でも見ようかな」
このままでは勉強どころではない……最近動画サイトが流行っているらしいので、ちょっと見てみよう……当時の僕はそう考えていた。
早速スマホでアプリを起動し、ベッドに寝っ転がった。
「うーん……どれを見ようかな」
トップページには、色んなサムネイルが美術館の絵画のように並んでいた。
「板チョコタワーに熱鉄球乗せてみた……メントスコーラ風呂入ってみた……100億する卵かけご飯食べてみた……どれも似たようなものばかりだな」
もっと面白そうなもの無いのかな……食べ物を粗末にしている動画しかないじゃないか。
うーん……あれ?
「これ……生配信?」




